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離婚で公正証書を作成するメリット 作り方から費用、必要書類まで解説

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協議離婚をする際は、3つのメリットがある公正証書の作成をお勧めします(c)Getty Images
夫婦の話し合いによる協議離婚をする際は、離婚条件に関する合意内容を書面にしておくと安心です。この書面を公証人が作成する公正証書にすることで、財産分与や慰謝料の強制執行が可能となり、履行を確保できるようになります。公正証書を作成するメリットや作成の手順、必要な書類などについて、弁護士が解説します。
目 次
  • 1. 離婚時に作成する公正証書とは
  • 2. 離婚時に公正証書を作成するメリット
  • 2-1. 離婚に関する合意内容を明確にできる
  • 2-2. 書面の紛失や改ざんを防げる
  • 2-3. 金銭の不払いがあった場合に強制執行ができる
  • 3. 離婚時に公正証書を作成するデメリット
  • 4. 離婚の公正証書の作り方
  • 4-1. 公正証書はどこで作るのか
  • 4-2. 公正証書を作成する流れ
  • 4-3. 公正証書を作成する際の必要書類
  • 4-4. 公正証書の作成に必要な費用
  • 5. 離婚公正証書のサンプル(テンプレ-ト)
  • 6. 離婚時の公正証書作成時の注意点
  • 6-1. 事前に内容を決める必要がある
  • 6-2. 公正証書の作成時には双方の同席が必要
  • 7. 離婚時の公正証書の作成を弁護士に依頼するメリット
  • 8. 離婚時の公正証書作成に関してよくある質問
  • 9. まとめ 離婚時の公正証書は作成前から弁護士に相談を

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1. 離婚時に作成する公正証書とは

「公正証書」とは、個人や法人の依頼により、公務員である公証人がその権限に基づいて作成する公文書を指します。

離婚の際に作成する公正証書には、離婚時に取り決めた事項のうち、財産分与や養育費等の金銭給付について記載するケースが多いため、「離婚給付等契約公正証書」と呼ばれます。公正証書に合意内容を記載しておけば、後日の紛争防止につながるほか、金銭の給付について履行を確保できるため、支払いの拒否や滞納などの不安がある場合には公正証書を作成するのが望ましい と言えます。

2. 離婚時に公正証書を作成するメリット

離婚時に公正証書を作成するメリットとしては、以下が挙げられます。

  • 離婚に関する合意内容を明確にできる

  • 書面の紛失や改ざんを防げる

  • 金銭の不払いがあった場合に強制執行ができる

2-1. 離婚に関する合意内容を明確にできる

公正証書に面会交流、財産分与や養育費といった離婚の条件を記載すれば、合意内容が明確になります。特に、公正証書は公証人が立ち会い、内容を読み上げて双方に異存がないと確認したうえで作成されるため、後日「本意ではなかった」といった主張がしづらく、トラブルを防止しやすい メリットがあります。

2-2. 書面の紛失や改ざんを防げる

公正証書の原本は、原則として公証役場で20年間保管 されるため、書面の紛失や改ざんを防止できます。仮に離婚時に作成した公正証書の正本、謄本を紛失しても、公正証書を作成した公証役場の公証人に請求すれば正本、謄本を交付してもらえるため(ただし、1枚あたり250円の費用がかかります)、合意内容を保存するという意味でも優れていると言えます。

2-3. 金銭の不払いがあった場合に強制執行ができる

公正証書のなかに一定額の金銭を支払うことの合意に加え、強制執行受諾文言、つまり金銭の支払いをしないときの強制執行を受諾する旨を記載すると、支払いが滞った場合、その公正証書に基づいた強制執行が可能になります。

そのため、養育費や財産分与、慰謝料の支払いの合意、および強制執行受諾文言を公正証書に記載しておけば、支払いの履行を確保 することができます。支払い義務者には、履行が滞った場合には強制執行されるというプレッシャーがかかるので、任意の履行を期待できる効果もあります。

3. 離婚時に公正証書を作成するデメリット

公正証書を作成するデメリットとしては、費用がかかる点が挙げられます。当事者が自力で書面を作成する場合は費用がかかりませんが、公正証書を作成する場合は、法律行為に関する証書作成手数料が必要です。

法律行為に関する証書作成手数料は、「目的の価額」によって異なります。目的の価額とは、その行為によって得られる一方の利益を指し、財産分与や慰謝料の場合は通常、その給付金額、養育費の場合は最大で10年分の金額となります。証書作成手数料の詳細は次章で解説します。

また、公正証書を作成する際に公証役場に行く必要があるなど、時間的な手間もかかります。

このように、公正証書の作成にあたっては金銭的、時間的な負担がかかります。しかし、後日の紛争を回避できる、一定の場合に強制執行が可能となるなどのメリットのほうが大きい と言えます。特に、養育費は長期間にわたって支払われるケースが多く、一括払いの場合と比べて不履行の可能性が高まるため、養育費に関する定めを設ける場合は公正証書の作成をお勧めします。

4. 離婚の公正証書の作り方

離婚をする際の公正証書の作り方やその流れ、必要な書類について解説します。

4-1. 公正証書はどこで作るのか

公正証書は、全国の公証役場で作成できます。作成者が公証役場に出向いて公正証書を作成する場合には、どの公証役場に行っても問題はありませんが、当事者双方がアクセスしやすい公証役場を選択するケースが多いです。

なお、公証人が職務を遂行できる地域は、所属する法務局または地方法務局の管轄区域に準じる決まりになっているため、公証人に出張してもらって公正証書を作成する場合は、管轄区域を確認する必要があります。

4-2. 公正証書を作成する流れ

公正証書は以下のような流れで作成します。

【STEP1】当事者間での協議
当事者同士で離婚の条件を話し合い、合意する必要があります。当事者同士での協議が難しい場合は、弁護士を代理人に立てての話し合いが有効です。

【STEP2】公証人への相談
離婚の条件について合意ができたら、その内容をまとめます。そのうえで、公正証書を作成する公証役場に事前に連絡し、公証人に合意内容を伝えて公正証書の文案を作成してもらいます。合意内容を書面にまとめて公証人に送るとスムーズです。

文案を双方が事前に確認して合意ができたら、公証人と当事者の日程調整を行い、公正証書の作成日時を決めます。このように、公正証書は申し込んだ当日に作成することが難しく、事前の準備期間が必要になるケースが多いので注意しましょう。

【STEP3】公証役場での作成
当事者または代理人が公証役場に行き、内容を確認します。当事者双方に異論がなければ双方が署名押印し、公正証書が作成されます。作成の際には、原則として当事者双方の立ち会いが必要ですが、弁護士が代理人として立ち会うことも可能です。

4-3. 公正証書を作成する際の必要書類

当事者が作成するのか、代理人が公証役場に行って作成するのかによって必要な書類は異なります。当事者が作成する場合の必要書類は以下のとおりです。

  • 印鑑登録証明書と実印、運転免許証と認印、マイナンバーカードと認印など身分を証明するもの

  • 戸籍謄本

  • 離婚給付として不動産の所有権を移転する場合は、不動産の登記簿謄本、固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書

  • 年金分割を行う場合は年金手帳など

代理人が作成する場合は、代理人の身分を証明する上記書類に加え、実印を押印した本人から代理人への委任状や、本人の印鑑登録証明書が必要となります。

必要書類については、事前に公正証書を作成する公証役場に確認しましょう。

4-4. 公正証書の作成に必要な費用

法律行為に関する証書作成手数料として、離婚給付の金額や養育費など目的の価額に応じた手数料がかかります。証書作成手数料は以下のとおりです。

目的の価額

手数料

100万円以下

5000円

100万円を超え

200万円以下

7000円

200万円を超え

500万円以下

1万1000円

500万円を超え

1000万円以下

1万7000円

1000万円を超え

3000万円以下

2万3000円

3000万円を超え

5000万円以下

2万9000円

5000万円を超え

1億円以下

4万3000円

1億円を超え

3億円以下

4万3000円に超過額5000万円までごとに

1万3000円を加算した額

3億円を超え

10億円以下

9万5000円に超過額5000万円までごとに

1万1000円を加算した額

10億円を超える場合

24万9000円に超過額5000万円までごとに

8000円を加算した額

なお、養育費は支払期間10年を上限に養育費の総額で計算します。たとえば、月5万円の養育費を14年間払い続けるとすれば、目的の価額は5万円×12カ月×10年(上限)=600万円となり、証書作成手数料は1万7000円となります。

これに加え、公正証書の枚数、正本、謄本の枚数に応じた手数料も必要になります。公正証書は4枚を超えた場合に1枚あたり250円、正本、謄本の作成にも1枚あたり250円がかかります。公証役場に相談をする際には、費用の見通しについても確認するのがよいでしょう。

5. 離婚公正証書のサンプル(テンプレ-ト)

離婚公正証書は以下のような形式です。

離婚給付等契約公正証書

第1条

 夫●(以下甲という)と妻●(以下乙という)とは、協議離婚(以下「本件離婚」という)をすることを合意し、本件離婚に伴う子の監護、財産上の給付等について以下のとおり契約を締結した。甲及び乙は、離婚届にそれぞれ署名し、本公正証書作成後、乙において速やかにその届出をするものとする。

第2条

 甲乙間の未成年の未成年の子●(令和●年●月●日生、以下丙という)の親権者を乙と定め、乙において監護養育する。

第3条

 甲は乙に対し、丙の養育費として、令和●年●月から令和●年●月まで、1カ月あたり金●円の支払義務があることを認め、これを、毎月末日限り乙の指定する金融機関の預金口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は甲の負担とする。

第4条

  前条に定める養育費のほか、丙の病気・進学その他の事由により、特別の出費を要するときは、甲は乙の請求により、その費用を甲・乙協議の上負担するものとする。

第5条

 乙は、甲が丙と面会交流することを認める。面会の具体的な日時、場所、方法等は、甲と乙が丙の福祉に十分に配慮しながら協議して定めるものとする。

第6条

 甲が勤務先又は住所を変更したときは、甲は直ちに乙に通知する。乙が預金口座又は住所を変更したときは、乙は直ちに甲に通知する。

第7条

 甲は、乙に対し、本件離婚による【財産分与・慰謝料】として、金●円の支払義務があることを認め、これを令和●年●月●日限り、乙の指定する金融機関の預金口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は甲の負担とする。

 ※【】部分には、財産分与、慰謝料、解決金など、必要な項目を記載します。

第8条

 甲と乙は、本件離婚に関し、本契約に定めるほか、何らの債権債務関係も存在しないことを相互に確認する。

第9条

 甲は、本契約に定める金銭債務の履行をしないときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した。

離婚公正証書には、おおむね以下の内容を盛り込むことが一般的です。

  • 離婚をすること

  • 親権者の定め

  • 養育費の金額と支払い期限、支払いの終期

  • 面会交流の頻度、方法、連絡手段など

  • 財産分与や慰謝料の金額、支払い方法、支払い先の情報

  • 清算条項

  • 強制執行受諾文言

これらに加え、未払いの婚姻費用やそのほかの費用があればその清算に関する条項、転居した場合は相互に住所を教え合う旨、離婚後にお互いに相手を誹謗中傷しない、必要な場合以外は連絡をとらない、といった条項を記載するケースもあります。

6. 離婚時の公正証書作成時の注意点

6-1. 事前に内容を決める必要がある

公正証書の作成にあたっては、事前に公証人に相談する必要があります。しかし、公証人は当事者の離婚協議について仲介する立場ではないため、合意内容は当事者間で決めておかなければなりません

面会交流や離婚給付の内容について合意ができていない状態で公証役場に相談しても、公正証書は作成できないため、作成前に弁護士に相談すべきです。

また、財産分与、慰謝料、養育費の支払いについて強制執行を行うためには、給付の内容が確定していなければなりません。たとえば「給与の〇割を支払う」といった決め方では、公正証書の内容から給付内容が確定しているとは言えないため、仮に強制執行受諾文言が末尾についていても強制執行ができません。公正証書を作成する際には、文面についても注意する必要があります。

6-2. 公正証書の作成時には双方の同席が必要

離婚給付等契約公正証書を作成する際には、当事者双方が出席する必要があり、一方当事者のみでは作成できません。どうしても出席できない場合、または相手と面会したくない場合は、代理人を立てて作成します。

代理人が公正証書を作成する場合は、本人の実印を押印した委任状や本人の印鑑証明書、代理人の本人確認書類などが必要になります。白紙委任はできず、委任状には作成する公正証書の内容を添付して割印を押すといった方法が取られます。

代理人を立てて公正証書を作成する場合も、事前に公証役場に必要書類を確認するほうがよいでしょう。

7. 離婚時の公正証書の作成を弁護士に依頼するメリット

公証人は一方当事者の代理人ではなく、合意の内容に基づいて公正証書を作成する立場です。したがって、財産分与の割合が適正であるか、慰謝料の金額や養育費の金額が相当であるかという点については、当事者が自力で判断する必要があります。

当事者同士のみの協議で離婚の条件を決めると、自身にとって不利な条件で合意する可能性があるため、不安がある場合は離婚協議の時点から弁護士に相談する、または弁護士を代理人として交渉を行うほうが望ましい と言えます。

8. 離婚時の公正証書作成に関してよくある質問

Q. 作成費用は誰が払う?
公正証書の作成費用を当事者のどちらが負担するかについて、法律上の定めはありません。当事者の合意によって決まるので、一方当事者が全額負担する場合もありますが、折半とするケースが一般的です。
Q. 離婚時の公正証書は自分だけでも作れる?
離婚給付等契約公正証書は、双方が同意しなければ作成できません。したがって、当事者の一方が勝手に文案を作成し、公証役場に持っていっても、相手の同意がないため離婚給付等契約公正証書は作成できません。
Q. 離婚届の提出と離婚公正証書の作成はどちらが先?
離婚後、2年間は財産分与を請求でき、また消滅時効の期間内であれば慰謝料の請求も可能です。離婚時に養育費の合意をしていなくとも、子を養育する親は相手に対し養育費を請求できるため、離婚後に離婚給付等契約公正証書を作成しても問題ありません。 しかし、離婚が成立すると、相手が養育費や財産分与の協議に応じない可能性があり、公正証書の作成に同意しないケースも考えられます。 また、相手が離婚を求めている場合に、承諾を条件として離婚時の給付を多めにもらうといった交渉もできなくなります。そのため、離婚の前に離婚の条件について合意し、離婚給付等契約公正証書を作成するほうがよい場合が多いと言えます。
Q. 離婚時の公正証書で定めた離婚の条件には時効がある?
離婚給付等契約公正証書を離婚前に作成する場合、離婚をする旨、親権者の定め、養育費の金額と支払い期限、支払いの終期、面会交流、財産分与、慰謝料などの金銭給付に関する条項、清算条項、強制執行受諾文言といった内容を盛り込むのが一般的です。 このうち、財産分与と慰謝料、養育費に関しては、時効により消滅する場合があります。具体的には、請求が可能となった日から5年間行使しないと時効により消滅します。そのため、養育費の支払いがない場合は放置せず、強制執行の手続きをしたほうがよいでしょう。

9. まとめ 離婚時の公正証書は作成前から弁護士に相談を

協議離婚をする際は財産分与や養育費、慰謝料の支払いなどについて双方で話し合い、取り決めをします。その際には当事者のみで書面を交わすのではなく、公証人の前で公正証書を作成したほうがよいと考えられます。公正証書を作れば合意内容が明確になるうえ、書面の紛失や改ざんの防止、さらには金銭の不払いがあったときには強制執行によって支払い義務者の財産や預貯金を差し押さえることができます。

公正証書は全国の公証役場で作成できますが、まずは当事者同士で離婚の条件について協議し、合意をしたうえで、その内容をまとめておく必要があります。その際に弁護士に相談したり、弁護士を代理人に立てて交渉したりすれば不利な条件での合意を回避できる可能性が高くなり、公正証書を作成する際にも弁護士に文面の作成を依頼できます

協議離婚にあたって公正証書を作成する際は、公証役場に赴いて公正証書を作成する時点ではなく、その前段階から弁護士に相談するなどして、作成の段階で困らないようにしましょう。

(記事は2025年4月1日時点の情報に基づいています)

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