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1. 離婚調停で不利になる発言とは?
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1-1. 相手への人格非難や誹謗中傷
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1-2. 嘘や矛盾がある発言
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1-3. 推測のみに基づく発言
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1-4. 具体性がなく、あいまいな発言
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1-5. 離婚条件などについて一切譲歩しない発言
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1-6. 簡単に譲歩する旨の発言
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1-7. ほかの異性との交際などをほのめかす発言
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1-8. 相手との直接交渉をほのめかす発言
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1-9. 聞かれたことに答えない発言
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1-10. 調停委員を否定する発言
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2. 発言以外で不利になる離婚調停中の行動は?
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2-1. 離婚調停の期日への無断欠席や遅刻
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2-2. 相手との直接交渉
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2-3. 相手に対する嫌がらせや脅迫
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2-4. ほかの異性との交際
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2-5. 子どもの連れ去り
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2-6. 勝手に財産を処分する
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3. 離婚調停で聞かれることは?
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3-1. 申立人に対して聞かれること
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3-2. 相手方に対して聞かれること
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4. 離婚調停で調停委員に伝えるべきことは?
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5. 離婚調停を有利に進めるためのポイント
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5-1. 主張の裏づけとなる客観的な証拠を提出する
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5-2. 感情的な表現ではなく具体的な事実に基づいて主張する
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5-3. 離婚条件の優先順位をつける
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5-4. 調停委員の質問に対しては誠実に回答する
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5-5. 弁護士に代理人を依頼する
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6. 離婚調停中で不利になる発言に関してよくある質問
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7. まとめ 離婚調停での発言で不利にならないために、弁護士に相談を
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1. 離婚調停で不利になる発言とは?
離婚調停とは、裁判所で調停委員を介して話し合うことにより、離婚をめぐって対立している点を解決する手続きのことを指します。離婚調停で不適切な発言をすると、調停委員の心証を害してしまい、離婚手続きを進めるうえで不利になる 場合があります。不利にならないよう避けるべき発言には、主に次のようなものがあります。
相手への人格非難や誹謗中傷
嘘や矛盾がある発言
推測のみに基づく発言
具体性がなく、あいまいな発言
離婚条件などについて一切譲歩しない発言
簡単に譲歩する発言
ほかの異性との交際などをほのめかす発言
聞かれたことに答えない発言
調停委員を否定する発言
それぞれについて、詳しく解説します。
1-1. 相手への人格非難や誹謗中傷
相手への人格非難や誹謗中傷は絶対にするべきではありません。不貞行為やDV(ドメスティック・バイオレンス、家庭内暴力)、モラハラ(モラル・ハラスメント)など、婚姻中の相手の行動に問題がある場合、その内容を客観的かつ具体的に伝えることは重要ですが、感情に任せて相手の人格非難や誹謗中傷にあたるような発言をすると、逆に調停委員に悪い印象を与えてしまう おそれがあります。
1-2. 嘘や矛盾がある発言
客観的な事実に反する発言や、それまでの発言と矛盾する発言は避けるべきです。手続きを自分に有利に進めたいがために、本当は財産を持っているにもかかわらず、「財産はほとんど持っていない」といった発言をしたり、不貞行為の期間が1年にわたるにもかかわらず、「不貞行為を行ったのは1回だけしかない」といった発言をしたりしても、ほかの発言や証拠と照らして虚偽と発覚する可能性が高いでしょう。
その発言が事実に反すると発覚した場合、自分の発言に対する信用性がなくなってしまう おそれがあります。
1-3. 推測のみに基づく発言
具体的な証拠や資料がないにもかかわらず、推測のみに基づいて発言することも避けたほうがよいです。「証拠はないが不倫をしているに違いない」などと発言しても、証拠がなければ事実と認めてもらうことは難しく、かえって自らの主張の信用性を落としてしまう 可能性があります。
1-4. 具体性がなく、あいまいな発言
具体性がなくあいまいな発言も避けるべきです。「具体的な言葉は覚えていないが、いつも人格を否定されるようなことを言われていた」などと発言しても、信用性は低いと判断されます。事前に記憶を喚起したり資料を確認したりしておくことで、具体的な事実を主張できるように準備 しておく必要があります。
1-5. 離婚条件などについて一切譲歩しない発言
離婚条件などに関して「一切譲歩しない」などの発言もよくありません。離婚調停はあくまで話し合いの手続きであるため、互いに譲り合える部分は譲り合うことで落としどころを探す姿勢が重要です。「相手が離婚したいと言ってきたのだから、親権も財産分与も一切譲るつもりはない」など、一切譲歩しない態度に固執した場合、調停の手続き内では解決ができず、かえって解決までに相当な時間を要する原因 となってしまいます。
1-6. 簡単に譲歩する旨の発言
逆に、簡単に譲歩するような発言も望ましくないので注意が必要です。早期に解決したいがあまり、「離婚できれば何でもいいです」などと発言してしまうと、自分に不利な条件での離婚を押しつけられてしまう 可能性があります。離婚に関してどのような条件を重視するかにもよりますが、簡単に譲歩するような発言は避けたほうが無難です。
1-7. ほかの異性との交際などをほのめかす発言
「今、付き合っている人がいる」など、ほかの異性と交際していることをほのめかす発言も避けたほうがよいでしょう。法的には婚姻関係が破綻したあとの不貞行為は問題がないといえますが、このような発言をすることによって、自らの不貞行為が離婚原因であるとの印象を与えかねませんし、場合によっては不貞行為に基づく慰謝料を請求される可能性 もあります。ほかの異性との交際について自ら積極的に発言することはお勧めできません。
1-8. 相手との直接交渉をほのめかす発言
離婚調停の話し合いがうまくいかなかった場合などに、「調停委員とは話したくない。あとで相手と2人で話します」などと相手との直接交渉をほのめかす発言をすることも、避けるべきです。調停を通さずに直接交渉をするような発言をしてしまうと、話し合いができないといった印象や、相手に危害を加えるつもりではないかという疑念をもたれる おそれがあります。
1-9. 聞かれたことに答えない発言
調停委員から聞かれたことに対しては、正面から誠実に回答するようにしてください。たとえば、夫婦の婚姻の経緯について聞かれているにもかかわらず離婚条件について語り出すなど、聞かれたことに対して回答しなかったり、具体的な事実が聞かれているにもかかわらず主観的な感想を述べたりすると、調停委員の心証を害するおそれがあります。
1-10. 調停委員を否定する発言
調停委員に対するネガティブな発言もよくありません。調停委員からこちらに不利な提案がなされたとしても、「相手の味方ばかりして、私の言い分をまったく聞いてくれない」など、調停委員に対してネガティブな発言をすると、調停委員の心証を害するおそれがあります。
2. 発言以外で不利になる離婚調停中の行動は?
離婚調停で注意が必要なのは、発言だけではありません。行動にも気をつけるべきです。離婚調停で注意すべき行動には、以下のようなものがあります。
2-1. 離婚調停の期日への無断欠席や遅刻
離婚調停の期日に無断での欠席や遅刻をすることは避けるべきです。調停委員に不誠実な人間だという印象を与えてしまいます。
2-2. 相手との直接交渉
離婚調停を行っている最中に、離婚条件などについて調停の手続きを通さずに相手と直接交渉するのは避けるべきでしょう。夫婦間での離婚に関する話し合い(離婚協議)がまとまらないために離婚調停を行っているわけですから、調停委員を介さずに夫婦間で話し合いをしたとしても、かえってこじれてしまう可能性が高いです。
2-3. 相手に対する嫌がらせや脅迫
離婚調停がうまくいかないとつい感情的になってしまいがちですが、だからといって、相手に対する嫌がらせや脅迫を行ってはいけません。離婚調停で不利に働くのはもちろん、民事や刑事の責任が追及される可能性もあります。
2-4. ほかの異性との交際
ほかの異性との交際も、離婚調停中は控えたほうがよいでしょう。不貞行為を疑われると、離婚調停で不利に働いてしまいます。また、不貞行為に関して慰謝料請求をされるおそれもあります。
2-5. 子どもの連れ去り
夫婦の間に子どもがいる場合、一方が子どもを実力行使で連れ去ってしまうケースもあります。しかし、このような行為は実の子どもであっても誘拐と判断されかねないため、行うべきではありません。相手が子どもを取り戻すため、家庭裁判所に子の引渡し審判、子の監護者指定の審判、審判前の保全処分など、法的手続きを申し立てる可能性もあります。
加えて、親権者の決定や面会交流の条件を決定するうえでも、このような一方的な連れ去りはマイナスの事情として考慮されるので、その意味でも子どもの連れ去りは行うべきではありません。
2-6. 勝手に財産を処分する
離婚時には、夫婦が婚姻中に協力して取得した財産を分け合う財産分与を行います。夫婦の共有名義の財産だけでなく、夫婦どちらか一方の名義であっても夫婦が協力して取得したものは、実質的共有財産として財産分与の対象になります。
そのため、なかには財産分与の対象となる資産を減らそうと、財産を勝手に処分するケースもありますが、仮に処分したとしても財産分与をすべき金額が減るわけではありません。それどころか財産分与を回避する目的での財産の処分は、かえって不誠実な態度であるととらえられ、不利益になる場合もあります。
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3. 離婚調停で聞かれることは?
離婚調停では、調停を家庭裁判所に申し立てた人(申立人)と、その配偶者(相手方)の双方に対し、調停委員が事実関係やそれぞれの意向などを聞き取ります。具体的には主に以下のようなことを聞かれます。
3-1. 申立人に対して聞かれること
申立人が聞かれるのは、主に次のようなことです。
離婚したい理由
離婚したいと考えるにいたった理由(離婚原因)
財産分与などの離婚条件に関する考え方
子どもがいる場合は親権や面会交流に対する考え方
離婚後の生活について
3-2. 相手方に対して聞かれること
相手方が聞かれるのは、主に次のようなことです。
離婚に対する考え方
離婚原因に対する考え方
財産分与などの離婚条件に関する考え方
子どもがいる場合は親権や面会交流に対する考え方
離婚後の生活について
4. 離婚調停で調停委員に伝えるべきことは?
離婚調停では、離婚したいのかしたくないのか、離婚条件をどのように考えるかといった離婚に対する意見や、子どもとの今後の関わり方など、自分の主張や要望は明確に伝える べきです。離婚調停にいたるまでの事実関係などを調停委員に正確に理解してもらうだけでなく、自分の主張が正当であると判断してもらえるよう、説明を尽くす ことが大切です。
5. 離婚調停を有利に進めるためのポイント
離婚調停を有利に進めるためには、主に以下のような点が重要です。
5-1. 主張の裏づけとなる客観的な証拠を提出する
自分の主張を裏づける客観的な資料を提出すれば、調停委員に自己の主張の正当性を理解してもらいやすくなります。
たとえば、相手が不貞行為を行っている場合には、写真や動画、メールやLINEなどの証拠を提出しましょう。相手からDVやモラハラなどを受けている場合には、診断書や会話の録音、メッセージの履歴などを証拠として提出します。
財産分与に関しては、給与明細や確定申告書、預貯金の取引明細、不動産登記事項証明書などを提出します。
自分の主張の裏づけとなる証拠を出したほうが、主張が認められやすくなるので、離婚調停の際は事前に証拠の収集をしておくことが大切です。
5-2. 感情的な表現ではなく具体的な事実に基づいて主張する
離婚調停の場では、相手に対する誹謗中傷や自分の気持ちなどの、主観的または感情的な主張をするのではなく、あくまで具体的な事実を端的に主張することが重要です。誹謗中傷や感情的な表現を繰り返しても意味がないばかりか、かえって調停委員の心証に悪影響を与える可能性が高いため、注意が必要です。
5-3. 離婚条件の優先順位をつける
離婚調停では話し合いで解決を図るため、一方の主張がそのまま通ることは多くありません。双方が何らかの条件で譲歩することが多いので、自分が譲歩できる条件と譲歩できない条件をあらかじめ明確に し、条件に優先順位をつけておくと、相手の主張や調停委員の提案に適切に対応できます。
5-4. 調停委員の質問に対しては誠実に回答する
調停委員とのやりとりでは、誠実に対応することが何より重要です。調停委員の質問には言葉を尽くして誠実に回答することで、事実関係を正確に理解してもらいやすくなりますし、調停委員を味方につけられることもあります。間違っても調停委員に敵対的な態度をとったり、ネガティブな発言をしたりすることは避けてください 。
5-5. 弁護士に代理人を依頼する
離婚調停は自身で対応することもできますが、ここまで解説したとおり、離婚調停には注意すべき点が多く、法律に関する専門的な知識も必要となるため、離婚に精通した弁護士に代理人になってもらうことも有効です。依頼された弁護士は、依頼者が少しでも希望の条件で離婚できるよう、証拠集めから調停での話し合いまで全面的にサポートしてくれます。
6. 離婚調停中で不利になる発言に関してよくある質問
7. まとめ 離婚調停での発言で不利にならないために、弁護士に相談を
離婚調停においては、言ってはいけないことや控えるべき行動などが多くあります。一方で、自分の主張や要望など、伝えるべきことはきちんと調停委員に伝えることも大切です。
ただし、多くの人にとって離婚調停は初めての体験でしょう。そのため、こうした注意点をふまえて自身で適切に対応することは、簡単ではありません。離婚調停を有利に進めるためには、夫婦関係や男女関係に関する調停に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。
(記事は2024年12月1日時点の情報に基づいています)