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1. 離婚したら戸籍はどうなる?
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1-1. 離婚した夫婦の戸籍は別々になる
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1-2. 元の戸籍に残るのは筆頭者
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1-3. 戸籍から抜ける人(除籍される人)は、どの戸籍に入るのか?
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1-4. 子どもの戸籍はどうなるのか?
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2. 離婚歴は戸籍に記載される
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2-1. 離婚歴に関する戸籍の記載内容(協議離婚の場合)
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2-2. 離婚歴に関する戸籍の記載内容(調停離婚・裁判離婚の場合)
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2-3. 戸籍から離婚歴を消す方法
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3. 離婚歴は住民票からも分かることがある
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3-1. 旧姓に戻ったことは住民票に記載される
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3-2. 住民票から離婚歴を消す方法
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4. 離婚時に必要な戸籍関係の手続き
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4-1. 自分が筆頭者の場合|特別な手続きは不要
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4-2. 自分が筆頭者ではない場合|状況によって手続きの要否が異なる
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5. 弁護士には、離婚と戸籍についての相談もできる
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6. 離婚と戸籍に関するよくある質問
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7. まとめ 離婚後の戸籍は筆頭者ならそのまま、除籍者は変わる
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1. 離婚したら戸籍はどうなる?
夫婦が離婚すると、双方の戸籍は別々になります。元の戸籍に残るのは筆頭者で、筆頭者でない側は別の戸籍に移ります。
1-1. 離婚した夫婦の戸籍は別々になる
戸籍は1組の夫婦と、同じ氏の未婚の子を単位に作成されています。したがって、婚姻中の夫婦は同じ戸籍に入っていますが、離婚すると別々の戸籍に分かれることになります。
1-2. 元の戸籍に残るのは筆頭者
夫婦が離婚した場合、筆頭者は元の戸籍に残ります。夫婦のうち戸籍の筆頭者となるのは、結婚する際に選択した氏(苗字)を結婚前から称していた側です。筆頭者の氏は離婚しても変わらず、戸籍も移動せずそのままとなります。
1-3. 戸籍から抜ける人(除籍される人)は、どの戸籍に入るのか?
夫婦のうち筆頭者でない側は、離婚によって別の戸籍へ移ることになります。元の戸籍から抜けることを「除籍」といいます。除籍される人は、結婚前に入っていた戸籍へ戻るか、または新たに編製された戸籍に入ります。
結婚前に入っていた戸籍に家族が1人でも残っていれば、その戸籍へ戻ることができます。結婚前に入っていた戸籍へ戻る場合は、離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」の欄において「もとの戸籍に戻る」にチェックを入れましょう。
これに対して「新しい戸籍をつくる」にチェックを入れると、結婚前に入っていた戸籍へは戻らず新たに作られた戸籍へ入ることになります。また、結婚前に入っていた戸籍に家族が1人も残っていなければ、その戸籍へ戻ることはできないので、必ず新しい戸籍が作られます。
1-4. 子どもの戸籍はどうなるのか?
父母が離婚しても、子どもの戸籍は変更されず元の戸籍に残ります。親権者が父母のどちらであるかにかかわらず子どもの戸籍はそのままです。
筆頭者が子どもの親権者であれば、筆頭者と子どもが同じ戸籍に残るので、特に手続きは必要ありません。これに対して、筆頭者でない側が子どもの親権者となる場合には、氏と戸籍を同じにするための手続きを行うのが一般的です(後述)。
2. 離婚歴は戸籍に記載される
離婚した事実は戸籍簿に登録されます。別の市区町村へ転籍すれば戸籍簿から離婚に関する記載は消えますが、転籍前の除籍簿には離婚に関する記載が残ります。
2-1. 離婚歴に関する戸籍の記載内容(協議離婚の場合)
協議離婚の場合、婚姻中の戸籍に残る側(筆頭者)の戸籍には、以下の内容が記載されます。
<婚姻中の戸籍に残る側(筆頭者)>
身分事項
……
離婚 【離婚日】令和○年○月○日
【配偶者氏名】○○○○
【送付を受けた日】令和△年△月△日
【受理者】□□県□□市長
<戸籍から抜ける側(筆頭者でない側)>
除籍
身分事項
……
離婚 【離婚日】令和○年○月○日
【配偶者氏名】△△△△
【送付を受けた日】令和△年△月△日
【受理者】□□県□□市長
【入籍戸籍】○○県○○市……(筆頭者名)
※送付を受けた日と受理者は、本籍地以外の市区町村役場に離婚届を提出した場合のみ記載されます。
協議離婚の後、婚姻中の戸籍から除籍された側の新しい戸籍には、以下の内容が記載されます。
身分事項
……
離婚 【離婚日】令和○年○月○日
【配偶者氏名】△△△△
【送付を受けた日】令和△年△月△日
【受理者】□□県□□市長
【従前戸籍】△△県△△市……(筆頭者名)
※送付を受けた日と受理者は、本籍地以外の市区町村役場に離婚届を提出した場合のみ記載されます。
2-2. 離婚歴に関する戸籍の記載内容(調停離婚・裁判離婚の場合)
調停離婚や裁判離婚の場合、戸籍に「離婚の裁判確定日」(調停成立日、和解成立日、請求認諾日)が記載されるなどの違いがあります。
2-3. 戸籍から離婚歴を消す方法
離婚後に別の市区町村へ転籍すると、戸籍から離婚に関する記載を消すことができます。転籍前の身分事項は出生しか記載されず、離婚に関する事項は記載の対象外となるためです。
ただし、転籍前の戸籍は除籍簿に移され、当時の本籍地の市区町村役場において保存されます。除籍謄本を取得すると、除籍簿における離婚に関する記載を確認することができます。したがって、離婚後に転籍をしても、戸籍情報から離婚に関する記載を完全に抹消することはできない点にご注意ください。
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3. 離婚歴は住民票からも分かることがある
過去の離婚歴は、戸籍謄本だけでなく、住民票の写しにおける改姓の記録からも確認できることがあります。
3-1. 旧姓に戻ったことは住民票に記載される
住民登録をしている間に苗字(姓)が変わると、その変更の事実が住民票に記録されます。
例えば、離婚して旧姓に戻った場合、同じ市区町村に住み続けている限り、住民票の写しからその事実を確認できます。ただし、苗字の変更は養子縁組など他の理由でも起こるため、住民票の記録だけで離婚が確実に証明されるわけではありません。しかし、住民票を見た人には、離婚歴を疑われる可能性があります。
3-2. 住民票から離婚歴を消す方法
離婚後に別の市区町村へ引っ越すと、新しい住民票が作られます。この際、転入前に旧姓に戻った事実は新しい住民票に記録されないため、住民票上から旧姓に戻った記録を消すことが可能です。
ただし、転出元の市区町村には、旧姓に戻った事実が記録された住民票の除票が保存されています。また、転入先の住民票には前に住んでいた自治体の情報が記載されるため、過去を調べられると旧姓に戻った事実が判明する場合もあります。
4. 離婚時に必要な戸籍関係の手続き
離婚するに当たって、戸籍関係の手続きが必要かどうかは、自分が筆頭者であるかどうか、および離婚に関する状況によって異なります。筆頭者でない方が婚姻中の氏を使い続ける場合や、子どもを自分と同じ戸籍に入れる場合には、戸籍関係の手続きを行う必要があります。
4-1. 自分が筆頭者の場合|特別な手続きは不要
離婚の際、戸籍の筆頭者であれば特別な手続きは必要ありません。筆頭者である場合、自分はそのまま現在の戸籍に残り、配偶者は自動的に除籍されて新しい戸籍に移ります。この際、配偶者の除籍手続きは不要です。
子どもがいる場合、親権者によって戸籍が変わることがあります。自分が親権者であれば、子どもはそのまま同じ戸籍に残ります。一方、元配偶者が親権者となる場合、子どもを元配偶者の戸籍に移すのが一般的で、この手続きは子ども本人(15歳未満の場合は法定代理人である元配偶者)が行います。
4-2. 自分が筆頭者ではない場合|状況によって手続きの要否が異なる
自分が戸籍の筆頭者でない場合、離婚に当たって戸籍関係の手続きが必要になるかどうかは、状況によって異なります。要否が問題となる主な手続きは2つで、「婚氏続称届」の提出と、子どもを自分と同じ戸籍に入れる手続きです。これらの手続きを要しない場合は、戸籍関係の特別な手続きは必要ありません。
【婚氏続称届の提出】
離婚後も婚姻中の姓を使い続けたい場合は、市区町村役場に「離婚の際に称していた氏を称する届(婚氏続称届)」を提出する必要があります。この届出の用紙は、市区町村役場の窓口で入手できます。
婚氏続称届は、離婚届と同時に提出するか、離婚日の翌日から3カ月以内に提出する必要があります。この期限を過ぎると、婚氏続称は認められなくなるので注意してください。
【子どもを自分と同じ戸籍に入れる手続き】
元配偶者の戸籍に残っている子どもを自分の戸籍に入れるには、まず家庭裁判所に「子の氏の変更許可」を申し立てる必要があります。
家庭裁判所の許可が得られたら、市区町村役場に「入籍届」を提出します。入籍届の用紙は、市区町村役場の窓口で受け取れます。入籍届が受理されると、子どもが自分と同じ戸籍に入ります。
5. 弁護士には、離婚と戸籍についての相談もできる
弁護士には離婚に関する悩みについて幅広く相談できます。離婚協議の進め方や離婚条件のことに限らず、離婚の事実が戸籍へどのように記録されるかなどの細かい疑問点についても相談可能です。離婚や戸籍について不安がある方は一度弁護士にご相談ください。
6. 離婚と戸籍に関するよくある質問
元夫の戸籍謄本は、自分が除籍者として記載されている場合や、子どもが元夫の戸籍に記載されている場合に取得できます。ただし、自分が除籍者でもなく、子どもも記載されていない場合は、正当な理由がなければ取得できません。なお、自分で取得できない場合でも、本籍地が分かっていれば弁護士を通じて取得できる場合があります。
昔の紙の戸籍では、離婚した人の情報がバツ印で消される形で記載されていました。しかし、現在のコンピュータ化された戸籍ではバツ印は使われず、「除籍」といった文言で離婚に伴う記録が表示されます。
また、離婚後に婚姻前の戸籍に戻った場合や新しい戸籍を作った場合でも、移動先の戸籍にバツ印が記載されることはありません。
本籍地の市区町村役場に離婚届が届いてから1週間前後で、離婚の事実が戸籍に反映されます。
「離婚の裁判確定日(調停成立日、和解成立日、請求認諾日)」など、調停離婚や裁判離婚をしたことが分かる情報が戸籍に記載されます。
子どもを自分と同じ戸籍に入れるには、家庭裁判所による子の氏の変更許可を受けた後、市区町村役場へ子どもの入籍届を提出しましょう。
自分が戸籍の筆頭者であれば、婚姻中の戸籍に残り、本籍地もそのまま変わりません。一方、筆頭者でない場合(除籍者)は、婚姻前の戸籍に戻るとその戸籍の本籍地に変わります。新しく戸籍を作る場合は、自分で本籍地を決める必要があります。
本籍地は、市区町村役場に転籍届を提出することで自由に変更できます。
7. まとめ 離婚後の戸籍は筆頭者ならそのまま、除籍者は変わる
夫婦が離婚すると戸籍が分かれ、筆頭者は元の戸籍に残り、もう一方は別の戸籍に移ります。子どもは筆頭者の戸籍に残りますが、親権者が変わる場合は手続きが必要です。
離婚は戸籍に記録され、転籍することでその記録を消すことができますが、完全には消去されません。また、離婚後も婚姻中の姓を維持したい場合や、子どもを自分の戸籍に入れたい場合は、特定の手続きを行う必要があります。
離婚に伴う戸籍関係の手続きについて不安がある場合は、弁護士にご相談ください。
(記事は2025年11月1日時点の情報に基づいています)