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離婚で弁護士は必要か メリットや依頼すべきケースを解説

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弁護士が必要となるケースについての図解
離婚においては弁護士の必要性を感じる場面が多々あります
「離婚を決意したけど、弁護士に相談したほうがよいのだろうか」と迷う人は多いでしょう。ましてや、弁護士費用がかかる「依頼」までするかどうかは悩むところでしょう。しかし、費用がかかっても弁護士に依頼した方が、離婚がスムーズに進むケースがあります。離婚での弁護士の必要性について、弁護士が解説します。
目 次
  • 1. 離婚する際に弁護士は必要か?
  • 2. 離婚手続きにおいて弁護士が必要となるケース
  • 2-1. 離婚協議でもめている
  • 2-2. 配偶者と直接話し合いたくない
  • 2-3. 多額の財産がある
  • 2-4. 相手が弁護士をつけた
  • 3. 離婚問題を弁護士に相談・依頼するメリット
  • 3-1. 納得のできる条件で離婚しやすい
  • 3-2. 配偶者と直接交渉をしなくてよくなる
  • 3-3. 配偶者からの提案を冷静に検討できる
  • 3-4. 調停や訴訟にも適切に対応してもらえる
  • 3-5. 離婚後のトラブルを回避できる
  • 4. 離婚問題を当事者だけで解決しようとするデメリット
  • 5. 離婚問題を弁護士に相談すべきタイミングは?
  • 6. 離婚問題の対応を依頼する弁護士の選び方
  • 7. 離婚の弁護士費用はどれくらい?
  • 8. 離婚と弁護士に関する質問
  • 9. まとめ 離婚問題で弁護士が必要か悩んだら、まずは相談を

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1. 離婚する際に弁護士は必要か?

離婚について弁護士に依頼すると、決して少額とはいえない弁護士費用が発生します。離婚後の生活のために、無駄な出費は省き、少しでも多くのお金を手元に残しておきたいと思う人もいるでしょう。

離婚に際し、必ずしも費用をかけてまで弁護士が必要というわけではありません。例えば、離婚する前に当事者同士で十分に話し合いができて合意できる場合や、離婚後も父母として子どもの状況に応じて話し合いができる関係性である場合には、弁護士に依頼する必要はないでしょう。

もっとも、離婚に際しては、場合によっては十数年間にわたって発生し続ける養育費や、一度に大きな金額が動く財産分与などについて決める必要があります。

これらの決めごとについて、当事者間で十分な話し合いができないまま、あるいは、不正確な理解のまま離婚した場合には、離婚後の生活に大きな支障をもたらす可能性 もあります。

そのような場合には、弁護士に依頼して離婚を進める方がよいでしょう。

2. 離婚手続きにおいて弁護士が必要となるケース

離婚について依頼を受けた弁護士が依頼者のためにできることは、大きく分けて2つあります。1つは、法の専門家として法律や裁判例などを踏まえた適切な条件での離婚を目指し、さまざまなアドバイスをすること です。またもう1つは、配偶者との交渉を一手に担うこと です。

そのため、法的に見て適切、あるいは少しでも有利な条件で離婚するために助言を受けたい場合や、自分で配偶者と交渉したくないという場合には、弁護士を依頼した方がよいでしょう。

2-1. 離婚協議でもめている

たとえば、配偶者に離婚を切り出したところ、配偶者から「絶対離婚しない」とかたくなな態度を取られたり、だんまりを決め込まれてまったく話し合いに応じてもらえない、というご相談を受けることはよくあります 。中には、離婚を切り出したところ、自殺をほのめかされてしまい、それからは怖くて話すことができなくなったという人も少なくありません。

あるいは、夫婦で離婚自体には合意しているものの、子どもと一緒に暮らすのは父母どちらにするのかや、財産分与の金額や方法はどうするのかなどの離婚条件について、話し合いがまとまらないという相談もよくあります 。また、配偶者から離婚条件を示されたものの「それが自分にとって有利なのかよくわからない」ケースや、不利に思えるものの「これ以外の条件では離婚しないと言われており、それ以上話し合いが進まない」というケースもあります。

このように、当事者同士で十分な話し合いができない場合には、交渉を続けていても、法的に適切、あるいは自分に有利な条件で離婚することは難しいでしょう。その場合には、弁護士を依頼して協議を尽くし、より適切な解決を目指すことが望ましいと考えられます。

2-2. 配偶者と直接話し合いたくない

「配偶者から日常的に暴力や暴言を受けている」「無視されている」「離婚を切り出したところ、相手が激昂する」といった状況では、配偶者と離婚について話し合うのはつらいと、弁護士に相談に来る人もいます。

ただでさえ夫婦双方の感情が絡み、精神的につらくなることも多い中で、自身で離婚協議を進めることは、場合によっては日常生活への支障をきたす可能性 があります。そのような場合には、自身の心身の健康のためにも、弁護士に依頼することを検討するのがよいでしょう。

なお、「これはモラハラなのか」「これはDVなのか」「自分が我慢すればいいだけではないか」と悩み、弁護士に相談することを躊躇(ちゅうちょ)される人もいます。しかし、そのように悩み苦しんでいる時点で、配偶者とは対等な関係にありません。

弁護士に相談することにより、自分がモラハラの被害者であったことに気付き、配偶者との関係を終わらせようと決意する人もいます 。離婚はしたいけど配偶者とは話せないと思ったときは、まずは弁護士の意見を聞いてみることから始めましょう。

2-3. 多額の財産がある

多額の財産があり、自分で正確に把握することが難しいと思われる場合には、弁護士に依頼した方が賢明です。

婚姻歴が長い夫婦の場合、婚姻後に夫婦で作り上げた共有財産が多数あり、それらの合計が多額になることもよくあります。また、婚姻歴がそこまで長くなくても、双方あるいは一方が高額所得者であるため、高額な共有財産を持つ場合もあります。

そのような夫婦が離婚する場合には、財産分与が熾烈(しれつ)に争われることがあります。よく争点となるのは、持ち家である自宅 です。たとえば、自宅を売却してその利益を分配する場合には、自宅の価値はわかりやすいといえます。一方で、自宅を売却せず、夫婦のどちらかがそのまま住むという形で財産分与をする場合には、その時価をどう判断するかが問題となります。

筆者が取り扱った事案では、自宅の時価が昨今の住宅事情により購入時よりも高額となり、億を超えると思われるものの、売却は予定していなかったため、時価がいくらであるかについて、夫婦の主張に数千万円の開きが生じたことがあります

この他にも、多額の財産がある夫婦の場合、特有財産や分与の割合について争点となることがよくあります。正確な理解をせずに財産分与をしてしまうと、本来分与を受けることができたはずの財産をもらえない可能性や、必要以上に分与してしまうことになりかねないため注意すべき です。

2-4. 相手が弁護士をつけた

相手が弁護士をつけるような争点が多い事案や、少しでも有利な解決を目指したいという場合には、こちら側も弁護士をつけた方がよいでしょう。配偶者についている弁護士は、あくまでも配偶者の利益のために行動する弁護士であり、夫婦双方にとって公平、あるいは自分にとって有利な解決が実現するとは限らないためです。

もっとも配偶者が弁護士をつけたからといって、必ずしも弁護士をつけなければいけないということはありません。筆者も、依頼者の配偶者が弁護士をつけておらず、本人と直接交渉したうえで協議離婚や調停離婚を成立させたことが複数回あります。とはいえ、そのような事案は争点が比較的少ないものに限られている印象です。

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3. 離婚問題を弁護士に相談・依頼するメリット

当事者間の話し合いが進まないときや、争点が多い事案では弁護士をつけるケースが多いです。では、弁護士をつけることで具体的にどのようなメリットが生じ得るのでしょうか。

3-1. 納得のできる条件で離婚しやすい

どのような条件で離婚すれば、納得できるのかは、実は、一概には決められません。「長引いてもいいから少しでも多く財産分与を受けたい」という人もいれば、「財産分与では多少譲歩してもいいから、面会交流を充実させたい」「少しでも早く離婚したい」という人もいるなど、何を重視するかは人それぞれであるためです。

自身が納得できるかどうかを判断するためには、まずはどのような離婚条件が考えられるのかについて、専門家の立場からの客観的・冷静的な判断に基づき、複数の選択肢を提案してもらうことが大切 です。

そのうえで、その選択肢の中から、たとえば「Aという選択肢を選んだ場合にはこの点が有利になるがあの点は不利になる、Bの選択肢を選ぶと……」などと、場合分けをして考えてみることが重要です。複数の選択肢を並べてみて、その中から自分にとってもっとも満足のいくものを選ぶことが「納得できる条件」につながります。

離婚条件について「選択肢を示す」「選択肢を選んだ場合にどうなるかを説明する」ことができるのが弁護士 です。弁護士であれば、法律や裁判例はもちろん、これまでに取り扱ってきた類似の事案の経験に基づいた選択肢を示してくれます。

3-2. 配偶者と直接交渉をしなくてよくなる

弁護士へ依頼する一番のメリットは、直接交渉をしなくてよくなることでしょう。特に、配偶者が感情的であったり、支配的な言動をしていたりする場合には、弁護士を依頼することにより交渉の窓口を一本化 できます。

弁護士は、交渉中に相手から攻撃的な言葉が発せられても、それについては依頼者には伝えず、法的に重要なことだけをピックアップして伝えます 。これにより、不必要に感情を揺さぶられず、穏やかに離婚について考えることができるようになります。

3-3. 配偶者からの提案を冷静に検討できる

配偶者から「こうだ」と言われると、それが正しいのかもしれないと思い込んでしまいがちな人もいます。そのような場合、弁護士が間に入ることにより、「配偶者はこのように言っています。しかし、この点は間違っています。」など、冷静かつ適切な助言を弁護士から受けられるようになります

これにより、配偶者からの提案に対して冷静に考えることができ、納得のいく離婚を目指せるようになります。

3-4. 調停や訴訟にも適切に対応してもらえる

弁護士を入れて交渉をしても、残念ながら協議がまとまらない場合もあります。そのような場合には、調停や離婚訴訟といった、裁判所を間に入れる手続きに進むこととなります。

調停委員や裁判官は離婚に関する法的な知識や経験が豊富ですが、あくまでも第三者的な立場 です。そのため、自分にとって何が有利なのか、どのような選択肢があるのかなどの助言をしてくれることは、あまり期待できません

しかし、弁護士を依頼していれば、調停や訴訟の場でも依頼者にとって適切な助言をしてくれ、納得のいく進め方をしてくれます。

また、調停は1回につき2時間程度かかるため、仕事のある日は半休などを取る必要があります。弁護士に依頼していれば、仕事でどうしても調停に行けないときには、弁護士にだけ出頭してもらい、調停が終わった後に報告を受けることとし、自身の時間を有効に使うこともできます

3-5. 離婚後のトラブルを回避できる

離婚条件を公正証書にする場合は、弁護士のチェックを入れることでトラブルを回避できる可能性が高まります。

弁護士を入れずに協議離婚し離婚条件を公正証書にしたものの、離婚後に相手が公正証書で取り決めた約束を守らなかった場合には、公正証書に基づいて強制執行をすることを検討します。ところが、公正証書の記載内容に不備があると、強制執行することができずせっかく費用をかけて作成した公正証書が、絵に描いた餅になることもあります

事前に弁護士に相談し、公正証書の内容を確認してもらえば、適切な文言への修正などをアドバイスしてもらえるでしょう。

4. 離婚問題を当事者だけで解決しようとするデメリット

弁護士を入れずに離婚問題を解決しようとする場合のデメリットには、どのようなものがあるでしょうか。これは、先ほどお伝えしたメリットの裏返しです。

まず、離婚前には有利に思われた条件が、離婚後に冷静になって考えてみたところ、さほど有利ではなく納得がいかなくなった、ということが考えられます 。たとえば、財産分与として自宅を取得する代わりに、預貯金の分与は受けなかったという場合に、その家は1人で住むには大きすぎて不便なうえ、修繕費や固定資産税などの支出がかさみ、経済的に苦しくなることが考えられるかもしれません。

また、相手方との直接交渉を続けることにより大きなストレスが溜まり、ようやく離婚が成立したときには、心身ともに疲弊し、体調を崩してしまった ということもあるかもしれません。

その他にも、調停や審判になった場合に、調停委員や審判官の言っている意味がよくわからず、毎回何時間もかけてインターネットなどで離婚に関するさまざまな知識を調べたものの、結局何が自分にとって良い主張なのかわからない、ということもあるかもしれません。

そしてもっとも回避したいのが、離婚後のトラブル です。せっかく公正証書を作成したのに、いざというときに何の役にも立たなかったということでは、それまでの労力は無駄になります 。実際に筆者のもとへ、「離婚協議書案に目を通してほしい」という相談でいらした人の書類を見たところ、法的な問題がいくつも抜け落ちており、このままでは何の意味もない書面になるというアドバイスを伝えたこともあります。

5. 離婚問題を弁護士に相談すべきタイミングは?

離婚問題におけるデメリットを避けるために、弁護士にはいつ相談すべきなのでしょうか。ケースバイケースではありますが、迷ったらその時点で相談するのがよい でしょう。

配偶者との話し合いがある程度煮詰まった後で弁護士に相談したところ、「その条件での離婚はやめた方がよい」と助言を受けて配偶者に再協議を持ちかけたとしても、配偶者が対応してくれないかもしれません。

また、不貞慰謝料については、不倫の適切な証拠を集めておく必要が高いところ、自分の判断で証拠を集めたつもりになり、別居してしばらくしてから弁護士に相談にくるという人もいます。しかし、その証拠は不十分なことが多いです。この場合、あらためて証拠を集め直さなければいけないのですが、すでに別居しているため、もはや手に入れることができないということもあります。

弁護士への相談が早すぎたとしても、「こういう状況になったらまた相談に来てくださいね」という助言を受けることもできます。そのため、迷ったらまずは相談してみるとよいでしょう

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6. 離婚問題の対応を依頼する弁護士の選び方

離婚は弁護士を入れずに当事者同士でできることもあってか、離婚程度ならどの弁護士に頼んでも同じと思われている人もいるようです。しかし、離婚は、思いのほか専門的 です。

特に、財産が多く高額となる事案の財産分与や、多数の収入源がある高額所得者の婚費・養育費などに対応するためには、正確な知識や豊富な経験が必要です。

そのため、まずは離婚事件を多く取り扱っている弁護士を探すとよいでしょう。加えて、離婚事件は解決までに時間がかかり、その間に何度も協議する必要となる場合もあることや、自分の今後の人生設計の一部を委ねる以上、弁護士に価値観をある程度共有してもらう必要があります。そのため、いわゆるフィーリングや相性といったものも重視する必要があります

その他には、質問をしたときに自分がわかるまで説明をしてくれるか、聞こえのいいことだけではなく不利なことも指摘してくれるかという点も重要 です。

7. 離婚の弁護士費用はどれくらい?

弁護士に離婚を依頼した場合の費用は、決して安くはありません。

決まった料金というものはありませんが、多くの事務所が事件着手時に着手金を受け取り、離婚成立時に報酬金を受け取るという報酬体系を採用しています。

弁護士費用の

項目

費用の目安

(税込)

備考

着手金

22万~33万円

・協議から始める場合

・調停や訴訟に移行する場合は追加着手金がかかることも

報酬金

22万~55万円

協議などの段階に応じて発生

財産分与

得られた利益の

11~33%

養育費・

婚姻費用

2~5年分の数%

着手金の金額は22万円から33万円で、調停や訴訟に移行する場合には追加着手金が発生 する事務所が多いようです。

報酬金については、法律事務所によってさまざまです。一例として、離婚が成立したということ自体で22万~55万円、これに財産分与分として、得られた利益の11~33%、養育費や婚姻費用については、2~5年分の数%を加算というものがみられます。

その他、年金分割についても経済的利益に含み、その分の報酬が加算となる場合もあれば、協議や調停などが長引いた場合に費用が加算となる場合もあります。弁護士費用についてよくわからないときには、相談時に聞いてみるのがよいでしょう。

8. 離婚と弁護士に関する質問

Q. 離婚調停や離婚訴訟は、弁護士なしでも対応できる?
弁護士なしでも対応すること自体はできます。しかし、調停委員から提案された内容に納得ができない場合、根拠を示して自身の要望を説得的に伝えることができなければ、調停委員の理解を得られないかもしれません。また訴訟では、正確な法的知識と事実、証拠に基づいて主張・立証しなければ、最悪の場合には敗訴となります。そのため、よりよい解決を目指すためには、弁護士を入れることを検討することをおすすめします。
Q. 依頼するかどうか決めていなくても、弁護士に相談していい?
依頼するかどうか悩まれている段階でも、弁護士への相談は良い選択肢の一つだといえます。実際に、筆者のもとへ寄せられる相談の多くは、離婚が頭をよぎっているものの、決め切れていないケースです。離婚後に自分や子どもの生活はどうなるのかや、離婚までに時間がかかることが見込まれそうな場合に生活費をどのように工面すればよいのかなど、イメージできない不安要素がたくさんあるためです。 弁護士に相談することによって、その点がクリアになり、離婚に向けてどのような準備をすればよいか、次に弁護士に相談するタイミングはいつがよいかなどのイメージがつきやすくなります。経験上、ほっとして帰る人もたくさんいるので、まずは相談だけでもしてみるのがよいでしょう。

9. まとめ 離婚問題で弁護士が必要か悩んだら、まずは相談を

離婚は、今後の人生設計をどうするのかについて考えることができるタイミングです。そのような大事なタイミングを、迷ったり、よくわからないまま逃してしまったりすることは、もったいないことです。

どのような離婚をしたいのか、どうすれば離婚できるのか、迷うようなら一度、弁護士に相談してみてください。人生相談になっても構いません。1人で抱えるには重過ぎる荷物は、信頼できる専門家に一緒に背負ってもらいましょう

(記事は2025年2月1日時点の情報に基づいています)

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