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不倫慰謝料の分割払いは可能? 利息は払う? 交渉方法についても解説

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不倫慰謝料の分割払いを希望する場合、弁護士の存在が頼りになります (c)Getty Images
既婚者との不倫がバレて、その配偶者から慰謝料を請求された……相手は「夫婦関係は冷え切っている」と言っていたし、貯金もそれほどないため、できるだけ慰謝料の負担を軽減したい場合、分割払いは可能なのでしょうか。主に不倫した側の視点から、不倫慰謝料の分割払いについて弁護士が詳しく解説します。
目 次
  • 1. 不倫(浮気)慰謝料の支払いは分割できる?
  • 2. 不倫慰謝料の分割払いについて交渉する前にすべきこと
  • 2-1. 慰謝料を支払う義務があるかどうかを確認する
  • 2-2. 慰謝料の請求額が妥当かどうかを確認する
  • 2-3. 慰謝料の減額を求める
  • 3. 不倫慰謝料の分割払いを認めてもらうための対応ポイント
  • 3-1. 不倫について真摯に謝罪する
  • 3-2. 一括では支払えない事情を説明する
  • 3-3. 保証人をつける
  • 3-4. 公正証書を作成する
  • 4. 不倫慰謝料を分割払いする際の注意点
  • 4-1. 一括払いよりもトータルで高額になる可能性がある
  • 4-2. 相手との関係をなかなか断ち切れない
  • 5. 不倫慰謝料を分割払いする合意書の文例
  • 6. 不倫慰謝料の分割払いについて弁護士に相談するメリット
  • 7. 配偶者の不倫相手から慰謝料の分割払いを求められたらどうする?
  • 8. 不倫慰謝料の分割払いに関してよくある質問
  • 9. まとめ|不倫慰謝料の相談は、交渉のプロでもある弁護士に
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1. 不倫(浮気)慰謝料の支払いは分割できる?

不倫した人(以下、加害者)が不倫された人(以下、被害者)に払う不倫慰謝料は一括で支払われるケースが多いものの、被害者が合意してくれれば分割払いにすることができます。加害者としてどうしても一括で支払うことが難しい場合には、相手に分割払いを提案して交渉をしてみましょう。

2. 不倫慰謝料の分割払いについて交渉する前にすべきこと

加害者が被害者の請求額を受け入れて分割払いを依頼する前には、忘れずに行うべき確認や対応があります。

2-1. 慰謝料を支払う義務があるかどうかを確認する

まずは落ち着くことが大切です。

不倫がバレてしまって慰謝料請求をされると、どうしても慌ててしまいがちです。まずは冷静になって、そもそも慰謝料を支払う義務があるかどうかを確認しましょう。

慰謝料請求の書面の多くには「2週間以内に支払わなければ法的措置をとります」という内容が書かれています。そこで、この文章に焦って準備をしないまま相手に分割について話をすると、支払い義務を認める言質を取られてしまいます

不倫したやましさがあってもまずは落ち着いて、「検討しますので回答はお待ちください」と伝えて時間の猶予をもらいましょう

また、そもそも「慰謝料を払わなくてはいけないのか」という点をしっかりと確認することが大切です。不倫が事実だとしても、慰謝料の支払い義務を負わない例外的なケースもあるからです。

たとえば、以下のような場合には慰謝料請求権が否定されます。

【相手が既婚者であると知らなかった場合】
婚活アプリで知り合っている場合などは相手が既婚者であることを知らずにいるケースが多く、その際は慰謝料の支払い義務を負わない場合があります。

【途中で既婚者と知って交際を終了させた場合】
相手が既婚者だと知った時点で交際を終了させれば慰謝料は発生しません。他方、それでも交際を続けると、続けたことについて慰謝料が発生します。

【不倫相手と配偶者の婚姻関係が破綻していた】
別居しているなど不倫相手と配偶者との婚姻関係が修復不可能なほど冷え切っていた場合は、慰謝料の支払い義務を負わないケースがあります。

なお、「破綻」は法律用語で、「夫婦の一方又は双方が既に(共同生活を営む)意思を確定的に喪失するとともに、夫婦としての共同生活の実体を欠くようになり、その回復の見込みが全くない状態」を言います(最高裁大法廷昭和62年9月2日判決)。

【夫婦関係が破綻していると思っていた】
実際は夫婦関係は破綻していなかったとしても、「夫婦関係が破綻している」と思っていたことに相応の理由があれば、慰謝料の支払い義務を免れる可能性があります。ただし、「もう夫婦関係は終わっているから」とは不倫でよく使われる常套句です。そのため、相手の言葉を不用意に信用したとされ、この主張は認められない場合が多いです。

【すでに被害者に慰謝料が支払われている】
不倫した2人は共同で慰謝料支払い義務を負うため、たとえば不倫した配偶者が被害者とに対して慰謝料を支払っている場合、損害が補填されたとされ、慰謝料請求権が否定(減額)される場合があります。

2-2. 慰謝料の請求額が妥当かどうかを確認する

不倫を理由とする慰謝料の金額は、裁判例上、離婚した場合は200万円~300万円、離婚しない場合は50万円~100万円が相場です。

初期段階で相手が請求してくる金額は、不倫慰謝料の相場金額よりも高額に設定されているケースが多いため、請求額が妥当な範囲かどうか確認しましょう。

なお、慰謝料が高額になるか、低額になるかは下記の表のように、不倫期間や婚姻期間、子どもの有無、不倫前の夫婦関係などの要素によって左右されます。

夫婦の関係性

状況

高額になる←───────→低額になる

婚姻期間

長い

短い

子の有無、年齢

あり、幼い

成人に近い、なし

不貞発覚前の

夫婦関係

円満

冷却、破綻

別居の有無、期間

同居、別居短期

長期間別居

被害者にも

不貞があったか

なし

あり、複数回

不貞発覚による影響度

状況

高額になる←───────→低額になる

被害者が

不貞した配偶者を

許したか

許していない

許した

離婚したか

離婚した

婚していない

加害者間の関係

状況

高額になる←───────→低額になる

既婚者と

知っていたか

知っていた

長期間隠されていた

離婚の予定

ないと言われていた

あると言われていた

どちらから

誘惑したか

自分から

相手から

立場関係

自分が上、

または対等

自分が下

不貞の期間と回数

長期、多数

短期、少数

同棲の有無

同棲あり

同棲なし

妊娠、出産、

認知の有無

あり

なし

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2-3. 慰謝料の減額を求める

慰謝料の減額を求める場合は、相手に対し、上の表で解説した減額要素のうち当てはまるものを主張して相場のなかでも低額のほうに分類されるケースであることを伝えましょう。あるいは、経済的に支払いが困難な状況であることを伝え、減額交渉をするのも一つの方法です。

もっとも、慰謝料の減額交渉は、かえって紛争を激化させる危険もあるため、伝え方には注意が必要です。

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3. 不倫慰謝料の分割払いを認めてもらうための対応ポイント

不倫慰謝料の分割払いを認めてもらえる可能性を高めるために行うべき対応は主に4つあります。

3-1. 不倫について真摯に謝罪する

まずは被害者に対して真摯に謝罪をしましょう。「反省していない」と思われているままでは交渉は困難です。

真摯な謝罪によって被害感情が和らげば、被害者もある程度冷静になり、配慮を引き出して分割払いを認めてもらえるケースもあります。筆者が弁護士として関わった事例では、直接謝罪する場を設けることを条件として慰謝料の減額や分割払いを認めてもらった経験があります。

3-2. 一括では支払えない事情を説明する

被害者に対し、現実的に一括払いが困難な事情を伝え、分割払いがやむを得ないことをわかってもらえるよう交渉します。

被害者には、一括での支払いを希望する一方で、できるだけ高い慰謝料をもらいたい心理もあります。分割払いが困難である事情を丁寧に伝えつつ、分割に応じてもらえれば慰謝料総額を増額する交渉も考えられます。

3-3. 保証人をつける

被害者が分割払いに難色を示す最大の理由は、支払いが途中で滞った際の回収リスクがあることです。逆を言えば、この不安を軽減できれば、分割払いに応じてもらえる可能性が高まります。

そこで、分割払いが滞った場合に代わりに支払いを行う保証人をつける方法があります。

ただし、保証人がどういう人物で、加害者とどういった関係かによっては、保証人も支払いをしない危険があるため功を奏しない可能性はあります。通常は親やきょうだいなどの親族に頼むケースが多いです。できるだけ固い職業に就いている人物に依頼したほうが交渉は成功しやすいと言えます。

3-4. 公正証書を作成する

不倫をした事実や、被害者から慰謝料請求をされている事実は、他人に打ち明けづらいプライベートな問題です。また、不倫慰謝料の相場も50万円~300万円と安い金額ではないため、保証人を引き受けてくれる人を探すのも大変です。

そこで、加害者が保証人なしで対応する方法として、公正証書の作成という選択肢があります。公正証書とは、公証人が作成する公文書であり、きわめて強力な証拠力を有します。

また、金銭の支払合意と、いわゆる強制執行認諾文言が記載されている場合、不払いがあったときは、裁判手続を経ることなく、金銭を受け取る被害者側は直ちに強制執行できます。分割払いが滞った場合に、直ちに強制執行を申し立てることができるように公正証書を作成して、被害者を安心させることができれば、分割払いの交渉が成功しやすいです。

公証役場は、全国各地に300カ所ほどあり、住所地に関係なくどこの公証役場でも公正証書が作成できます。なお、公正証書の作成には数万円の費用がかかります。

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4. 不倫慰謝料を分割払いする際の注意点

不倫慰謝料を分割払いする際は、主に以下の2点に注意する必要があります。

4-1. 一括払いよりもトータルで高額になる可能性がある

分割払いに応じてもらう交渉として慰謝料総額を増額する方法がある一方、逆に被害者のほうから「分割払いに応じる条件として増額してほしい」と提案されるケースもあります。被害者としても分割払いのリスクを負うわけで、増額要求は自然な流れと言えます。

この場合、細かい支払い条件の交渉はできたとしても、慰謝料額を据え置いたままの分割払いは困難です。結果として、一括払いよりもトータルで支払う金額が高額になる可能性があります。

4-2. 相手との関係をなかなか断ち切れない

分割払いの期間をどの程度に設定するかによりますが、不倫慰謝料の相場が50万円~300万円であることからすれば、完済までの期間が長期となる場合も多いです。

分割払いが完了するまでは関係性が切れないため、分割払いをする側もされる側も、切り替えることができず、精神的な負担を感じるおそれがあります。

分割払いを認めてもらったのに、支払いが滞っては本末転倒です。分割払いで対応する場合は、無理のない返済計画を立てつつ、親族の援助を得たり、ボーナス時の支払い額を増額したりするなどの工夫をして、できるだけ早い返済をめざすことをお勧めします。

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5. 不倫慰謝料を分割払いする合意書の文例

合意書を作成する際には、例文を活用するのが便利です。以下でテンプレートを紹介するので、適宜ご利用ください。

なお、実際の合意書は個々の事情によって必要な記載や望ましい表現などは異なるため、基本的には弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。本書式はあくまで一般的な参考例であり、使用結果までは保証できかねますことをご承知おきください。

合意書の例

合 意 書


●●●●(以下、「甲」という)と▲▲▲▲(以下、「乙」という)とは、乙と甲の夫××××(以下、「丙」という)とが不貞行為に及んでいた件(以下、「本件」という)につき、以下のとおり合意が成立したので、その証として本合意書2通を作成し、甲乙各1通ずつ保有する。


第1条(謝罪)

 乙は、丙と不貞を行ったことにつき、深く謝罪する。


第2条(解決金)

乙は、甲に対して、本件解決金として金●●万円の支払義務があることを認める。


第3条(支払方法)

乙は、前条の金員を以下のとおり分割して、甲名義の●●銀行●●支店普通口座(口座番号●●●●●●)に振り込む方法により支払う。ただし、振込手数料は乙の負担とする。

⑴ 令和●年●月から令和●年●月まで 毎月末日限り ●万円

⑵ ⑴のうち、令和●年7月及び令和●年12月については、上記金額に●万円を上乗せして支払う


第4条(期限の利益喪失)

乙が、前条の金員の支払いを2回以上怠ったときは、当然に期限の利益を失い、乙は、甲に対し、第2条の金員から既払い金を控除した残額及びこれに対する期限の利益を失った日の翌日から支払済みまで年●パーセントの割合による遅延損害金を、第3条の預金口座に振り込む方法で直ちに支払う。ただし、振込手数料は乙の負担とする。


第5条(接触禁止)

乙は、甲に対し、正当な理由なく、今後、面会、電話、メール、LINE、SNSなど手段の如何を問わず、丙と一切接触しないことを約束する。


第6条(連絡先の削除)

乙は、自身のスマートフォンやPCから丙の連絡先及び情報をすべて削除する。


第7条(資料の削除)

乙は、本件に関して撮影した丙の写真や動画、SNSの投稿などの資料をすべて削除する。


第8条(求償権不行使)

乙は、本件不貞行為に基づく慰謝料支払債務に関して、丙に対する求償権を放棄する。


第9条(違反した場合)

乙が、本合意書の第●条及び第●条に違反した違反した場合、違反した都度、乙は甲に対して違約金として金30万円を支払わなければならない。


第10条(秘匿条項)

乙は、甲に対し、不貞の事実や本合意書の内容について第三者に口外しないことを、約束する。


第11条(清算条項)

甲及び乙は、甲と乙の間には、本合意書に定めるもののほかに、何らの債権債務がないことを相互に確認する。


令和   年   月   日


(甲)

住所


氏名                  印


(乙)

住所


氏名                  印

以上

合意書に記載する事項は主に以下のとおりです。

【タイトル】
タイトルは何でも構いません。「合意書」や「示談書」というタイトルが多いです。

【不貞行為の事実を認める文言|第1条】
「不貞行為に及んでいた件」という特定がされているので必須ではないものの、被害者の感情に配慮し、不貞の事実を認めて謝罪する条項を入れる場合があります。

【具体的な慰謝料の金額、支払い方法、期限|第2条、第3条】
支払い方法は、毎月定額を支払っていく方法や、頭金を入れる方法、ボーナス月に上乗せする方法など、加害者の経済状況によって柔軟に決めることができます。

【合意内容に違反した場合のペナルティー|第4条、第9条】
「支払いが滞ったら残金一括払い」という約束を求められるケースが多いです。「期限の利益喪失約款」と言われるもので、支払いの遅滞が何回まで許されるかは自由に決められる一方、支払う側としては、つい振り込みを忘れてしまうこともあり得るため、遅滞は「2回」としておくことをお勧めします。併せてテンプレートの第9条のように「違約金」を設定する合意の仕方もあります。合意の拘束力を強めておくと、被害者に安心してもらうことができます。

【慰謝料以外の誓約事項(接触禁止、誹謗中傷禁止など)|第5条、第6条、第7条】
解決金を支払ったあとも不貞関係が切れないことがあります。接触禁止、連絡先の削除、写真や動画データの削除、SNS投稿の削除、口外禁止、誹謗中傷禁止など、今後のトラブルを防止するための誓約事項を定めておくのが望ましいです。不貞関係時の写真や動画データの削除は、リベンジポルノなどの防止を主な目的です。

【求償権の放棄(不倫相手だけに請求する場合)】
不倫された被害者は、不倫した配偶者と不倫相手のそれぞれに慰謝料を請求できます。不倫した2人は共同で慰謝料支払い義務を負うため、たとえば不倫相手が被害者に対して100万円の慰謝料を支払ったら、そのうち原則として50%を不倫した配偶者に請求できます。この権利を「求償権」と呼びます。

このケースで夫婦が離婚しない場合、せっかく不倫相手から100万円もらったのに、不倫相手から不倫した配偶者に求償されたら、同じ財布から50万円が出ていくことになります。これを防ぐために、被害者は不倫相手と合意書を結ぶ際に求償権の放棄を求めてくることがあります。

加害者の立場としては、自らの権利である求償権を放棄することはなかなか難しいかもしれません。求償権は正当な権利であるため、求償権放棄を条項に入れるときは慎重に判断する必要があります。

関連
求償権とは? 不倫相手が行使できる権利 求償権放棄についてもわかりやすく解説

【清算条項】
解決金や示談金の支払いをもって、これ以上紛争を蒸し返さないという合意です。清算条項を入れないと、あとから追加で請求されるおそれがあるため、必ず入れるようにしましょう。

【秘匿条項】
不貞の事実や解決金の金額などを第三者に口外しないという約束条項を入れておくと、後々のトラブルを避けられます。

6. 不倫慰謝料の分割払いについて弁護士に相談するメリット

不倫慰謝料は、明確に加害者と被害者が分かれるのが特徴です。

不倫した加害者本人が減額や分割払いの交渉をすると、被害者にとっては「反省していない」「自分の苦しみを過小評価された」と感じてしまいがちです。つまり、加害者からの提案は、被害者の感情を害してうまく交渉が進まないケースが多いです。

この点、弁護士が間に入ると、第三者目線で相場感を伝えたり、被害者に共感を示して被害感情を和らげたりすることが可能になります。また、弁護士がついていると、被害者としても分割払いに応じる不安感が軽減されるため、分割払いの交渉もスムーズに進みやすいです。

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7. 配偶者の不倫相手から慰謝料の分割払いを求められたらどうする?

慰謝料の分割払いは、被害者の立場からすると、考慮すべき要素が少なくありません。

被害者にとって分割払いに応じる最大のデメリットは、支払いが途中で止まってしまうリスクがある点です。最初から踏み倒すつもりの人もいれば、まじめに払おうとしている人でも、リストラ、減給、病気といった事情の変化で支払いたくても支払えなくなるケースがあります。

支払いが止まってしまうと、支払いを催促したり、回収のため法的措置を講じたりする必要があり、大きな手間がかかってしまいます。また、分割払いの間は不倫された事実を忘れることができない点もデメリットです。

他方、分割払いに応じるメリットは、通常はもらえる金額が多くなることです。分割払いに応じる場合には、「連帯保証人をつけさせる」、または「強制執行認諾文言付き公正証書を作成する」といった策を講じてデメリットを軽減するように心がけましょう。

8. 不倫慰謝料の分割払いに関してよくある質問

Q. 分割払いの不倫慰謝料に利息はつく?

不倫慰謝料の分割払いの際に利息をつけることはあまりありません。合意がなければ、支払いが期限に遅れない限り、利息は発生しません。


もっとも、当事者の合意によって利息を定めることはできます。現在の法定利率は3%ですが、示談金の支払いには利息制限法が適用されないため利率の上限はありません。

Q. 不倫慰謝料の分割払いの期間や回数と、1回あたりの相場額は?

分割払いの期間や回数は、当事者が自由に決めることができます。上限は特にありません。


とはいえ、これまで解説したとおり分割払いにはもらう側にリスクがあります。長期になると管理の手間もあるため、実際は長くても1年~2年程度とされるケースが多いです。


また、加害者側から長期の分割を求めると、「楽をしようとしている」と被害者の感情を害することもあります。

Q. 慰謝料の分割払いを拒否されたらどうする?

一括払いが現実的に難しい事情を丁寧に伝え、「自分も適正な金額を支払いたいと思っている」という前提で、「一括払いだとすると頑張っても〇万円になってしまう」と具体的な金額も伝えつつ交渉しましょう。頭金をある程度準備し、支払えない分だけ分割を依頼することで納得してくれる場合もあります。


相手も支払ってはもらいたいはずです。まとまらずに訴訟をするのもコストがかかるため、粘り強く交渉すれば糸口が見える可能性もあります。

Q. 分割払いの不倫慰謝料を払わず、滞納しているとどうなる?

合意書を交わしていて分割払いの不倫慰謝料を支払わなかった場合、その時点で期限の利益を喪失し、残金を一括払いする義務が生じます。そればかりか、違約金を定めていれば違約金の支払い義務が追加され、残金+違約金に対して遅延損害金が加算されます。遅延損害金の利率によっては、あっという間に膨れ上がってしまう事態もあり得ます。


合意書を公正証書化していれば、直ちに財産の差し押さえを申し立てられ、自宅、預金、自動車といった財産や給与を差し押さえられてしまいます。あるいは、連帯保証人をつけている場合には、連帯保証人に支払いの催促がいき、迷惑をかけてしまいます。


近年は多様な債権回収の手段があるので、踏み倒して逃げ切ることは難しくなっています。支払いが滞ることのないよう、無理のない分割回数を交渉するようにしましょう。

9. まとめ|不倫慰謝料の相談は、交渉のプロでもある弁護士に

不倫慰謝料を請求されたときは、まずは落ち着いて、そもそも自分は不倫慰謝料を支払わなければならないケースなのか、あるいは支払うべきだとしてもその金額は妥当なのかしっかり検討をし、相手からの請求額が適正額を上回っていた場合は、第一に減額交渉をしましょう。

そのうえで、不倫慰謝料の一括払いが難しい場合には、真摯な姿勢で相手と交渉します。もっとも、分割払いには支払いをする側にもデメリットがあるので、どのようなデメリットがあるかを理解しておく必要があります。

不倫慰謝料は被害感情が強いため分割払いの交渉を自分でやり抜くのは難しいケースが多いです。また、仮に合意できても合意書を交わす際には専門家に見てもらうほうが安心できます。請求された金額を一括で支払うことが難しく、分割払いにしてもらいたい場合は交渉のプロでもある弁護士への相談をお勧めします。

(記事は2025年6月1日時点の情報に基づいています)

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