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1. 家事も生活費もゼロの夫に、財産を分けるの!?
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2. 離婚した場合、財産は均等に分ける
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3. 「貯金は私がした」「名義は私のもの」は通用しない
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4. 財産分与の割合が変わるケースもある
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5. 浮気は財産分与の割合に反映されない
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6. 財産分与の不安や疑問は、早めに弁護士に相談を
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1. 家事も生活費もゼロの夫に、財産を分けるの!?
夫・草太(そうた、32歳)に浮気をされ、さらにモラハラ発言も受けた梨沙(りさ・34歳)は、離婚を視野に入れてコン先生のもとへ相談に向かいます。
梨沙の最大の懸念は、離婚した場合に夫婦の自宅や貯金がどうなるのかということ。
事業が軌道に乗らずほぼ収入のない草太を支えるため、梨沙は一人でコツコツと家庭にお金を入れてきました。さらに貯金も重ね、夫婦で住むマンションの頭金も自分の資産から出し、ローンの支払いも梨沙がしています。
しかし、コン先生から告げられたのは「離婚するなら、財産は夫婦で2分の1ずつ分ける」という衝撃の事実でした。
2. 離婚した場合、財産は均等に分ける
まずは「財産分与」について理解しましょう。
「財産分与」とは、離婚の際に夫婦の財産を分けることを指します。対象となるのは夫婦の共有財産で、結婚後に2人で協力して築いた財産が含まれます。夫婦共有名義で取得した財産はもちろん、いずれか一方の名義になっている財産も、夫婦が協力して形成されたものであれば、財産分与の対象となります。
たとえば以下のような財産が分与の対象となります。
現金
預貯金
車
不動産
株式や債券
積立型の保険
退職金
ローンや借金(資産から借金やローン残高を差し引いた残額を夫婦で分ける)
なお、結婚前から持っていた財産や相続によって得た財産は、原則として財産分与の対象になりません。
財産分与の基本ルールは、結婚から婚姻関係の破綻までに増えた財産を夫婦で均等に分けることです。つまり、離婚時には原則としてすべての財産を2分の1ずつ分けます。
3. 「貯金は私がした」「名義は私のもの」は通用しない
梨沙さんは草太さんに対して、「家のこともしない」「貯金もしない」「家も私のお給料で購入した」「夫の浮気が離婚の原因」と不満を抱えています。そのため、コン先生から「財産は夫婦で半分ずつ分ける」と説明されても納得できない様子です。
しかし法律上、離婚時の財産分与は原則として均等です。収入を得ていたのが一方だけでも、もう一方が専業主婦(専業主夫)として家事や育児を担っていれば、その貢献によって財産が築かれたとみなされます。
そのため、「貯金は私がした」「マンションの名義は私」という梨沙さんの主張だけでは、分与の割合に差をつけることはできません。
4. 財産分与の割合が変わるケースもある
ここまで説明してきたように、財産分与は原則として夫婦の財産を2分の1ずつ分ける「2分の1ルール」が採用されています。しかし、さまざまな事情によって分与の割合が変わるケースもあります。具体的には以下のような場合です。
財産分与の割合が変わる可能性のあるケース
①一方の特別な資格や能力により、高収入が得られていた場合
会社経営者や医師など、特殊な能力や技術によって財産を築いた場合、一方の貢献度が極めて高いと判断され、財産分与の割合が修正される可能性がある。
②一方の浪費で著しく財産を減らした場合
一方がパチンコや競馬などのギャンブル、ブランド品などの過度な購入で財産を減らしていた場合、財産分与の割合が修正される可能性がある。
③特有財産(結婚前からの財産など)を元手にして財産を築いた場合
結婚前から持っていたお金で株式を運用して利益を得るなど、特有財産を元手に築いた共有財産がある場合、財産分与の割合が修正されることがある。
④一方が財産の形成にほとんど関与していない場合
正当な理由なく就労も家事・育児もしなかった場合など、財産形成への貢献が少ないとして分与の割合が少なく修正される可能性がある。
梨沙さんと草太さんの場合は、④の「一方が財産の形成にほとんど関与していない場合」にあてはまる可能性があります。
ただし、専業主婦(専業主夫)で無収入であっても、家事や育児に少しでも関与していれば、基本的には2分の1の割合で分けると判断されます。
そのため、梨沙さんは裁判で草太さんの家事や家庭への無関与を証明することが重要になります。

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5. 浮気は財産分与の割合に反映されない
「離婚の原因は草太の浮気なのに、財産分与で草太に2分の1もとられるの!?」と憤る方も多いでしょう。
しかし、離婚の原因が一方の浮気であっても、財産分与は原則として2分の1ずつ分けられます。これは、浮気による損害が慰謝料として別途請求され、財産分与とは別に扱われるためです。
そのため、草太さんは財産分与として2分の1を請求することが可能です。しかし、一方で、浮気の証拠もばっちりとられているため、ポン先生の指摘どおり梨沙さんに不貞の慰謝料を支払うことになるでしょう。
6. 財産分与の不安や疑問は、早めに弁護士に相談を
離婚時の財産分与は、法律上のルールがあるとはいえ、実際の分け方や割合はケースごとに異なります。
離婚に向けて「財産分与はどうなるの?」と疑問や不安を抱えている方は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
専門家に相談することで、自分の状況に応じた正しい分与の方法や、証拠の集め方、裁判になった場合の見通しなどを具体的に教えてもらえます。早めに準備をすることで、有利に話を進められる可能性も高くなります。
まずは無料相談や初回相談を実施している弁護士事務所を探してみてください。
(記事は2025年9月1日時点の情報に基づいています)