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1. 妻からのDVとは
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2. 妻からのDVでよくある事例
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2-1. 身体的DV
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2-2. 精神的DV
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2-3. 経済的DV
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3. 妻からのDVの特徴
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3-1. 身体的暴力より精神的暴力が多い
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3-2. エスカレートしやすい
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3-3. 男性側が助けを求めにくい
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4. 妻からのDVに遭っているときにすべきこと
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4-1. 原因や改善方法を考える
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4-2. 自分や子どもへの影響の大きさを考える
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4-3. 適切な窓口に相談する
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4-4. 妻にカウンセリングを受けてもらう
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4-5. 離婚すべきか考える
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5. 妻からのDVの相談先
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5-1. 配偶者暴力相談支援センター
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5-2. 民間のDVシェルター
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5-3. 福祉事務所
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5-4. 児童相談所
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5-5. 警察
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5-6. 弁護士
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6. 妻からのDV被害に対する注意点
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6-1. 暴力を振るわれてもやり返さない
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6-2. 相手の承諾なく別居しない
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6-3. 離婚を切り出す際に安全を確保する
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7. 妻からのDVで離婚を考えたらすべきこと
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7-1. DVの証拠を集める
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7-2. 正しい方法で別居する
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7-3. 弁護士を通して離婚の交渉をする
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7-4. シェルターや児童相談所の利用も視野に入れる
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8. 妻からのDVに関するよくある質問
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9. まとめ 妻からのDVは一人で抱えずに専門機関に相談して解決を
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1. 妻からのDVとは
妻からのDV(ドメスティック・バイオレンス、家庭内暴力)は「逆DV」と呼ばれることもありますが、暴力に性別は関係ありません。妻から夫へのDVも決して珍しいものではなく、警察庁の統計によると、2023年の配偶者間の暴力相談件数8万8619件のうち、男性の被害件数は2万4684件(27.9%)と約3割を占めています。妻から夫へのDVの件数は年々増加傾向にあります。
内閣府男女共同参画局の統計によれば、配偶者暴力相談支援センターへの相談件数では、配偶者からのDVに関して男性から寄せられた相談は2023年度で3340件となっています。
妻からのDVが増えている背景には、女性の経済的自立が関係していると考えられます。専業主婦で収入がない場合、生活のために夫への不満を抑えることが多くなりますが、経済的に自立している場合は夫からの生活費が減らされても生活できるため、我慢せずに不満を表すケースが増えている可能性があります。
2. 妻からのDVでよくある事例
以下では、妻からのDVによく見られる事例を紹介します。該当する場合は、DVの被害に遭っている可能性があるため、適切な対策を講じることが重要です。
2-1. 身体的DV
妻からのDVとして、殴る、蹴る、物を投げつけるなどの身体的攻撃が挙げられます。「男性なのだから反撃できるだろう」という意見もありますが、力の差を考慮して反撃を控える男性も多いです。その心理につけ込む形で、妻が暴力を振るうケースもあります。中には、物を使って殴るなど、より深刻な暴力行為に及ぶこともあります。
2-2. 精神的DV
妻からのDVとして多いのが、人格否定や侮辱、継続的な暴言による精神的DV、いわゆる「モラハラ」です。夫の自信を奪うような言葉を繰り返し浴びせるだけでなく、子どもを利用して夫との関係を壊し、精神的に追い詰めるケースもあります。
2-3. 経済的DV
経済的DVとは、家計の全権を握り、夫のお金の使い道を制限して支配することです。妻がお金の管理を行い、十分な生活費を渡さないだけでなく、使い道を極端に制限したり、借金や浪費をしたり、「稼ぎが少ない」など収入に関する暴言を吐いたりする行為も経済的DVに該当します。
3. 妻からのDVの特徴
暴力を振るう妻には、以下のような特徴が指摘されています。
元々暴力的な性格である
プライドが高い
精神的に不安定である
実の親との関係がうまくいっていない
友人関係に恵まれおらず、身の回りに相談できる相手がいない
ただし、これらはあくまで傾向であり、該当するからといって必ずしも暴力を振るうわけではありません。その他にも、妻からのDVには以下のような特徴があります。
3-1. 身体的暴力より精神的暴力が多い
妻からのDVの特徴の一つは、身体的暴力よりも精神的暴力が多い点です。女性は一般的に男性よりも身体的な力が弱いため、暴力よりも精神的に追い詰める手段をとる傾向があります。
2023年の司法統計(表19)によると、夫が離婚を申し立てた動機のうち、「暴力を振るわれた」と回答した割合は1320件(8.7%)、「精神的に虐待された」と回答した割合は3252件(21.4%)で、性格の不一致に次いで多い結果となりました(複数回答可)。
3-2. エスカレートしやすい
男性は弱音を吐かずに我慢する傾向があるため、妻からのDVがエスカレートしやすいと言えます。夫が弱音を吐かないことで、自身の行為がDVに該当することに妻が気づかない場合もあります。
3-3. 男性側が助けを求めにくい
妻からのDVの最大の特徴は、男性側が助けを求めにくく、理解を得られにくい点です。統計からも分かるように、男性のDV被害は決して少なくありません。しかし、男性は女性よりも力が強いと見なされるため、被害が軽視されたり、「男なのに情けない」と思われたりすることで、さらに助けを求めにくくなります。被害者自身が「男性は強くあるべきだ」との固定観念から、被害を申告できないケースもあります。
4. 妻からのDVに遭っているときにすべきこと
妻からDV被害に遭っている場合、夫には以下の選択肢があります。
原因や改善方法を考える
自分や子どもへの影響の大きさを考える
適切な窓口に相談する
妻にカウンセリングを受けてもらう
離婚すべきか考える
自分が今後どうしたのかによっても対応は異なるため、じっくり考えておくことが重要です。
4-1. 原因や改善方法を考える
まずは、妻の暴力の背景や要因を冷静に分析し、解決策があるかどうかを検討しましょう。妻がDVをする理由として、以下のようなものが考えられます。
プライドが高い・自分が正しいと思い込むなど妻の性格的な問題
家事や育児の負担が大きくストレスが原因
産後うつや更年期障害、婦人病など女性特有の病気
幼少期の家庭環境
原因が一つとは限らず、複数の要因が絡み合っていることもあります。可能であれば、妻と話し合い、改善の道を模索することも選択肢の一つです。
4-2. 自分や子どもへの影響の大きさを考える
DVの程度が軽い場合は、話し合いやカウンセリングで解決できる可能性があります。しかし、DVが深刻で、自分や子どもに悪影響が及んでいる場合は、早急に対策を講じる必要があります。特に、子どもの目の前で行われるDVは「面前DV」と呼ばれ、子どもの心身に深刻な影響を与えます。子どもの安全と健全な成長を最優先に考え、別居して距離を置くことを検討しましょう。
4-3. 適切な窓口に相談する
妻からのDVは、「自分さえ我慢すればいい」「男だから被害を申告しづらい」と、一人で抱え込んでしまいがちです。しかし、自分ひとりで解決しようとせず、家族全体の問題として捉え、適切な方法で対処することが重要です。DV相談窓口や法律事務所に相談し、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
4-4. 妻にカウンセリングを受けてもらう
妻が自らの暴力を問題視し、改善するためには、カウンセリングなどの専門的な支援を受けることが有効です。直接話し合うことが難しい場合は、信頼できる第三者(親族、友人など)を交えて提案するのも一つの方法です。
4-5. 離婚すべきか考える
改善が見込めない場合や、自分の身の安全が脅かされている場合は、離婚を検討する必要があります。離婚を切り出す前に、協議離婚や離婚調停といった法的手続き、財産分与、養育費、慰謝料などの条件について、事前に弁護士へ相談しましょう。特に、子どもがDVの被害を受けないよう、父親が親権を得るには、具体的な証拠を集めることが重要です。
5. 妻からのDVの相談先
妻からのDVは、一人で抱え込んでも解決が難しいため専門機関に相談し、支援を受けることが大切です。以下に、男性も相談可能な窓口を紹介します。
5-1. 配偶者暴力相談支援センター
配偶者暴力相談支援センターは、DV被害者向けの公的相談窓口です。相談や関係機関の紹介、一時保護、カウンセリングなどのサポートを受けることができます。男女共同参画センターや福祉事務所に設置されていることもあり、窓口がやや複雑なため、どこで相談すればよいかわからない場合は、「#8008」(DV相談ナビ)に電話し、案内を受けるとよいでしょう。
5-2. 民間のDVシェルター
妻からのDVが深刻で、身の危険がある場合は、民間のDVシェルターへの相談も選択肢の一つです。民間のDVシェルターは、非営利団体が運営する一時的な避難所で、所在地は非公開とされています。緊急時の安全確保や生活支援を受けることができるため、配偶者暴力相談支援センターなどを通じて、男性の受け入れが可能なシェルターを紹介してもらいましょう。
5-3. 福祉事務所
福祉事務所は、生活困窮者や家庭問題を支援する公的機関で、各都道府県に設置されています。経済的支援や住居確保など、生活基盤を整える支援を受けられます。配偶者からのDVにより生活が困難になった人が対象です。
5-4. 児童相談所
妻からのDVが子どもに及ぶ場合は、児童相談所に相談してください。児童相談所は、子どもの虐待や家庭内問題を専門に扱う公的機関で、子どもの保護や家庭問題の解決に向けた支援を行います。妻からのDVによる影響が認められれば、指導勧告や保護などの措置が取られることもあります。
5-5. 警察
妻からのDVで身体や命の危険がある場合は、迷わず警察に通報してください。警察に相談することで、加害者に対して接近禁止命令を発令し、被害者の身の安全を守るための措置を迅速に講じてもらえます。また、相談の記録は、DVを理由とした離婚時に証拠となる可能性があります。
5-6. 弁護士
妻からのDVで離婚を検討している場合は、弁護士に相談しましょう。弁護士に依頼することで、保護命令の申請、DV加害者との離婚交渉、慰謝料や財産分与の請求、親権獲得のための法的手続きを進めてもらうことができます。仕事などで時間が取れない場合でも、こうした手続きを一任できるため、負担を軽減できます。
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6. 妻からのDV被害に対する注意点
妻からのDV被害に遭った場合、対応を誤ると自身が不利になる恐れがあります。以下では、避けるべき対応や注意点について解説します。
6-1. 暴力を振るわれてもやり返さない
妻から暴力を受けた際に避けるべきは、相手にやり返すことです。反撃すると、離婚交渉で不利になったり、DVがさらに激しくなったりする可能性があります。暴力を振るわれた場合は、冷静にその場を離れ、自身の安全を確保してください。
6-2. 相手の承諾なく別居しない
別居をする際は、妻の承諾なく別居するのは避けたほうがよいでしょう。無断で別居すると、夫婦の同居義務違反や「悪意の遺棄」と判断され、離婚調停や裁判で不利になる可能性があります。
緊急を要する場合でも、事前に弁護士や専門機関に相談したほうがリスクは少ないです。場合によっては、弁護士に交渉手続きを依頼し、別居時に弁護士を通じて相手に連絡する方法も有効です。
6-3. 離婚を切り出す際に安全を確保する
離婚を切り出す際は、まず自身の安全を確保しましょう。妻と二人きりの状況で離婚を切り出すと、相手が感情的になり、暴力が激化する恐れがあります。そのため、第三者(弁護士や支援機関)を交えた話し合いを行うか、直接の対面を避け、手紙などの書面で伝える方法を検討しましょう。
7. 妻からのDVで離婚を考えたらすべきこと
妻からのDVで離婚を考えた場合、離婚を切り出す前に準備を進めておくことで、安全かつスムーズに離婚できる可能性が高まります。以下で詳しく解説します。
7-1. DVの証拠を集める
妻に離婚を切り出す前に、まずはDVの証拠を集めることが重要です。DVの証拠があれば、離婚協議や調停、訴訟を有利に進められます。特に離婚訴訟では、証拠次第で結果が大きく左右されるため、将来的な裁判も見据えて証拠を確保することが不可欠です。
DVの証拠としては、暴力や暴言の録音・録画、ケガの写真、医師の診断書、日記などが挙げられます。どの程度の証拠が裁判で有効となるか、また証拠の集め方については、弁護士に相談しながら進めると確実です。
7-2. 正しい方法で別居する
妻の承諾を得ずに別居を開始すると、同居義務違反や「悪意の遺棄」と判断され、離婚時に不利になる可能性があります。これを避けるためには、事前に弁護士に相談し、適切な対応を取って別居を進めることが重要です。
また、配偶者と別居する際、収入が多い側には少ない側への婚姻費用(別居中の生活費)の支払い義務が生じます。妻から経済的DVを主張されることを防ぐためにも、婚姻費用は支払いましょう。
7-3. 弁護士を通して離婚の交渉をする
妻と直接対面せず、冷静かつ安全に離婚手続きを進めるためには、弁護士を通じて交渉するのが有効です。弁護士に依頼すれば、慰謝料や親権、財産分与の交渉が可能です。DVは法律上の不法行為に該当するため、証拠があれば慰謝料を請求できる可能性があります。
ただし、DVの事実があっても、財産分与や親権は別問題として扱われます。そのため、妻のDVが原因で離婚する場合でも、一定の財産分与を行う必要があります。
また、DVをする母親でも親権が認められるケースはあります。しかし、子どもにも虐待を加えていた場合は、妻にとって不利な事情となります。男性は親権争いで不利になりやすいため、子どもをDVから守るためにも、弁護士のアドバイスを受けながら手続きを進めてください。
7-4. シェルターや児童相談所の利用も視野に入れる
離婚手続きの途中で妻からのDVが激化したり、自分や子どもの身に危険が及んだりする場合は、DVシェルターへの避難や児童相談所への相談を検討しましょう。
シェルターや児童相談所を利用することで、自身や子どもの安全を確保し、生活の立て直しに必要な支援を受けることができます。身の危険を感じた場合は、ためらわずに活用してください。
8. 妻からのDVに関するよくある質問
妻がDVを理由にした離婚に応じてくれない場合は、事前に通知をしたうえで別居する、弁護士に交渉を依頼する、離婚調停を申し立てるといった方法があります。
夫側からDVが「なかった」ことを証明するのは困難です。この場合、DVの証明責任は妻にあるため、妻が証拠を示せない限り、事実を否定すれば問題ありません。虚偽のDVを主張するケースもあるため、弁護士に相談し、冷静かつ毅然と対応することが重要です。
夫が不倫をした場合は、有責配偶者に該当しますので、離婚請求は難しいでしょう。ただし、妻の暴力の内容がかなりひどい場合には、離婚請求が認められる余地はあるかもしれません。
身の危険を感じるようであれば、迷わず警察へ通報してください。離婚を検討しているのであれば、弁護士に相談しましょう。
現代において200円では十分な昼食を摂るのは困難です。状況によりますが、そのような制限が長期間続く場合、経済的DVに該当する可能性があります。
9. まとめ 妻からのDVは一人で抱えずに専門機関に相談して解決を
妻がDVをする理由はさまざまですが、性格や家庭環境が原因である場合、個人の努力だけで解決するのは難しいことが多いです。自身や子どもの安全を守るためにも、行政の支援を受けながら、早い段階で別居や離婚を検討し、距離を取ることが重要です。
また、離婚においては男性が不利になりやすい傾向があります。親権獲得だけでなく、妻が虚偽のDVを主張し、離婚手続きが不利になるケースもあります。そのため、弁護士のサポートを受けながら慎重に手続きを進めるようにしてください。
(記事は2025年10月1日時点の情報に基づいています)