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「ペットを引き取るのはお世話をしていた私!」 離婚で愛猫はどうなる? 漫画「離婚事件対決 コン弁護士vsポン弁護士」

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離婚したら、ペットの所有権はどうなる?(c)赤ネコ
離婚したら、ペットの所有権はどうなる?(c)赤ネコ
離婚にまつわる疑問を、漫画で学べる連載「離婚事件対決 コン弁護士vsポン弁護士」。第7回のテーマは「ペットの所有権」です。 ペットは家族の一員として大切な存在です。しかし離婚の際には、ペットの「親権」ならぬ「所有権」をめぐって、夫婦間の話し合いが難航することが少なくありません。離婚したらペットはどちらが引き取るのか、どのように決まるのでしょうか。 弁護士兼マンガ家・赤ネコさんが、わかりやすく描きます!
目 次
  • 1. 離婚するなら、ペットは私が引き取ります!
  • 2. 離婚した場合、ペットはどうなる?
  • 3. 財産分与のおさらいとペットならではの注意点
  • 4. お世話をしていた人VS日中一緒にいた人
  • 5. ペットの引き取り先は、何をもとに決める?
  • 6. 感情的になりやすいペットの問題は、専門家に相談を
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1. 離婚するなら、ペットは私が引き取ります!

離婚したら、ペットはどちらが引き取るの?  (c)赤ネコ
離婚したら、ペットはどちらが引き取るの? (c)赤ネコ

草太さん(そうた、32歳)と梨沙さん(りさ、34歳)夫妻は、現在、離婚に向けた協議を進めています。預貯金などの財産分与の確認は進んだものの、愛猫「あかにゃん」の引き取り手をめぐって話が難航しています。

コンサルティング事業を営む草太さんは、あかにゃんを「看板猫」として事業のSNSにも頻繁に登場させてきました。一方、あかにゃんのエサやりやトイレ掃除など、日常の世話は梨沙さんが担当してきました。

そのため梨沙さんは、「離婚後にあかにゃんを引きとるのは、お世話をしてきた私」と草太さんに告げるのでした。

2. 離婚した場合、ペットはどうなる?

まずは、離婚時にペットの引き取り先を考えるうえでの大前提を押さえましょう。

家族同然、我が子のような存在のペットですが、日本の法律上は「モノ」として扱われます。そのため、夫婦が結婚後に飼い始めたペットは、家や車、預貯金などと同じ「共有財産」として、財産分与の対象になります。

「モノ」として扱われる以上、子どものように「親権」(子どもの監護や教育を行い、子の財産を管理する権限と義務)という概念はありません。そのため、離婚協議では、夫婦のどちらがペットの「所有権」を持つかを話し合い、話し合いで結論が出ない場合は、裁判で判断されることもあります。

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3. 財産分与のおさらいとペットならではの注意点

次に、財産分与の基本を確認しましょう。財産分与では、夫婦が結婚後に共同で築いた財産を、公平に(通常は2分の1ずつ)分け合います。

しかし、ペットの場合、家や車のように価格を算出して分けることができません。そのため、どちらか一方が引き取り、代わりに他の共有財産を調整したり、そのまま無償で引き取るという形で分与が行われます。

とはいえ、ペットは法律上は「モノ」として扱われたとしても、実際には生き物です。そのため、通常の財産分与とは異なる、以下のような論点もあります。

【飼育費用(養育費・エサ代)】
ペットには子どものような養育費の制度がありません。引き取った人がその全費用を負担するのが原則です。離婚後、相手にエサ代や医療費の一部を請求することは、原則としてできません。

【面会交流】
法律上、引き取らなかった元配偶者がペットとの面会を求める権利はありません。

【医療費の負担】
高齢や病気のペットの場合、緊急時の連絡体制や、高額な医療費をどう負担するかを、事前に話し合っておく必要があります。

費用の負担を相手に求めたい場合や、離婚後も面会を希望する場合には、離婚時に「任意で費用を負担する」「面会交流を行う」といった契約を夫婦間で交わす必要があります。

このように、ペットに関する取り決めはすべて、夫婦の話し合いによる契約が基本となります。

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4. お世話をしていた人VS日中一緒にいた人

離婚後、どちらが引き取るのが幸せ...?(c)赤ネコ
離婚後、どちらが引き取るのが幸せ...?(c)赤ネコ

離婚後のペットの引き取り先をめぐって、梨沙さんはコン弁護士に、草太さんはポン弁護士に相談に行きます。

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5. ペットの引き取り先は、何をもとに決める?

法律上、ペットは「モノ」として扱われるため、財産分与の対象となることは理解できました。

一般的に、財産分与の対象となる財産は金銭的な価値(市場価値)で評価されます。

しかしペットの場合、血統書付きの動物や高価な珍しい動物など、客観的に高額で取引されるケース以外では、市場価値がないものとして扱われるケースがほとんどです。そのため、市場価値だけで引き取り先を判断することはできず、基本的には夫婦間の話し合いで決めることになります。

夫婦間で話し合いがつかない場合、最終的には調停や裁判で決められることになります。調停や裁判では、ペットの「福祉」を最優先とし、次のような事情を元に総合的に判断されます。

【主な世話役】
離婚に至るまで、主に誰がペットの世話(エサやり、散歩、通院、しつけなど)をしていたか。

【飼育環境】
離婚後の生活環境(ペット可の住居か、広さ、庭の有無など)は適切か。ペットにとってより快適な環境を提供できるのはどちらか。

【一緒に過ごす時間】
どちらがペットと過ごす時間が長いか。在宅勤務や生活スタイルなども考慮される。

【経済力】
ペットを飼育し続けるための経済的な余裕があるか。

裁判所では単に「どちらがかわいがっていたか」「お世話をしていたか」という点だけではなく、離婚後の生活環境なども重視されます。

梨沙さんと草太さんの場合、あかにゃんのお世話を主にしているのは梨沙さんですが、仕事のため日中はあかにゃんと一緒に過ごせません。一方、自宅で仕事をしている草太さんは、あかにゃんと一緒に過ごす時間が長いという状況です。

あかにゃんの幸せを考えると、「お世話をしてくれる人と一緒にいるほうがよいのか」、あるいは「一緒に過ごす時間が長い人といたほうが幸せなのか」という基準で判断することが重要になります。この基準をもとに、あかにゃんにとって最も幸せな環境はどちらかを考え、引き取り先の結論を出すことになるでしょう。

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6. 感情的になりやすいペットの問題は、専門家に相談を

ペットの引き取りをめぐる問題は、法律論だけでは割り切れない感情的な争いになりがちです。

特に、飼育費用(エサ代や医療費など)の一部を相手に求めたい場合や、離婚後もペットとの面会交流を希望する場合は、必ず離婚前に夫婦間で話し合い、その内容を契約として残す必要があります。

人間の子どもの親権とは異なり、ペットに関する取り決めはあくまで夫婦間の「契約」が基本です。口約束で済ませてしまうと、離婚後のトラブルにつながる可能性があります。

大切なペットの未来を守り、離婚後のトラブルを防ぐためにも弁護士に相談し、取り決めた内容を離婚協議書や公正証書の形で明確に残しておくことが重要です。

(記事は2025年11月1日時点の情報に基づいています)

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