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シングルマザー(母子家庭)が受けられる手当一覧 支援や条件を解説

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シングルマザーにとっては養育費以外の手当などを受け取ることが重要になります (c)Getty Images
離婚や死別、未婚を理由に自分一人の手で子育てをしている母親を「シングルマザー」と呼び、その家庭を「母子家庭」と言います。ひとり親で家庭を切り盛りするのは容易ではなく、国や自治体がさまざまな支援制度を設けています。シングルマザー(母子家庭)が受けられる手当や助成金について、弁護士がわかりやすく紹介します。
目 次
  • 1. シングルマザー(母子家庭)は父子家庭の約8倍
  • 2. シングルマザー(母子家庭)が受けられる手当や助成金11選
  • 2-1. 児童手当
  • 2-2. 児童扶養手当
  • 2-3. 児童育成手当
  • 2-4. ひとり親家庭の住宅手当その他の住宅支援
  • 2-5. ひとり親家庭等医療費助成制度
  • 2-6. 子ども医療費助成制度
  • 2-7. 特別児童扶養手当
  • 2-8. 障害児福祉手当
  • 2-9. 生活保護
  • 2-10. 遺族年金
  • 2-11. 自立支援教育訓練給付金
  • 3. シングルマザー(母子家庭)が受けられる減免や割引制度8選
  • 3-1. 税の減免(ひとり親控除)
  • 3-2. 保育料の無償化
  • 3-3. 国民健康保険料の減免
  • 3-4. 国民年金保険料の減免や納付猶予
  • 3-5. 交通機関の割引制度
  • 3-6. 粗大ごみ処理手数料の減免
  • 3-7. 上下水道の減免
  • 3-8. 非課税貯蓄制度(マル優)
  • 4. シングルマザー(母子家庭)が受けられる手当や助成金は月額いくら?
  • 5. シングルマザーが離婚の際に弁護士に依頼するメリット
  • 6. シングルマザーが受けられる手当に関してよくある質問
  • 7. まとめ シングルマザーになる前に弁護士に相談することが大切
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1. シングルマザー(母子家庭)は父子家庭の約8倍

シングルマザー(母子家庭)のなかには、経済的に苦しい思いをしている家庭も多くあります。

厚生労働省がまとめた「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、母子家庭は119.5万世帯、父子家庭は14.9万世帯とされており、母子家庭は父子家庭の約8倍に至っています。また、令和3年時点で母子家庭となった理由のうち79.5%が「離婚」、5.3%が「死別」となっています。

シングルマザーの平均年収は272万円で、就業状況は38.8%がパートやアルバイトなどでした。離婚した父親からの養育費ついては、養育費を「現在も受けている」と答えたのは28.1%、「受けたことがない」と答えたのは56.9%であり、51.2%が養育費を取り決めていないなど、養育費を十分に受け取っていないシングルマザーのほうが多い状況でした(数値はいずれも推計値)。

離婚後に養育費を受け取れないと経済的に苦しい状況に陥りやすいと考えられます。そのため、統計的に平均年収がそれほど多くはないシングルマザーにとっては、養育費以外の手当などを受け取ることが重要になります。

2. シングルマザー(母子家庭)が受けられる手当や助成金11選

シングルマザーが受けられる手当や助成金には、以下のとおり、さまざまなものがあります。

  • 児童手当

  • 児童扶養手当

  • 児童育成手当

  • ひとり親家庭の住宅手当

  • ひとり親家庭等医療費助成制度

  • 子ども医療費助成制度

  • 特別児童扶養手当

  • 障害児福祉手当

  • 生活保護

  • 遺族年金

  • 自立支援教育訓練給付金

2-1. 児童手当

「児童手当」は、母子家庭を含めて児童を養育しているすべての人に支給される手当です。制度改正により、2024年10月から支給額や対象などが拡充されています。

児童手当の対象となる「児童」とは、0歳から18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子どもを指します。支給額は次のとおりです。

【児童手当の対象と支給額】

児童の年齢

児童手当の額(1人あたりの月額)

3歳未満

1万5000円(第3子以降は3万円)

3歳以上高校生年代まで

1万円(第3子以降は3万円)

「第3子以降」のカウント対象は22歳(年度末)までの子であり、そのうち18歳(年度末)以降の子については親が監護して経済的負担のあることが必要です。

支給時期については、毎年、2月、4月、6月、8月、10月、12月の偶数月に、それぞれの前月分までの2カ月分が支給されます。たとえば、4月の支給日には、2月分と3月分の児童手当がまとめて支給されます。

制度改正前には所得制限が設けられていたものの、2024年10月以降は所得制限が撤廃され、所得にかかわらず全額が支給されます。したがって、以下に該当する人など、拡充の結果として新たに支給対象となる人は、あらためて申請を行う必要があります。

  • 現在所得上限が超過していることを理由として児童手当を受給していない人

  • 高校生年代(15歳年度末以上18歳年度末未満)の子のみを養育している人

申請手続きが2025年3月31日までに完了すれば、2024年10月分からさかのぼって児童手当を受け取れます。一方、2025年3月31日を過ぎるとさかのぼって受け取ることはできなくなり、申請した月の翌月分から支給されます。

また、次のような場合には住んでいる市区町村に届出をしなければなりません。届出が遅れると、その分だけ児童手当が受け取れなくなることがあるため、注意が必要です。

  • 受給者や児童などの住所や氏名が変わったとき

  • 再婚などにより一緒に児童などを養育する配偶者を有するに至ったとき

  • 離婚などにより児童などを養育していた配偶者がいなくなったとき

2-2. 児童扶養手当

「児童扶養手当」は、シングルマザーを含めたひとり親家庭等の親に支給される手当です。児童手当と名前が似ているものの別の手当であり、支給要件を満たせば両方受け取ることが可能です。

児童扶養手当の支給対象となるのはひとり親家庭などの親であり、シングルマザーだけでなくシングルファザー(父子家庭)も含みます。また、ひとり親家庭となった原因は、離婚のほか、死別や未婚も含みます。

児童手当における「児童」とは、18歳に達する日以後最初の3月31日までの子どもを指します。子どもが障害児の場合は、20歳未満の子どもを指します。

支給額は所得に応じて異なり、「全部支給」「一部支給」の2つのケースがあります。また、所得が一部支給となる限度額をも超えている場合には、支給されません。

2024年4月以降のひと月あたりの支給額は、次のとおりです。

【児童扶養手当の対象と支給額】

児童の数

全部支給

一部支給

1人目

4万5500円

4万5490円〜1万740円

2人目(加算額)

1万750円

1万740円〜5380円

3人目以降1人につき(加算額)

児童2人目と同額(2024年11月分から)

たとえば、全部支給のケースで児童が2人いる場合は、4万5500円+1万750円=5万6250円が月額として支給されます。

また、児童扶養手当には前年の所得に基づく所得制限があり、2024年11月分からの所得制限の限度額は次のとおりです。

【児童扶養手当の所得制限の限度額】

全額支給となる所得制限の限度額

一部支給となる所得制限の限度額

扶養する児童などの数

収入ベース

所得ベース

収入ベース

所得ベース

0人

142万円

69万円

334万3000円

208万円

1人

190万円

107万円

385万円

246万円

2人

244万3000円

145万円

432万5000円

284万円

3人

298万6000円

183万円

480万円

322万円

4人

352万9000円

221万円

527万5000円

360万円

5人

401万3000円

259万円

575万円

398万円

たとえば、扶養しているのが子ども1人の場合、親の前年の所得が所得ベースで107万円以下であれば、全部支給されることとなります。

「扶養する児童等の数」が「0人」となるのは、たとえば、離婚後に子どもが父親の扶養となっているまま、子どもが母親と2人で生活している場合などです。

なお、実際には個別の事情に応じて限度額に加算する金額や控除する金額があるため、自分が支給対象となるかわからなければ市区町村役場の担当窓口に問い合わせるようにしましょう。

支給時期は、申請した月の翌月分から支給開始となり、年6回、1月、3月、5月、7月、9月、11月の奇数月に前月と前々月の分が支給されます。

2-3. 児童育成手当

「児童育成手当」は、シングルマザーを含めたひとり親家庭等の親に支給される手当です。児童扶養手当と名前や制度の内容が似ているものの、別物です。

児童扶養手当は国によって実施される全国共通の制度です。一方、児童育成手当は東京都内の市区町村が独自に実施する制度であり、児童育成手当を受け取れるのは東京都内に住んでいる人に限られます。なお、ほかの自治体でも、名前が異なる類似の手当を展開している事例があります。

児童扶養手当と児童育成手当は、要件を満たせば両方受け取ることができます。

児童育成手当の支給対象となるのはひとり親家庭などの親であり、シングルマザーだけでなくシングルファザーも含みます。また、ひとり親家庭となった原因は、離婚のほか、死別や未婚も含みます。

児童育成手当における「児童」とは、18歳に達する日以後最初の3月31日までの子どもを指します。子どもが障害児の場合は、20歳未満の子どもを指します。

支給される手当の月額は、児童1人につき、次のとおりです。

【児童育成手当の名称と支給額】

名称

支給月額

育成手当(子どもが障害児以外の場合)

1万3500円

障害手当(子どもが障害児の場合)

1万5500円

支給時期は、申請した月の翌月から支給が開始され、2月、6月、10月の年3回、支給月の直前4カ月分がまとめて支給されます。

なお、東京都の児童育成手当には所得制限があり、2024年度における所得制限の限度額は次のとおりです。

【児童育成手当の所得制限】

扶養人数

申請者本人の所得

0人

368万4000円未満

1人

406万4000円未満

2人

444万4000円未満

3人

482万4000円未満

4人目以降

1人につき38万円を加算

※上記の所得制限限度額は、社会保険料控除相当額(8万円)を加算した額

実際には、個別の事情により控除できる項目があるため、自分が対象となるかなどは居住する市区町村の役場の担当窓口に相談してみましょう。

2-4. ひとり親家庭の住宅手当その他の住宅支援

母子家庭や父子家庭に対し、住宅手当(家賃補助)の支給その他の住宅支援を実施している自治体があります。

ひとり親家庭への住宅手当等の制度として全国統一で実施されているものはなく、制度があるかどうかは市区町村ごとに異なります。また、手当などではなく、市営住宅などへの入居を支援するかたちで住居の支援を実施している市区町村もあります。

住宅手当その他の住宅支援の制度を設けている市区町村には、たとえば、次のようなものがあります。

【住宅手当その他の住宅支援の制度を設けている市区町村】

自治体

制度名称

支援内容

東京都千代田区

居住安定支援家賃助成

家賃等に応じた額(最大月額5万円)

東京都台東区

高齢者・障害者・ひとり親世帯むけの入居相談窓口

物件情報の提供による民間賃貸住宅探しの支援

東京都東久留米市

ひとり親家庭住宅手当

月額3500円

東京都国立市

ひとり親家庭住宅費助成

家賃の3分の1(最大月額1万円)

東京都武蔵野市

ひとり親家庭等住宅費助成制度

月額1万円

千葉県君津市

ひとり親家庭の住宅手当

月額5000円

神奈川県横浜市

子育てりぶいん

収入に応じて最大40%(月額4万円まで)

神奈川県鎌倉市

ひとり親家庭等家賃助成制度

月額家賃から1万5000円を差し引いた額(最大9000円)

神奈川県海老名市

ひとり親家庭等家賃助成

月額5000円

具体的に支援を受けるための要件は自治体ごとに異なります。住宅の確保で困ったら、住宅支援の制度があるかどうかも含めて、自分が住む市区町村の支援を受けられるかどうかを役所の担当窓口で問い合わせてみましょう。

2-5. ひとり親家庭等医療費助成制度

「ひとり親家庭等医療費助成制度」は、各自治体が実施する医療費助成の制度です。一定の要件を満たしたうえで、18歳になった最初の3月31日までの児童を養育しているその親や児童などが健康保険を使って医療機関にかかった場合に、自己負担分の全部または一部を助成するものです。子どもが一定の障害がある場合は20歳未満までが対象となります。

自治体によって助成制度の内容が異なることがあるため、ここからは東京都の例をご紹介します。

対象となるのは、離婚や死別によりひとり親家庭となった場合や、親に重度の障害がある場合、婚姻外で子どもが生まれた場合などです。

この医療費助成には、所得制限があります。2024年度の所得制限の限度額は、次のとおりです。

【東京都のひとり親家庭等医療費助成制度の所得制限額】

扶養人数

母子家庭の母、父子家庭の父などの所得

配偶者・扶養義務者等の所得

0人

216万円未満

244万円未満

1人

254万円未満

282万円未満

2人

292万円未満

320万円未満

3人

330万円未満

358万円未満

4人目以降

1人につき38万円を加算

※上記の所得制限額は、社会保険料控除相当額(8万円)を加算した額

助成される額は、住民税の課税状況のほか、外来か入院かといった治療の内容などによって異なります。たとえば、住民税非課税世帯であれば、保険診療の自己負担金の全額が助成されます。

医療費の助成は、申請を受付した日からです。自分が制度の対象かもしれないと思ったら、できるだけ早く役所の担当窓口に制度の適用を受けられないか相談しましょう。

助成を受けられる場合には「(親)医療証」などが交付され、東京都内の医療機関で受診する際、受診時に医療機関の窓口に提出することで制度の適用を受けられます。

2-6. 子ども医療費助成制度

「子ども医療費助成制度」は、子どもが健康保険を使って医療機関にかかった場合に、その医療費の自己負担金を助成する制度です。この制度は、あくまでも子どもの医療費を助成するものであり、親への助成はありません。

ひとり親家庭等医療費助成制度の適用が受けられない場合でも、基本的には子ども医療費助成制度の適用があるため、子どもが医療機関を受診する場合にはこの助成制度を使うとよいでしょう。

東京都の場合、この助成制度の対象となる「子ども」とは、0歳から高校生等相当年齢(18歳到達後の最初の3月31日)までの子どもを指します。

制度の申請手続きが完了したら、「医療証」が交付されます。この医療証を、都内の医療機関を受診する際に提示することで、子どもの医療費の助成が受けられます。

子ども医療費助成制度は各自治体が実施しているものであり、自治体によっては上記の説明内容と異なることがあります。助成を受けるための具体的な条件や助成される範囲については、自分の住んでいる自治体の担当窓口に問い合わせて確認しましょう。

2-7. 特別児童扶養手当

「特別児童扶養手当」は国が実施する制度で、精神または身体に一定の障害を有する児童について特別な手当を支給するものです。

支給対象となるのは、20歳未満で精神または身体に一定の障害を持つ児童を家庭で監護・養育している父母などです。具体的には、児童が次の障害を有する場合に支給されます。

  • 身体障害者手帳1級、2級、3級程度(下肢障害の一部4級を含む)の身体障害

  • 愛の手帳1度、2度、3度程度の知的障害

  • 長期間安静を要する病状または精神の障害により日常生活に著しい制限を受けるような精神障害

なお、複数の障害がある場合には、個々の障害の程度がこれらより軽くても、手当の対象となるケースがあります。

2024年4月からの支給額は、児童1人につき、次のとおりです。

【特別児童扶養手当の支給額】

障害等級

支給月額

特児1級(重度)

5万5350円

特児2級(中度)

3万6860円

支給時期は、4月、8月、12月の年3回で、それぞれの前月分まで4カ月分が支給されます。

この手当には所得制限があり、2024年度の分は次のとおりです。

【特別児童扶養手当の所得制限】

扶養親族等の数

受給資格者本人(障害児の父母等)の所得額

受給資格者の配偶者および扶養義務者の所得額

0人

467万6000円

636万7000円

1人

505万6000円

661万6000円

2人

543万6000円

682万9000円

3人目以降

1人につき38万円を加算

1人につき21万3000円を加算

※上記の所得額は、社会保険料控除相当額(8万円)を加算した額

この手当を受けるためには、所定の書類を提出して認定を受ける必要があります。手当が受けられるかもしれないと思ったら、できるだけ早く居住する市区町村の役所の担当窓口に相談してみましょう。

2-8. 障害児福祉手当

「障害児福祉手当」とは、国の制度で、精神または身体に重度の障害を持つ児童に対して支給される手当です。手当の支給額は、2024年4月1日より1万5690円です。

障害児福祉手当を受給できるのは、次のいずれにも該当する在宅の20歳未満の人です。

  • 精神または身体に重度の障害を有すること

  • 障害のため、日常生活において常時の介護を必要とする状態にあること


具体的には次の程度の障害を持っている場合に、この手当に該当すると判定されます。

  • 身体障害者手帳1級または2級の一部

  • 愛の手帳1度または2度の一部

  • これらと同等の疾病または精神の障害

この手当には、次のとおり所得制限があります。

【障害児福祉手当の所得制限】

扶養親族の数

本人の所得

配偶者および扶養義務者の所得

0人

360万4000円

628万7000円

1人

398万4000円

653万6000円

2人

436万4000円

674万9000円

3人

474万4000円

696万2000円

4人

512万4000円

717万5000円

5人

550万4000円

738万8000円

2-9. 生活保護

「生活保護」とは、資産や能力などのすべてを活用してもなお生活に困窮する人に対して必要な保護を行うことで、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助けるための制度です。

基準を満たすほど経済的に困っており、その他の受給条件を満たしていれば、誰でも最低限の生活保障が受けられます。生活保護は国民の権利であり、それを受給するデメリットは基本的にあまりありません。自立して生活ができないほど経済的に困っている場合には、すぐに受給のための手続きを行うとよいでしょう。

生活保護を受けるための基本的な条件は、「世帯の収入と最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たないこと」です。持っている預貯金や土地や家屋などの資産をすべて活用し、働けるのであれば可能な限り働き、年金や手当などほかの制度で給付を受けられる場合にはまずそれを活用しなければなりません。これらの優先するものをすべて活用しても、収入が最低生活費に満たないときには、生活保護を受けることができます。

「保護費」(毎月受け取れる生活費)は、次の計算式によって算出します。

保護費=最低生活費−収入

「最低生活費」は、世帯の人数、住んでいる地域、ひとり親や障害者などの事情があるかなどさまざまな事情によって細かく計算されます。

たとえば、東京23区内に住んでいる場合に受け取れる目安の金額は、次のとおりです。なお、以下の金額はあくまでも目安であり、個別の事情により変動します。また、一般的には、より郊外に行けば行くほど受け取れる保護費の額は低くなります。

【生活保護の保護費の目安と扶助の内容(東京23区内)】

世帯の構成

保護費の目安

扶助の内訳

単身世帯

約13万円

生活扶助、住宅扶助

単身世帯(障害者)

約15万円

生活扶助、住宅扶助、障害者加算

2人世帯

約18万円

生活扶助、住宅扶助

2人世帯(母子家庭・父子家庭)

約21万円

生活扶助、住宅扶助、母子加算、児童養育加算

上の表のとおり、シングルマザーを含むひとり親家庭では、通常よりも多くの保護費を受け取ることができます。これにより、最低限度の生活が保障されるため、ひとり親家庭で生活に困窮したら迷わず生活保護の申請を行うことが重要です。

なお、生活保護の申請は、弁護士に依頼して同行や代理をしてもらうことができます。法テラスを通せば、無料で生活保護申請を代理してもらえます。生活保護申請は自分だけで市区町村役場に行ってもなかなか受け付けてもらえないこともあるため、少しでも困ったら法テラスを通じて弁護士に依頼するようにしましょう。

2-10. 遺族年金

遺族年金は、配偶者が死亡した場合に受け取れる年金のことです。配偶者と死別してシングルマザーになった場合などには、遺族年金を受けられることがあります。

遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。どちらを受けられるかは、亡くなった配偶者が国民年金か厚生年金保険かどちらに加入していたかにより決まります。

厚生年金保険に加入している人とは、主に会社員など雇用されている人などです。これに対し、国民年金に加入している人とは、主に無職や自営業者など、雇用されていない人などです。

配偶者と死別してシングルマザーとなった場合、全国の年金事務所や街角の年金相談センターの窓口などで遺族年金が受けられないか相談してみましょう。

2-11. 自立支援教育訓練給付金

「自立支援教育訓練給付金」とは、シングルマザーまたはシングルファザーが対象の教育訓練を受講して修了した場合に、一定の給付金の支給を受けられる制度です。具体的には、その経費の60%(上限あり)が支給されます。また、所定の講座を受講して修了後1年以内に資格を取得し就職などした場合には、その経費の85%(上限あり)が支給されます。

対象者は、母子家庭の母や父子家庭の父であって、20歳未満の児童を扶養し、所定の要件を満たす人です。

詳しくは、講座などを申し込む前に市区町村役場の担当窓口に相談してみてください。

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3. シングルマザー(母子家庭)が受けられる減免や割引制度8選

ここまでにご紹介した手当などのほかにも、次のようにシングルマザーが受けられる減免や割引制度がいくつかあります。

  • 税の減免(ひとり親控除)

  • 保育料の無償化

  • 国民健康保険料の減免

  • 国民年金保険料の減免

  • 交通機関の割引制度

  • 粗大ごみ処理手数料の減免

  • 上下水道の減免

  • 非課税貯蓄制度(マル優)

これらについてご説明します。

3-1. 税の減免(ひとり親控除)

ひとり親控除とは、一定の要件を満たす母子家庭や父子家庭のひとり親が受けられる所得控除のことです。この控除の適用を受けることで、納める所得税額を減らすことができます。

ひとり親控除の控除額は、35万円です。

ひとり親控除の対象者は、結婚をしていない人などのうち、次の要件をすべて満たす人のことです。

  • その人との間で事実婚と同様の事情にある人がいないこと

  • 生計を一にする子がいること(他人の扶養親族などになっていないなどの条件がある)

  • 合計所得金額が500万円以下であること

ひとり親控除と似たものとして、寡婦控除(かふこうじょ)があります。

ひとり親控除は、未婚のまま子どもを育てている人や男性も対象であり、子どもがいなければ対象外であるのに対し、寡婦控除は、夫と離婚・死別した子どもがいない女性のみが対象です。

なお、ひとり親控除と寡婦控除との併用は認められていません。シングルマザーであれば、基本的には寡婦控除ではなくひとり親控除の適用を検討することとなります。

3-2. 保育料の無償化

一定の年齢の子どもについて、幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する場合には、その利用料が無償化されます。ただし、幼稚園については月額上限が2万5700円です。

無償化の対象となる期間は、原則として、満3歳となったあとの4月1日から小学校入学前までの3年間です。

0歳から2歳までの子どもについては、住民税非課税世帯であれば無償化の対象となります。

このほか、子どもが2人以上の世帯は、保育所などを利用する最年長の子どもを1人目と数えて、0歳から2歳までの2人目は半額、3人目以降は無償となります。

3-3. 国民健康保険料の減免

シングルマザー(母子家庭)を含むすべての人に対して、前年の所得が一定の基準以下の世帯については、国民健康保険料が減免されることがあります。減免の条件や割合は、市区町村ごとに異なります。

たとえば、東京都台東区では、世帯主(国民健康保険に加入していないものも含む)と加入者および特定同一世帯所属者(後期高齢者医療制度以降後も引き続き同じ世帯にいる人)の総所得金額等の合計が43万円以下(2024年度分の場合)であれば、均等割額が7割軽減されます。所得がそれ以上であっても、一定の基準に応じて、5割軽減、2割軽減となることがあります。

そのほかにも国民健康保険料が減免されることはあるため、国民健康保険料の支払いが難しい場合、お住まいの市区町村の役場にある担当窓口に相談してみましょう。

3-4. 国民年金保険料の減免や納付猶予

母子家庭を含めて、所得が少ないなどの理由で国民年金保険料を納めることが難しい人は、所得に応じて国民年金保険料の減免や納付猶予を受けられることがあります。

減免や納付猶予を受けるための所得の基準は、原則として次のとおりです。

【国民年金保険料の減免や納付猶予の所得基準】

減免等の内容

所得基準

全額免除

(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円

4分の3免除

88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額など

半額免除

128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額など

4分の1免除

168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額など

納付猶予制度

(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円

もっとも、ひとり親などの場合には、この基準額とは異なる基準で判定されるため、手続きの際に窓口で確認するようにしましょう。

3-5. 交通機関の割引制度

シングルマザーなどのひとり親世帯について、交通機関の割引制度が設けている自治体もあります。

たとえば、児童育成手当を受け取っている場合には、JR通勤定期乗車券が3割引で購入できるように設定されている自治体などがあります。

また、東京都では、児童扶養手当を受けている世帯のうち1人に対し、都営交通無料乗車券が発行されており、この乗車券を使用することで都営地下鉄、都営バス、都電、日暮里・舎人ライナーについて無料で乗車できます。

3-6. 粗大ごみ処理手数料の減免

児童扶養手当を受けている家庭などについては、粗大ごみ処理手数料が減免されることがあります。具体的な減免の内容は、自治体ごとに異なります。

3-7. 上下水道の減免

児童扶養手当を受けている家庭などについては、上下水道の料金が減免されることがあります。具体的な減免の内容は、自治体ごとに異なります。

3-8. 非課税貯蓄制度(マル優)

「非課税貯蓄制度(マル優)」とは、預金などについて元本350万円までであれば利子所得への課税がゼロになる制度です。

シングルマザーについては、児童扶養手当を受給していれば、非課税貯蓄制度(マル優)を利用することができます。

詳しくは、銀行などの金融機関の窓口に相談してみましょう。

4. シングルマザー(母子家庭)が受けられる手当や助成金は月額いくら?

たとえば、母親と1歳の子どもの2人世帯で、年収300万円の母子家庭であれば、主に次のような給付を受けられます。

【シングルマザーが受けられる手当などの一例】

受け取れる手当など

月額

児童手当

1万5000円

児童扶養手当

一部支給として4万5490円〜1万740円の範囲内で受け取れることがある

児童育成手当

東京都内在住であれば、1万3500円

合計

1万5000円〜7万3990円

ひと月あたり、最低でも1万5000円、場合によってはそれより多く、月数万円程度を受け取れると考えられます。

5. シングルマザーが離婚の際に弁護士に依頼するメリット

離婚によってシングルマザーになる見込みの人が、離婚の際に弁護士に依頼するメリットには、次のようなものがあります。

  • 離婚後にもらえる見込みのある手当などについてアドバイスを受けられ、受給漏れを防げる

  • 手当などについて相談できる公的な窓口を案内してもらえる

  • 親権や養育費、あるいは慰謝料に関する離婚時の取り決めについても相談でき、包括的なサポートを受けることができる

弁護士に依頼すれば、必要に応じてシングルマザーとなったあとの手当などについてもアドバイスを受けられることがあるので、離婚の際には弁護士に依頼すると安心です。

6. シングルマザーが受けられる手当に関してよくある質問

Q. シングルマザーへの手当は年収や所得制限でもらえないこともある?

手当によっては所得制限などがあり、もらえない場合があります。

Q. シングルマザーへの手当や助成金は、実家暮らしだともらえない?

児童扶養手当など一部の手当では、生計を同じくする家族の所得も考慮されます。このため、実家暮らしだと所得制限を超えてしまいもらえなくなるケースがあります。

Q. シングルマザーへの手当や助成金はいつまでもらえる?

手当ごとに異なるので確認が必要です。

たとえば、児童扶養手当や医療費助成制度は「0歳〜18歳に到達して最初の3月31日までの間の年齢の子ども」を対象としています。

Q. シングルマザーは養育費が支払われることもあるのに、手当までもらうのは多すぎでは?

必要に応じて用意された制度なので、満額もらっていても多すぎではありません。

また、児童扶養手当などは養育費が所得として考慮されるため、もらっている養育費の額が多ければ児童扶養手当の額が減る家庭もあります。

Q. シングルマザーだと正社員とパートどちらが得?

一般的に正社員のほうが収入は高く、解雇されにくく身分は安定しています。一方、パートなら時間に融通が効くことが多いです。

それぞれにメリットがあるため、自分に合った選択をすることが大切です。

7. まとめ シングルマザーになる前に弁護士に相談することが大切

シングルマザー(母子家庭)が受けられる手当や減免制度などには、児童手当、児童扶養手当、児童育成手当、ひとり親家庭の住宅手当、ひとり親家庭等医療費助成制度をはじめ、さまざまなものがあります

また、シングルマザーになる前に弁護士に相談しておくことで、制度のアドバイスや離婚時の取り決めも含めた包括的なアドバイスが得られるため、離婚を考えたら弁護士への相談がお勧めです。

もらえる手当は自治体によって異なります。自分が住んでいる自治体ではどうなるのかを確認したうえで、もらえる手当を漏らさず受け取りシングルマザーとしての生活を安定させましょう。

(記事は2025年7月1日時点の情報に基づいています)

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