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1. 離婚届とは
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1-1. 離婚届を提出できる人・提出先・提出方法
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1-2. 離婚届の提出期限
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2. 離婚届の用紙のもらい方|どこでもらうのか?
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2-1. 市区町村役場の窓口で交付を受ける
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2-2. ウェブサイトからダウンロードする
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3. 離婚届の書き方|見本(記載例)も紹介
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3-1. 離婚届の見本(記載例)
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3-2. 離婚届を訂正する際に訂正印は必要か
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4. 離婚届と一緒に出す書類|必要書類一覧
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5. 離婚届の証人とは
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6. 離婚届が受理されないケース
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6-1. 記載内容に不備がある場合
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6-2. 離婚届不受理申出が行われている場合
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7. 離婚届に関してよくある質問
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8. まとめ|離婚届が円滑に受理されるためには、弁護士に相談を
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1. 離婚届とは
「離婚届」とは、夫婦が離婚することを市区町村役場に届け出る書類です。
1-1. 離婚届を提出できる人・提出先・提出方法
離婚届は、届出人本人の署名がなされ、必要事項が記載されていれば、本人以外でも提出することができます。本人以外の人が離婚届を提出した場合は、本人確認のために後日、本人へ通知が郵送されます。
離婚届の提出先は、届出人の本籍地または所在地の市役所、区役所または町村役場 です。窓口へ持参するか、または郵送で提出します。
1-2. 離婚届の提出期限
離婚届の提出期限は、離婚手続きの種類(=離婚の種別)によって異なります。
離婚の種別 | 手続きの概要 | 離婚届の提出期限 |
---|---|---|
協議離婚 | 夫婦間で話し合った結果の | なし(随時) |
調停離婚 | 家庭裁判所の離婚調停によって得られた | 調停成立日から起算して |
審判離婚 | 離婚調停が不成立となった場合に、 | 審判確定日から起算して |
和解離婚 | 離婚訴訟において得られた | 和解成立日から起算して |
認諾離婚 | 離婚訴訟において、被告が原告の請求を | 認諾日から起算して |
判決離婚 | 離婚訴訟の判決によって | 判決確定日から起算して |
協議離婚の場合は、離婚届の提出によって離婚が成立します。そのため、離婚届の提出に期限はなく、当事者が提出時期を自由に決めてかまいません。これに対して、協議離婚以外の方法で離婚する場合は、離婚が確定して効力を生じた日から起算して10日以内に離婚届を提出する必要があります 。
2. 離婚届の用紙のもらい方|どこでもらうのか?
離婚届の用紙は、市区町村役場の窓口で交付を受けることができます。また、離婚届の様式は全国共通で、ウェブサイト上からダウンロードした様式も利用可能です。
2-1. 市区町村役場の窓口で交付を受ける
離婚届の用紙は、各市区町村役場の窓口で交付しています。戸籍を取り扱う窓口を訪問して、離婚届の用紙を取得しましょう。記載方法がわからない場合は、職員に質問することもできます。
2-2. ウェブサイトからダウンロードする
離婚届の様式は全国共通です。以下の記事から法務省の共通様式の離婚届をダウンロードすることができます。
離婚後も結婚中の名字を名乗りたい場合に離婚届と一緒に提出する「離婚の際に称していた氏を称する届」も上記の記事からダウンロードできます。
また、自治体のウェブサイトにも離婚届の様式が掲載されている場合があり、それをダウンロードして利用することも可能です。掲載されている場合は、「市区町村名+離婚届」などと検索すればヒットします。
なお、ダウンロードした離婚届の様式を利用する際には、A3サイズの白色用紙に印刷する必要があるほか、提出先の市区町村役場にダウンロード版の利用が可能かどうかをあらかじめ確認 してください。
3. 離婚届の書き方|見本(記載例)も紹介
離婚届の書き方を、見本(記載例)とともに紹介します。
3-1. 離婚届の見本(記載例)
①提出日
離婚届を実際に提出する日を記載します。郵送の場合は、発送日を記載します。
②宛て先
離婚届を提出する市区町村の長を記載します。
(例)文京区長、さいたま市長
③氏名、生年月日、住所
離婚する夫と妻それぞれの氏名、生年月日、住所を記載します。氏名と住所は、住民票上の表記どおりに記載してください。
④本籍
戸籍簿上の表記のとおりに本籍地と筆頭者を記載します。外国人の場合は国籍だけを記載します。
⑤父母および養父母の氏名、父母との続き柄
夫と妻それぞれの父母の氏名を記載します。父母の離婚などによって氏名が変わっている場合は、現在の氏名を記載します。すでに父母が他界している場合も記載が必要です。続き柄は、夫は「長男」「次男」「三男」など、妻は「長女」「次女」「三女」などと記載します。
また、養親がいる場合はその氏名も記載します。養父または養母のいずれか、もしくはどちらも2人以上いる場合には、離婚届下部の「その他」の欄に書ききれなかった人を記載します。
⑥離婚の種別
協議離婚、調停、審判、和解、請求の認諾、判決のなかから、離婚の種別を選択してチェックします。協議離婚以外の種別では、成立日、認諾日、確定日のいずれかを記載します。
⑦婚姻前の氏にもどる者の本籍
夫婦が入っていた戸籍から離脱する側(夫または妻)、およびその人がもとの戸籍にもどるのか、それとも新しい戸籍をつくるのかを選択してチェックします。もとの戸籍にもどる場合は婚姻前の本籍地と筆頭者を、新しい戸籍をつくる場合は新本籍を記載します。
なお、婚姻中に名乗っていた氏を引き続き使用するため、離婚届と同時に「離婚の際に称していた氏を称する届出」を提出する場合は、「婚姻前の氏にもどる者の本籍」の欄はすべて記載不要です。
⑧未成年の子の氏名
18歳未満の子がいる場合は、親権者となる側の欄にその子の氏名を記載します。
⑨同居の期間、別居する前の住所
届出の時点で別居している場合は、夫婦が同居を始めたとき(年月)、別居したとき(年月)、および別居を開始する前の住所を記載します。「同居を始めたとき」とは、結婚式をあげた年月または同居を始めた年月のうち早いほうです。届出の時点で別居していない場合は、同居を始めた年月のみ記載し、その他は空欄とします。
⑩別居する前の世帯のおもな仕事
夫妻が別居する前の世帯において、該当するおもな仕事を選択してチェックします。
⑪夫妻の職業
国勢調査が行われる年度に離婚届を提出する場合に限り、夫妻の職業をそれぞれ記載します。
⑫その他
記載が必要な事項を空欄とする場合(「離婚の際に称していた氏を称する届出」を提出する場合など)、養父や養母の欄に書ききれなかった養父母がいる場合、届出人署名を代筆させる場合などに、備考を記載します。
⑬届出人署名
届出人(夫と妻)が自筆で署名します。押印欄が設けられていますが、押印は任意です。障害などによって自筆できない場合は、代筆してもらったうえで、代筆であることとその理由を「その他」欄に記載します。
⑭証人
協議離婚の場合のみ、証人2人の署名、生年月日、住所、本籍を記載します(証人については後述)。
⑮子どもに関するチェック欄
18歳未満の子がいる場合は、面会交流に関する取り決めの有無について、該当するほうを選択してチェックします。また、経済的に自立していない子(18歳以上の子を含む)がいる場合は、養育費に関する取り決めの有無について、該当するほうを選択してチェックします。
3-2. 離婚届を訂正する際に訂正印は必要か
離婚届を訂正する際には、訂正印の押印は不要です。誤記部分に二重線を引いて、正しい内容をその近くに記載すれば問題ありません。訂正するスペースがない場合は、「その他」の欄に訂正箇所と正しい内容を記載します。
なお、訂正の際に修正テープや修正液は使用できません。
4. 離婚届と一緒に出す書類|必要書類一覧
離婚届を提出する際には、離婚の種別により、離婚届のほかに以下の書類を添付する必要があります。
協議離婚:(添付書類は不要)
調停離婚:調停調書の謄本
審判離婚:審判書の謄本と確定証明書
和解離婚:和解調書の謄本
認諾離婚:認諾調書の謄本
判決離婚:判決書の謄本と確定証明書
婚姻中に名乗っていた氏を引き続き使用する場合は、「離婚の際に称していた氏を称する届」も併せて提出します。離婚届と併せて、以下の記事から法務省の共通様式のデータをダウンロードすることができます。
なお、「離婚の際に称していた氏を称する届」は必ずしも離婚届と一緒に提出する必要はなく、離婚成立後も3カ月以内であれば提出が認められます (民法767条2項)。
5. 離婚届の証人とは
協議離婚の場合は、離婚届に証人2人の署名が必要 とされています(民法764条、739条2項)。証人の役割は、夫婦双方の離婚意思を確認することです。
証人になるために特別な資格は必要なく、18歳以上であれば誰でも証人になれます。身近で信頼できる人に、証人になってもらえるよう頼みましょう。証人を頼める人がいない場合は、弁護士や行政書士などに依頼することも可能です。
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6. 離婚届が受理されないケース
以下の場合では、離婚届が受理されないので注意が必要です。
6-1. 記載内容に不備がある場合
離婚届の記載内容に不備がある場合は、受理されずに補正(訂正)を求められます。
その場で補正できる内容であれば問題ありませんが、協議離婚の際に証人の署名がない場合には持ち帰って記載してもらわなければならないため、離婚届の提出が遅れてしまうのでご注意ください。
6-2. 離婚届不受理申出が行われている場合
配偶者によって役所に「離婚届不受理申出」がされている場合は、離婚届が受理されません 。離婚届不受理申出は、夫婦の一方が離婚届を勝手に提出し、受理されてしまうことを防ぐための制度です。
離婚届不受理申出がされている場合には、配偶者に申出を撤回してもらうか、または協議離婚以外の方法によって離婚を成立させなければ、離婚届が受理されません。
7. 離婚届に関してよくある質問
8. まとめ|離婚届が円滑に受理されるためには、弁護士に相談を
離婚届の用紙は市区町村役場の窓口のほか、ウェブサイトでも入手できますが、届出の際に円滑に受理してもらうためには、必要な事項を適切にもれなく記載することが大切 です。また、離婚の種別によって提出期限や添付書類が異なるため、注意が必要です。
離婚届の書き方がわからない場合は、弁護士に相談することをお勧め します。離婚届の用紙の準備や、内容に不備が生じないようアドバイスを受けることもできるので、スムーズに離婚届を作成できます。
弁護士には、離婚手続き全般の対応を依頼することも可能です。配偶者との離婚について不明な点や不安があったら、弁護士に相談することが解決への近道です。
(記事は2024年12月1日時点の情報に基づいています)