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1. 妻が離婚を拒否… 夫婦の合意なくして離婚はできるの?
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2. 裁判で離婚が認められるためには「法定離婚事由」が必要
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3. 法廷離婚事由の具体的な中身とは
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4. 性格の不一致で、離婚はできるのか?
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5. 婚姻関係の破綻の証明が必要
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1. 妻が離婚を拒否… 夫婦の合意なくして離婚はできるの?
「妻と離婚がしたい」
草太(32歳)さんが、腕利きの離婚弁護士として評判のポン弁護士を訪ねてきました。
草太さんは、妻の梨沙(34歳)さんと結婚して5年目。
「性格の不一致」を理由に離婚を申し出たものの、梨沙さんは応じてくれない様子です。
性格の不一致で離婚をしたいのに、相手が合意してくれない…。
このような場合、離婚は成立するのでしょうか。
ポン弁護士の助言とは—。
2. 裁判で離婚が認められるためには「法定離婚事由」が必要
まずは、離婚の基本的な進め方を確認しておきましょう。
離婚には、大きく分けて3つの種類があります。
①協議離婚・・・夫婦の話し合いによって成立する離婚。お互いが合意すれば、どんな理由であっても離婚することが可能
② 調停離婚・・・夫婦だけでは話し合いがまとまらなければ、離婚調停を家庭裁判所に申し立て、調停委員を交えて話し合う。その結果、夫婦の合意が得られた場合に成立する
③ 裁判離婚・・・離婚調停でも話し合いがまとまらなかった場合、家庭裁判所に訴えを起こし、裁判官の判断で離婚が認められるかどうかが決まる
話し合いで合意が得られず、梨沙さんが離婚を拒否し続けた場合、③の離婚裁判に進むことになります。
ただし、裁判で離婚が認められるためには、ポン弁護士が言う「法定離婚事由」が必要です。法定離婚事由とは、民法で定められた5つの離婚理由のことです。この5つのいずれかに該当することを証明できなければ、裁判で離婚は成立しません。
3. 法廷離婚事由の具体的な中身とは
法定離婚事由の内容は以下の通りです。
配偶者に不貞行為(いわゆる不倫)があったとき
配偶者が悪意をもって同居をしなかったり、生活費を渡さなかったりしたとき(悪意の遺棄)
配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき(2026年5月までに施行される改正民法によって削除予定)
その他、婚姻を継続し難い重大な事由があったとき
勘のよい方はお気づきですね。草太さんが主張する性格の不一致は、法定離婚事由に含まれていません。ということは、裁判離婚になったら、草太さんは離婚できないのでしょうか…?
4. 性格の不一致で、離婚はできるのか?
まず協議離婚や調停離婚であれば、夫婦の合意があれば離婚はできるので、性格の不一致が原因でも離婚できます。
ただし、梨沙さんが首を縦に振らない場合は、離婚裁判となり、理由が問われます。
ポン弁護士は、性格の不一致の内容が「その他、婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまれば、離婚が認められるかもしれないと助言します。
この「婚姻を継続し難い重要な事由」には、暴行・虐待、性格の不一致、セックスレス、金銭問題、親族問題、宗教上の問題などが含まれます。
したがって、草太さんと梨沙さんとの間に横たわる性格の不一致の中身が「婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまるかどうかが焦点となります。
5. 婚姻関係の破綻の証明が必要
性格や価値観の違いといっても、その内容は夫婦の数だけありますが、単に「食べ物の好みがあわない」「金銭感覚が違う」「子どもの教育方針の違い」だけでは、裁判所は離婚を認めてくれません。
裁判で離婚が認められるには、性格の不一致がもとになって夫婦関係が破綻していて、今後も改善の見込みがないことを証明する必要があります。
例えば、以下のような状況があれば、離婚が認められる可能性があります。
性格の不一致が原因で別居して、一定期間が経過している
性格の不一致が原因でうつや不眠となり、病院に通院している
浪費が激しく、何度やめてと言っても改善しない
価値観が違うことに対し、常に暴言を浴びせてくる
事例からわかるように、性格の不一致で裁判離婚するのは、そう簡単な話ではありません。したがって、夫婦の話し合いで誠実に話し合い、合意によって離婚する方が現実的な面もあります。
さて、草太さん。ポン弁護士の「どんな性格の不一致なの?」という質問にしどろもどろです。後ろめたいことがあるのでしょうか?
性格の不一致に限らず、離婚の悩みは人それぞれ異なります。そのため「どのように準備を進めるか」「どのように話を進めればいいか」「どんな証拠が必要か」などについて、あらかじめ弁護士に相談して把握しておくことが大切です。
夫婦の話し合いがうまく進まないときには、離婚問題に強い弁護士への相談を検討してみてください。
(記事は2025年5月1日時点の情報に基づいています)