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1. 20代の離婚率は?
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2. 20代で離婚する理由は?
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2-1. 収入が少なく生活が厳しい
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2-2. 結婚が勢いだった
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2-3. 親になる覚悟の違い
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2-4. 離婚を決断しやすい
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2-5. 不倫など男女問題
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2-6. DV・モラハラ
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2-7. 子どもや性的不調和など
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3. 20代で離婚するメリット
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3-1. 仕事を見つけやすい
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3-2. 新しいパートナーを見つけやすい
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3-3. 親を頼りやすい
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3-4. 泥沼化する前の離婚で精神的な負担が少ない
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4. 20代で離婚するデメリット
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4-1. 子どもが小さく子育てが大変
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4-2. 財産分与や養育費の金額が少ない
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4-3. 養育費の支払いが長期間になる
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5. 20代の離婚に必要な準備は?
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5-1. 離婚しても後悔しないかどうか、よく考える
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5-2. 離婚後の生活の見通しを立てる
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5-3. 離婚条件について検討する
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5-4. 頼れる人を見つけておく
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5-5. 法定離婚事由がある場合は証拠を集めておく
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6. 離婚慰謝料の相場やポイント
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7. 20代で離婚したいときに弁護士へ相談するメリット
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8. 20代の離婚に関する質問
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9. まとめ 20代の離婚はよいリスタートになる可能性も
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1. 20代の離婚率は?
離婚した人の中で20代はどのくらいいるのでしょうか。少し前の調査になりますが、2020年に別居かつ離婚した人のうち別居を開始した年齢が20代の人が占める割合は、女性は21.4%、男性は15.8%でした(令和4年版 男女共同参画白書 p.65|内閣府男女共同参画局)。
2. 20代で離婚する理由は?
20代で離婚をする人たちの理由を紹介します。
2-1. 収入が少なく生活が厳しい
夫婦ともに不安定な仕事であったり定職についていなかったりして世帯収入が低い場合、生活に余裕がないのを理由に不和が生じることがあります。特に、小さな子どもがいて夫婦ともにフルタイムで働くことが難しい場合には、収入を増やすのは容易ではありません。そのため、根本的な問題の解決ができないまま婚姻関係が悪化していき離婚に至ることがあります。
また、配偶者が低収入だったり、定職につかなかったりして、自分の収入だけでは生活が安定しない場合にも離婚を選択することがあります。離婚後は、ひとり親として行政から給付金を得たり公的住宅に優先入居できたりすることで、生活が安定する可能性があるためです。
2-2. 結婚が勢いだった
結婚して他人と一緒に生活することが、具体的にどのようなことなのか深く考えずに結婚してしまったために、同居生活を始めてから問題に直面することがあります。ささいなすれ違いや性格の不一致などに耐えられなかったり、独身気分が抜けきらず家族を優先するより「遊びたい」という自分の気持ちを優先してしまったりするため、自由になるために婚姻関係を解消することもあります。
2-3. 親になる覚悟の違い
子どもが産まれると、「親になる覚悟」に夫婦間で差が出ることがあります。男性の中には、親になる覚悟が足りないために親としての振る舞いができなかったり、子どもと妻をないがしろにしたりする人がいます。その結果、関係が悪化して離婚を選択することがあります。
特に産後間もない時期は、妻は子どものことが最優先になっているため、夫が親としての自覚を持てない場合は関係がこじれやすく、結果として離婚の相談に至ることもまれではありません。
2-4. 離婚を決断しやすい
年齢が若く婚姻期間が短いと、離婚して生活を変えることが比較的容易であるため、離婚への心理的ハードルも低くなります。子どもがいない場合は自分の生活だけ考えればよいので、より離婚を決断しやすいといえます。
2-5. 不倫など男女問題
一般的に、20代の男性は他の年代と比べ性的欲求が強いといわれており、妻の妊娠出産や育児をきっかけに不貞行為に至ることもあります。妻からすると家族にとって大事な時期の裏切り行為ですので、心情的に婚姻関係の継続が困難になり離婚に至る可能性は高いといえます。
また、配偶者がもともと浮気性であったり親密な関係の異性がいたりする問題を抱えていた場合、「婚姻したら落ち着くのではないか」と期待していても、婚姻後も浮気や異性との交遊関係が改められず、信頼を失い離婚に至るということもあります。
2-6. DV・モラハラ
付き合っているときは優しく、生活も困らせないなどと言っていたにもかかわらず、婚姻後態度を豹変(ひょうへん)させて暴力や暴言、生活費を渡さないなどの問題が表面化することがあります。
いわゆるDVやモラハラは、問題が深刻になってから「実はずっと以前から普段の言動にその片鱗(へんりん)があった」と気付くことも少なくありません。しかし、特に年齢が若い場合には、経験の少なさから違和感に気付くのに時間がかかったり、盲目的になっていて問題を過小評価してしまったりします。婚姻してからDVやモラハラが発覚した場合、20代の場合は両親や兄弟が配偶者の問題に気付いて配偶者と関係を断つよう助言するだけではなく、別居や離婚手続きにも積極的に関わり、離婚相談に同席されることもあります。
2-7. 子どもや性的不調和など
婚姻前に子どもを持つ、あるいは持たないと合意していたにもかかわらず、婚姻後に一方の気持ちが変わることもありえます。家族観の違いは婚姻生活を継続するうえで障害になることがあり、妊娠・出産・育児にタイムリミットを設けている人も少なくないため、20代のうちに離婚して仕切り直しを図ることもあります。
また、婚姻後間もなくセックスレスになってしまったり、交際時からセックスレスで婚姻を機に変わることを期待していたものの結局変わらなかったりする問題があります。20代の場合だと、この先ずっとセックスレスのまま婚姻を継続していくことに負担を感じ、離婚を選択するケースもあります。
3. 20代で離婚するメリット
20代での若年離婚は、これから先の人生がまだまだ長くあることもあり決断するメリットがあります。ここでは、20代で離婚するメリットについて解説します。
3-1. 仕事を見つけやすい
離婚することで世帯収入が減少するため、今後の生活のために再就職や転職を考えなければならないことがあります。そのような場合にも、20代であれば仕事の選択肢も多く、離婚後に生活を立て直しやすいといえます。
3-2. 新しいパートナーを見つけやすい
20代の場合、同年代の独身者も多く、新しいパートナーを見つけやすいといえます。再就職や転職を機に出会いが増えることもあり、新しい関係を築いていく時間的余裕も十分にあります。
3-3. 親を頼りやすい
20代の場合は親もまだ高齢とまではいえず、体力や健康に問題がなく育児に協力してもらいやすいでしょう。現役として働き金銭的な余裕もあり援助してもらえるなど、親を頼りやすい状況にある人も少なくありません。実際に、比較的年齢が若く子どもも小さい場合、実家からの全面的なバックアップを得られるということが離婚を決断する決め手の一つになっているケースも多いです。
3-4. 泥沼化する前の離婚で精神的な負担が少ない
20代の場合は婚姻期間も長くないので、婚姻生活に起因するしがらみもそこまでない場合が多くあります。そのため、関係が完全に破綻(はたん)して泥沼化する前に離婚を選択できます。婚姻生活が悪化した中での共同生活や長期にわたる離婚手続きなどで疲弊することなく、新しい生活を始められることも少なくありません。

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4. 20代で離婚するデメリット
20代で離婚することは、状況によってはデメリットになる可能性もあります。
4-1. 子どもが小さく子育てが大変
20代で子どもがいる場合まだ小さいことが多く、親族や行政のサポートを受けられる場合であっても任せきりにできるわけではなく、最終的には親である自分が対応しなければならない局面もあります。小さい子どもを抱えてひとり親になることは、時間も人手もお金も足りないということが起こりやすく、負担が小さくありません。
4-2. 財産分与や養育費の金額が少ない
20代の場合、一般的には年収が少なく婚姻期間も長くないことから、財産分与の対象となる共有財産も少ないことが大半です。したがって、離婚に伴い得られる財産分与の金額が限られますし、算定表に基づきお互いの年収で養育費を定めた場合には、その金額はそれほど大きくなりません。
4-3. 養育費の支払いが長期間になる
20代での離婚は、子どもがまだ小さいことも多く、養育費を支払う側である場合は支払期間が20年近くにおよびます。一方で、養育費をもらう側も、子どもが成人または大学などの高等教育機関を卒業するまでの期間が長く、再婚や転職・退職など大きな状況の変化が起こりうる可能性を考えると、支払いが滞るリスクを抱えることになります。
5. 20代の離婚に必要な準備は?
20代の離婚に必要な準備は、主に5つあります。離婚後の生活で困ったり後悔したりしないためにも、できる準備からはじめましょう。
5-1. 離婚しても後悔しないかどうか、よく考える
一時的な感情に押し流されて勢いで離婚してしまうと、後になって「離婚を選択するほどのことではなかったのではないか」と後悔することがあります。離婚した場合、金銭面で困らないか、相手の助けなしに育児ができるか、精神的な支えを失わないか、など離婚後の生活について具体的に想像してみて、離婚しても後悔しないかどうかよく考えるべきです。
5-2. 離婚後の生活の見通しを立てる
離婚により生活が大きく変わるため、意思を固めたとしてもすぐに離婚するのではなく、その後の生活の見通しを立ててから手続きを進めるべきです。具体的には、離婚後の生活費を十分に確保できるか、育児と仕事を両立できるか、子どもの学校はどうするのかなど、離婚後の生活設計を立てて準備し、ある程度目途をつけておくことが肝要です。
5-3. 離婚条件について検討する
離婚する際、未成年の子どもがいる場合には親権者を必ず決めなければなりません。あわせて、財産分与・年金分割・慰謝料・養育費・面会交流なども決めておくと離婚後のトラブルを避けられます。
財産分与とは、婚姻期間中に協力して築いてきた共有財産を分けることで、2分の1ずつ分けるのが原則です。夫婦共有の財産には、不動産・預貯金・有価証券・生命保険・退職金・車両などが対象となります。ただし、結婚前から所有する預貯金や、相続財産は、「夫婦共有の財産ではなく個人の財産である」と主張することで、分与の対象から外れます。
子どもがいる場合には養育費の金額と終期を定めます。養育費の金額は、双方の直近の年収と子どもの年齢・人数で決めることがほとんどですが、相手が働けるのに働いていなかったり、離婚協議後に不合理に収入を下げたりした場合には、年収の認定をどのように行うかが問題になることもあります。
なお、夫婦双方で同意できれば、離婚条件は公序良俗に反しない限りはどのような内容でも問題ありません。ただし、お互いの主張が食い違う場合には、離婚条件の優先順位を付けて交渉したり、主張する離婚条件に関して証拠資料を確保したりする必要があります。
5-4. 頼れる人を見つけておく
子どもがいる場合には、別居や離婚に伴い自分一人で育てていかなければならなくなるため、両親など育児に関して頼れる人や、離婚手続きについて頼れる弁護士などを見つけておくとよいでしょう。
また、各自治体の子ども家庭支援センターのほか、ひとり親家庭などへの手当て(児童扶養手当)や貸付け(母子・父子・寡婦福祉資金貸付制度)の相談窓口などもあります。自治体によっては、ひとり親が相談できる行政窓口をまとめたリーフレットや、自治体のウェブサイトに案内があるため、離婚前に居住地の自治体が行う支援内容を確認しておくことをおすすめします。
5-5. 法定離婚事由がある場合は証拠を集めておく
離婚や慰謝料を請求するにあたっては、交渉を有利に進めるためにも、あらかじめ証拠を集めておくことが大事です。
例えば、不貞がある場合は裁判所が離婚を認める「法定離婚事由」(民法770条1項1号)にあたりますし、慰謝料の請求根拠にもなりますが、相手が離婚や慰謝料の支払いの有無や金額を争ってくることがあります。このような場合、不貞行為の立証が可能な証拠をおさえておくことで、相手が争ってきても最終的には裁判離婚が可能になり、強制的に離婚できます。
また、暴力やモラハラも法定離婚事由の一つである「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)と認められることもあるので、写真やケガの診断書、録音録画、日記、行政への相談記録など、事実の立証が可能になる証拠をできる限り集めておくと、離婚や慰謝料が認められることがあります。
6. 離婚慰謝料の相場やポイント
婚姻破綻の原因を作った配偶者に対し、離婚慰謝料を請求できます。不貞や長期間の入院加療を要する暴力などがある場合には、離婚訴訟においては100万から200万円ほどの慰謝料額が認められることが多くあります。
モラハラやDVだけでは慰謝料が認められにくいのが実情ですが、日常的な暴言により自殺未遂するまで追い詰められたという事情があるケースで、離婚慰謝料として110万円が認められた例もあります。
慰謝料の金額は婚姻期間の短さや年齢に必ずしも左右されず、不貞行為の場合はどちらかというと、客観的な証拠で立証できる不貞行為の回数が金額に影響をおよぼす傾向があります。
7. 20代で離婚したいときに弁護士へ相談するメリット
これから離婚協議を始める場合だけではなく、すでに条件がまとまりそうな場合でも、進め方や決め方に納得がいっていなかったり、このまま決めてもよいか不安に思っていたりする時には、弁護士に相談することで離婚の手続きや請求できることについて説明を受けられます。将来を見据えたトラブル防止のアドバイスを得られることもありますし、精神的な安心感を得ることもできます。

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8. 20代の離婚に関する質問
人生の再スタートを切りやすいため、離婚を考えやすい状況にあるといえます。ただし、相手が拒否すると容易には離婚できず交渉が難航することもあります。婚姻期間のうち同居していた期間が極端に短い、不貞行為の事実があるなど法定離婚事由があるような場合でも、離婚を拒否されたり連絡を無視されたりすることはあります。そのため、離婚の申し入れを拒否されたら今後の進め方を検討するために弁護士へ相談すべきといえます。
厚生労働省が発表した「令和4年度 離婚に関する統計の概況」によると、全体のうち同居期間5年未満で離婚する割合が最も多いですが、最近では同居期間が20年を超える夫婦の離婚も増えています。
20代で子どもがいる場合、親権や面会交流など子どもに関する離婚条件について意見が合わないことも少なくなく、進め方によっては争いが激化して徹底的に関係がこじれてしまうなど、親子関係にまで影響をおよぼすこともあります。
また、親権を得られない場合は養育費を長期間にわたって支払う必要があることから、定め方に注意する必要があります。面会交流をきちんと定めなければ子どもに会えなくなるリスクもあるため、弁護士に相談しながら離婚手続きを進めるべきといえます。
相手から離婚を請求されたものの回避したい場合には、夫婦で話し合って関係改善を図るほかありません。直接の話し合いがうまくいかない場合は、円満調停の申立ても選択肢としてあります。
ただし、相手の気持ちが変わらない限りは離婚の回避は難しいことを念頭において対応を検討すべきです。とはいえ、有責配偶者から離婚を請求されておりこれを拒否したいという場合には、弁護士に相談したうえで今後の対応を検討した方がよいでしょう。
9. まとめ 20代の離婚はよいリスタートになる可能性も
人生をリスタートするために離婚を選択したにもかかわらず、離婚後に後悔したり、元配偶者とのトラブルが続いてしまったりするのは望ましいことではありません。ただし、離婚前の取り決めにより後悔や問題を回避することは十分可能です。また、客観的な意見を聞いたり実務の考え方を知ったりすることで、よりよい選択肢が見つかるかもしれません。
納得のいく離婚にするためにも、20代で離婚しようと考えている方は弁護士への相談をおすすめします。
(記事は2025年8月1日時点の情報に基づいています)