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離婚裁判の期間はどれくらい? 短くするには? 長期化するケースも解説

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離婚裁判にかかる期間は1年から2年程度が一般的です(c)Getty Images
離婚調停の話し合いで合意に至らなかった場合、訴訟を提起し、裁判に進むことがあります。離婚裁判には、かなり長い期間を要する傾向にあります。弁護士のサポートを受けながら、粘り強く離婚裁判を戦いましょう。離婚裁判にかかる期間について、弁護士が詳しく解説します。
目 次
  • 1. 離婚裁判にかかる期間はどれくらい?平均や最長は?
  • 2. 離婚裁判に至るまでの流れと所要期間
  • 2-1. 離婚協議|1カ月~3カ月程度
  • 2-2. 離婚調停|1カ月~2年程度
  • 3. 離婚裁判の手続きの流れと各手続きの所要期間
  • 3-1. 事前準備
  • 3-2. 離婚訴訟の提起
  • 3-3. 口頭弁論期日|合間に争点と証拠の整理
  • 3-4. 家庭裁判所調査官による調査
  • 3-5. 当事者尋問・証人尋問
  • 3-6. 裁判所による和解の提案・和解期日
  • 3-7. 判決
  • 3-8. 上訴・判決の確定
  • 3-9. 離婚届の提出
  • 4. 離婚裁判が長期化しやすいケース
  • 4-1. 被告が法定離婚事由(不倫など)を否認している
  • 4-2. 争点となる離婚条件が多い
  • 4-3. 共有財産が多額または多数である
  • 4-4. 子どもの親権を争っている
  • 5. 離婚までの期間を短縮するためのポイント
  • 5-1. 離婚条件の優先順位を付け、状況によっては和解も検討する
  • 5-2. 控訴しないことを相手と合意する
  • 5-3. 弁護士に対応を依頼する
  • 6. 裁判離婚の成立後、再婚できるまでの期間|男女ともすぐ再婚可能
  • 7. 離婚裁判の期間に関する質問
  • 8. まとめ 離婚裁判は1年から2年程度の期間を要することが多い

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1. 離婚裁判にかかる期間はどれくらい?平均や最長は?

令和5年度の「人事訴訟事件の概況」によれば、離婚裁判の平均審理期間は15.3カ月で、判決に至ったものに限ると19.9カ月 でした。令和5年度の「司法統計年報 3 家 事 編」(p34-35)によると、同年中に終局した離婚裁判の審理期間は、下表のとおり分布しています。

認容

却下

1カ月以内

4件

1件

3カ月以内

94件

9件

6カ月以内

382件

55件

1年以内

1319件

109件

2年以内

924件

59件

2年を超える

111件

3件

総数

2834件

236件

上記のデータからは、離婚裁判には少なくとも6カ月程度、標準的には1年から2年程度の期間を見込んでおくべき であることが分かります。最長でどのくらいの期間がかかるかは不明ですが、2年を超えて離婚裁判が続いたケースが全体の4%程度あることを考慮すると、3年から5年程度続くケースも あると思われます。

2. 離婚裁判に至るまでの流れと所要期間

離婚裁判を起こす前には、離婚協議や離婚調停を試みることになります。離婚協議や離婚調停にかかる期間も合わせると、裁判離婚が成立するまでにはかなり長い期間がかかります。

2-1. 離婚協議|1カ月~3カ月程度

離婚協議は、離婚について夫婦間で直接話し合う手続きです。離婚協議の期間は論点の多さなどによりますが、短ければ1カ月程度、長くても3カ月程度での合意を目指すのがよいでしょう。意見の対立が激しいために、なかなか離婚協議が進まない場合は、早めに離婚調停へ移行しましょう。

2-2. 離婚調停|1カ月~2年程度

離婚調停は、家庭裁判所において、中立の調停委員を介して話し合う手続きです。離婚裁判に発展するのは、離婚調停が不成立になった場合です。令和5年度の「司法統計年報」によると、離婚調停が不成立になるまでには、短ければ1~3カ月程度、長ければ1~2年程度を要しています。

夫婦双方の主張が大きく食い違っている場合には、早々に調停を打ち切って離婚裁判へ移行する方が、期間を短縮する観点からは適切かもしれません。

3. 離婚裁判の手続きの流れと各手続きの所要期間

離婚裁判によって離婚が成立するまでの手続きの流れは、おおむね以下のとおりです。各手続きの概要と、所要期間の目安を解説します。

  1. 事前準備

  2. 離婚訴訟の提起

  3. 口頭弁論期日|合間に争点と証拠の整理

  4. 家庭裁判所調査官による調査

  5. 当事者尋問・証人尋問

  6. 裁判所による和解の提案・和解期日

  7. 判決

  8. 上訴・判決の確定

  9. 離婚届の提出

3-1. 事前準備

調停が不成立となった後、訴訟を提起するための準備を整えます。裁判所に提出する訴状のほか、自分の主張を裏付ける証拠なども準備しなければなりません

離婚裁判の事前準備には、調停の段階から準備が進んでいればそれほど時間はかかりませんが、そうでなければ2~3カ月程度を要するケースもあります 。なお、調停不成立から訴訟提起までの期間が2週間以内であれば、調停申立ての手数料を訴訟提起の手数料に充当できます。

3-2. 離婚訴訟の提起

準備が整ったら、家庭裁判所に訴状や証拠資料などを提出します。訴状を受理した家庭裁判所は、口頭弁論期日を指定して当事者に通知します。

被告側には訴状が送達され、被告は反論の書面(答弁書など)を家庭裁判所に提出します。訴状などの提出から第1回口頭弁論期日までは、1カ月程度の期間が置かれるのが一般的 です。

3-3. 口頭弁論期日|合間に争点と証拠の整理

口頭弁論期日は、裁判所の公開法廷で行われる期日です。当事者双方が主張と立証を行い、裁判所がその内容を踏まえて心証を形成します。口頭弁論期日の合間には、争点と証拠を整理するための期日が非公開で行われることもあります(弁論準備手続または書面による準備手続)。

口頭弁論期日または争点整理期日は、おおむね1カ月に1回程度、審理が熟するまで繰り返し開催されます 。争点が多ければ多いほど、期日の回数は多くなる傾向にあります。

3-4. 家庭裁判所調査官による調査

子どもの親権や面会交流の方法が争われている場合には、争点整理が完了した段階で、家庭裁判所調査官による調査が行われるのが一般的です。

調査官は、親子への質問や家庭訪問などを通じて、親権や面会交流の方法をどのように定めるのがよいかについて報告書を作成します。調査官の報告書は、裁判所が判断をする際の参考資料となります。調査官による調査には、2カ月程度を要するケースが多い です。

3-5. 当事者尋問・証人尋問

多くのケースでは、争点整理が完了した後、当事者や証人に対して質問をする「尋問」が行われます。尋問期日では、当事者双方の代理人と裁判所が、当事者や証人に対して質問を行います。質問と回答の内容は尋問調書に記録され、訴訟における証拠資料となります。尋問は、1回の口頭弁論期日において集中的に行われるのが通例です。

3-6. 裁判所による和解の提案・和解期日

離婚裁判の途中で、裁判所から和解が提案されることがあります。当事者双方が話し合いに応じる意思を示した場合は、和解期日が開催されます。和解期日では、裁判所が当事者双方と個別に面談し、心証を開示しつつ和解を促します。

和解期日は1回で終了するケースもありますが、何度か開催されるケースもあります。複数回開催される場合は、数週間から1カ月に1回程度が一般的 です。

3-7. 判決

離婚裁判の審理が熟し、当事者間で和解をすることが難しい場合は、裁判所が判決を言い渡します。判決書は、当事者双方に送達されます。判決の言い渡しは、口頭弁論終結の1カ月から2カ月程度後に行われることが多い です。

3-8. 上訴・判決の確定

一審判決に不服がある場合は、高等裁判所に控訴できます。控訴の期間は、判決書の送達を受けた時から2週間 以内です。

控訴審では、一審判決に問題がなかったかどうかが審査されます。争点は不服が申し立てられた点に絞られ、口頭弁論期日は1回で終了することも多いです。控訴審にかかる期間は、短ければ3カ月から 半年程度、長ければ1年程度が想定されます。

控訴審判決に不服がある場合は、最高裁判所に上告できます。上告の期間も控訴と同様に、判決書の送達を受けた時から2週間以内です。ただし、上告が受理されるための要件は厳しく、却下されるケースが大半となっています。

上告審判決が言い渡されるか、または期間内に適法な控訴・上告がなされなければ、判決が確定します。離婚を認める判決が確定した場合には、裁判離婚が成立します。

3-9. 離婚届の提出

裁判離婚の成立後、判決離婚の場合は判決確定日を含めて10日以内、和解離婚の場合は和解成立日を含めて10日以内に、市区町村役場に対して離婚届を提出 します。判決離婚では判決書謄本と確定証明書、和解離婚では和解調書を添付する必要があります。

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4. 離婚裁判が長期化しやすいケース

以下のようなケースでは、離婚裁判が長期化しやすい傾向にあります。

4-1. 被告が法定離婚事由(不倫など)を否認している

離婚裁判において離婚を認める判決が言い渡されるのは、不貞行為などの法定離婚事由が認められる場合に限られます(民法770条1項)。被告が法定離婚事由を否認している場合には、その有無に関する審理が時間をかけて行われるため、離婚裁判が長期化する傾向 にあります。

4-2. 争点となる離婚条件が多い

離婚裁判では、財産分与・年金分割・慰謝料・婚姻費用・親権・養育費・面会交流など、さまざまな離婚条件が争われます。争点となる離婚条件が多ければ多いほど、審理にかかる時間も長くなる傾向にあります。

4-3. 共有財産が多額または多数である

財産分与の対象となる共有財産が多額または多数に及ぶ場合は、対象財産の把握や適切な評価をするために、時間をかけて審理 が行われます。その結果、離婚裁判が長期化することが多いです。

4-4. 子どもの親権を争っている

子どもの親権を争っている場合には、家庭裁判所調査官による家庭訪問などの調査が行われます。調査官の調査には2カ月程度を要するので、その分離婚裁判が長期化 します。

5. 離婚までの期間を短縮するためのポイント

離婚裁判の期間を短縮したい場合、以下のポイントに留意して対応しましょう。

5-1. 離婚条件の優先順位を付け、状況によっては和解も検討する

離婚裁判が和解によって終了すれば、判決に至る場合よりも早期に離婚を成立させることができます 。和解を成立させるためには、すべての離婚条件について相手と合意しなければなりません。いくつかの離婚条件については、譲歩せざるを得ない でしょう。

あらかじめ離婚条件に優先順位を付けておけば、裁判所から和解提案を受けた際に、適切かつスムーズに検討を行うことができます。和解提案の内容が合理的と思われる場合は、和解に応じることも検討しましょう。

5-2. 控訴しないことを相手と合意する

離婚裁判の判決に対して控訴がなされると、離婚成立までの期間が半年から1年程度延びてしまいます 。相手との間で、判決に対して控訴しない旨をあらかじめ合意しておけば、控訴権が発生しません(不控訴の合意)。

もし控訴がなされても、不控訴の合意を立証すれば、控訴は却下されます。離婚裁判の期間を長引かせたくない場合は、相手に対して不控訴の合意を打診してみましょう。

5-3. 弁護士に対応を依頼する

離婚裁判について弁護士に依頼すれば、訴訟提起の準備をスムーズに行ってもらえます。期日においても、法的な観点から整然とした主張をしてもらえるので、結果的に審理期間の短縮に繋がるケースが多い です。

それだけでなく、適正な条件で離婚が成立する可能性が高まる点、労力やストレスが大幅に軽減される点なども、弁護士に依頼することの大きなメリットといえるでしょう。

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6. 裁判離婚の成立後、再婚できるまでの期間|男女ともすぐ再婚可能

判決の確定または和解によって裁判離婚が成立したら、その直後からすぐに再婚できます。従来は、女性のみ離婚後100日間の再婚禁止期間が設けられていました。しかし、2024年4月1日に施行された改正民法によって女性の再婚禁止期間が廃止された ので、現在では男女ともに離婚成立後すぐ再婚可能となっています。

7. 離婚裁判の期間に関する質問

Q. 離婚裁判中の生活費は請求できる?
離婚裁判中の生活費は、婚姻費用として相手に請求できます(民法760条)。相手が婚姻費用の支払いに応じないときは、家庭裁判所に「婚姻費用の分担請求調停」を申し立てましょう。
Q. 離婚裁判中でも、相手と一緒に暮らす子どもと面会できる?
相手が応じれば、相手と一緒に暮らす子どもと面会できます。相手が応じない場合でも、家庭裁判所の面会交流調停・審判によって、子どもとの面会を実現できる可能性があります。
Q. 離婚裁判が長引くと、かかる費用も増える?
離婚調停が長引いても、裁判所に納付する費用は変わりません。ただし、弁護士の日当や交通費などが高くなることがあります。また、控訴を提起する場合には、追加で訴訟費用が発生します。

8. まとめ 離婚裁判は1年から2年程度の期間を要することが多い

離婚裁判にかかる期間は、短くても半年程度、標準的には1~2年程度です。離婚調停や裁判の準備期間を含めたら、さらに長い期間を要します。離婚裁判をなるべく早く終わらせたい人は、弁護士に対応を依頼し、譲歩できる離婚条件のポイントを整理しておきましょう。

離婚裁判には長い期間を要するので、粘り強く対応しなければなりません。弁護士と協力して、十分な準備を整えた上で離婚裁判に望みましょう

(記事は2024年12月1日時点の情報に基づいています)

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