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1. 夫婦の同居義務違反とは?
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2. 夫や妻に勝手に別居されたらできること
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2-1. 同居を求める調停や審判の申立て
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2-2. 婚姻費用の請求
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2-3. 離婚請求
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2-4. 慰謝料請求|相場は数十万円〜100万円程度
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3. 同居義務違反が認められるケース
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3-1. 配偶者の同意のない一方的な別居
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3-2. 配偶者を家から追い出す行為
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4. 同居義務違反とみなされないケース
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4-1. 別居することに合意している
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4-2. 別居する正当な理由がある|DVやモラハラなど
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4-3. 別居が一時的であり、再同居を予定している
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5. 同居義務違反による離婚請求や慰謝料請求を行う際のポイント
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6. 勝手に別居した配偶者と離婚する際の手続き
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6-1. 【STEP1】夫婦で協議をする
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6-2. 【STEP2】離婚調停を申し立てる
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6-3. 【STEP3】離婚裁判
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7. 配偶者の同居義務違反について、弁護士に相談や依頼をするメリット
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7-1. 配偶者との交渉を依頼できる
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7-2. 調停や裁判になった場合に代理人として任せられる
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7-3. 離婚を決意した場合に手続き全般を任せられる
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8. 夫婦の同居義務違反に関してよくある質問
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9. まとめ 同居義務違反が疑われる場合は弁護士に相談を
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1. 夫婦の同居義務違反とは?
婚姻した夫婦は「同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と民法で定められています。そのため、夫婦は原則として同居する義務があり、正当な理由なく配偶者に無断で別居すると同居義務違反 になります。
同居義務違反が認められる具体的なケースと認められないケースについては、後述します。
2. 夫や妻に勝手に別居されたらできること
夫や妻に勝手に別居された場合、対応できることは主に4つあります。
2-1. 同居を求める調停や審判の申立て
家に戻ってくるように夫婦間で話し合っても応じてもらえない場合、家庭裁判所に同居を求める調停や審判の申立てができます。裁判所を介した調停で配偶者が同居に合意すれば調停成立となりますが、合意できなければ審判に移行します。
婚姻関係の破綻が見られず別居に正当な理由がない場合、同居を命じる審判がなされる可能性があります。ただし、この審判で同居を強制はできないため、配偶者が自分の意思で同居を選択するのを待つしかありません 。
2-2. 婚姻費用の請求
夫婦であるかぎり、別居していても生活費のほか、子どもの教育費などの婚姻費用を分担する義務を負います。別々の暮らしをしていても夫婦であれば同じ水準で生活をすべきだからです。そのため、夫婦間で収入が少ない場合や子どもと一緒に暮らしている場合、収入が多い配偶者に対して婚姻費用の請求ができます。
婚姻費用の請求は夫婦間の協議で決められるため、別居を始めたら早めに金額などを決めて合意書を作成しておいたほうがよいでしょう。協議で合意ができなければ調停や審判を申立てることも可能です。
2-3. 離婚請求
同居義務違反は、民法で定められている法定離婚事由の一つである悪意の遺棄に該当する場合があります。「悪意の遺棄」とは、正当な理由なく同居義務、協力義務、扶助義務という夫婦の義務を履行しないことを言い、裁判を起こした場合は、配偶者が離婚を望んでいなくても離婚が認められる可能性があります。
ただし、単に同居義務を怠っただけでは悪意の遺棄は認められにくいです。たとえば同居を拒否している配偶者が「夫婦関係を破綻させる」「結婚生活が破綻しても仕方がない」などの意図を持っていることが必要 です。一方的に別居された証拠となる音源やLINEなどのやりとりを証拠として確保したほうがよいでしょう。
2-4. 慰謝料請求|相場は数十万円〜100万円程度
同居義務違反で離婚に至った場合は、相手に対する慰謝料請求が認められる可能性があります。慰謝料の相場は数十万円から100万円程度と言われていますが、相手に不貞行為などの帰責事由がほかにもある場合は、慰謝料が多くなる可能性があります。
3. 同居義務違反が認められるケース
同居義務違反が認められるのは、主に以下2つのケースです。
3-1. 配偶者の同意のない一方的な別居
配偶者の同意がなく一方的に別居をした場合は、同居義務違反とされる可能性があります。たとえば「一人で生活したい」「不倫相手と一緒に生活する」といった理由は、同居義務違反と判断される可能性が高い です。
一方的な別居が悪意の遺棄にあたると判断された判例を紹介します。
妻が夫に対して結婚期間中に同居義務および相互協力義務に違反して遺棄したとし、不法行為に基づいて損害賠償請求を求めました。裁判所は、夫が妻に対して事前に説明をすることなく一方的に別居し、妻から関係の修復を求められても話し合いに応じずに別居を続けたことから、別居に正当な事由はなく、同居義務違反に該当し悪意の遺棄にあたると判断しました(東京地方裁判所平成29年9月29日判決)。
3-2. 配偶者を家から追い出す行為
勝手に家を出るだけでなく、配偶者を無理やり家から追い出す行為も同居義務違反にあたります 。配偶者が拒否をしているにもかかわらず家を追い出す行為はもちろんのこと、DV(ドメスティック・バイオレンス、家庭内暴力)やモラハラ(モラル・ハラスメント)をして、配偶者が家を出ていかざるを得ない状況をつくった場合も悪意の遺棄と判断 されます。
4. 同居義務違反とみなされないケース
同居義務違反とみなされないケースは、以下の3つです。
4-1. 別居することに合意している
夫婦が別居することに合意していれば、同居義務違反にはなりません。お互いの仕事の事情や子どもの学校の関係、親の介護などを理由に別居を余儀なくされることがあります。また、夫婦で話し合ってあえて別居婚を選択するケースもあるでしょう。
4-2. 別居する正当な理由がある|DVやモラハラなど
配偶者のDVやモラハラを理由に別居した場合は、同居義務違反になりません。配偶者の暴力で身の危険を感じたり、モラハラによって心が深く傷ついたりした場合、別居はそれらから逃れるための手段になる からです。
ただし、DVやモラハラをする配偶者はほとんどの場合で自覚がないため、別居した相手が勝手に出て行ったと判断するケースが多い です。
そのためDVやモラハラが日常的にあったことを証明する音源やLINEなどの配偶者とのやりとりを残しておきましょう。万が一配偶者のDVでけがをした場合は、けがをした部分の写真を撮り、通院したのであれば医師から診断書をもらっておきましょう。
過去の判例で、夫婦の同居義務は共同生活を維持するためのもので、夫婦間の信頼関係が失われて円満な同居生活が期待できない場合は、同居を命じられないとしたものがあります(平成13年4月6日決定東京高裁)。裁判所は、仮に同居を命じたとしても、夫婦がよりいっそう互いの人格を傷つけ合う可能性が高ければ、同居を命じるのは相当ではないと判断 しました。
4-3. 別居が一時的であり、再同居を予定している
別居が一時的で再同居を予定している場合は、同居義務違反になりません。たとえば夫婦どちらかの仕事の都合で単身赴任をする場合や、妻が実家に帰って出産をする場合が該当します。ただし、里帰り出産をして「実家のほうが居心地よい」となかなか帰ってこなかった場合は、同居義務違反に該当する可能性もあるので注意が必要 です。
5. 同居義務違反による離婚請求や慰謝料請求を行う際のポイント
同居義務違反によって離婚請求や慰謝料請求を行う際、相手が勝手に家を出て別居を開始した証拠を確保しましょう。相手とやりとりした音源やLINEなどの文面、住民票や相手の別居先の賃貸借契約書などが該当します。もし相手が不貞行為をしているため不倫相手の家に入り浸っているのであれば、その様子がわかる写真や映像を確保できるとよいでしょう。
6. 勝手に別居した配偶者と離婚する際の手続き
勝手に別居した配偶者と離婚をする場合、以下の手順で手続きを行いましょう。
6-1. 【STEP1】夫婦で協議をする
夫婦間で離婚に関して協議をして合意ができれば離婚は可能です。夫婦だけの話し合いで合意した内容は、後々のトラブルを回避するために離婚協議書を作成して明記 しておくほうがよいでしょう。
6-2. 【STEP2】離婚調停を申し立てる
夫婦間の協議で離婚に合意ができなかった場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てましょう。原則、相手の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てますが、相手の居住先がわからない場合は、住民票や戸籍の附票で調べられます。また、弁護士に依頼すれば、弁護士に認められた職務上請求などによって相手の住所を調べられます。
調停では、離婚合意に向けて、調停委員が間に入って話し合いを進めます。夫婦が顔を合わせる機会は原則ありません。1カ月に1度の割合で調停の場が設けられ、解決までだいたい半年ほどかかるのが一般的です。お互いに合意ができたら調停成立、合意ができなければ調停不成立となります。
6-3. 【STEP3】離婚裁判
離婚調停で合意ができなければ、裁判所に離婚裁判を提起します。離婚は調停前置主義の対象となるため、離婚裁判を提起する際には調停が不成立に終わったことを示す調停不成立証明書を家庭裁判所に交付してもらい、訴状に添付します。
離婚裁判では、協議や調停と異なり、法定離婚事由の存在を立証しなければなりません 。証拠調べや口頭弁論によって当事者双方からの主張や証拠が出尽くし、裁判官が十分に事実認定をできるようになったら、離婚を認めるかどうかの判決が言い渡されます。勝手に別居されたことが悪意の遺棄にあたると判断されれば、離婚が認められる可能性が高いです。
7. 配偶者の同居義務違反について、弁護士に相談や依頼をするメリット
配偶者の同居義務違反について、弁護士に相談や依頼をするメリットは主に以下の3点です。
配偶者との交渉を依頼できる
調停や裁判になった場合に代理人として任せられる
離婚を決意した場合に手続き全般を任せられる
7-1. 配偶者との交渉を依頼できる
勝手に別居をされたら、話し合いの場を設けるのも難しいケースがあります。弁護士に依頼をすれば代わりに配偶者との交渉を任せられます。配偶者も弁護士であれば無下に断る場合が少なく、別居に至った理由を冷静に語ってくれる可能性 があります。
7-2. 調停や裁判になった場合に代理人として任せられる
夫婦間で話し合いがまとまらず、調停や裁判になった場合、弁護士に依頼すれば代理人として手続きが任せられます。もし配偶者が勝手に別居した以外に不貞行為などをしていた場合、慰謝料請求にあたって的確なアドバイス が得られます。
7-3. 離婚を決意した場合に手続き全般を任せられる
配偶者の別居をきっかけに離婚を決意した場合、弁護士に依頼すれば手続き全般を任せられます。離婚となれば財産分与、親権問題、養育費等考えなければならないことがたくさんあるので、弁護士のアドバイスを受けながら進めると確実 です。
8. 夫婦の同居義務違反に関してよくある質問
9. まとめ 同居義務違反が疑われる場合は弁護士に相談を
昨今ではさまざまな夫婦のかたちがあるため、別居婚や週末婚を選択する夫婦も多いです。夫婦が話し合って合意したうえで別々に住むには問題はないのですが、どちらか一方が勝手に家を出てしまうのは、同居義務違反となるため気をつけたほうがよいでしょう。
配偶者が勝手に家を出てしまった場合、なるべく早く弁護士へ相談することをお勧めします。同居義務違反が疑われる場合、配偶者と直接話し合いをするのは難しい状況が多く、弁護士が間に入って話し合いを進めるのが望ましい です。早く解決するためにも離婚問題を得意とする弁護士に相談をしてください。
(記事は2025年4月1日時点の情報に基づいています)