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1. 夫や妻のいびきがうるさいことは、離婚理由になるか?
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1-1. 夫婦の合意があれば離婚できる
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1-2. 離婚を拒否されたら、裁判で認めてもらう必要がある
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2. いびきが原因で離婚できるケース
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2-1. 夫や妻のいびきがうるさいと指摘したところ、暴力を振るわれた場合
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2-2. 夫や妻のいびきがうるさいと指摘したところ、ひどく罵倒された場合
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2-3. いびきがうるさい夫や妻が原因で、婚姻関係が破綻した場合
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3. 夫や妻のいびきのストレスでノイローゼになったら、離婚できる?
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4. 夫や妻のいびきを理由に離婚した場合、慰謝料は請求できる?
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5. 離婚する前に、夫や妻のいびき問題を解消する方法は?
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5-1. 相手のいびきで悩んでいることを伝える
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5-2. 相手のいびきを録音して自覚を促す
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5-3. 横向きで寝るなど睡眠環境を変えてみる
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5-4. ダイエットをするなど生活習慣の見直しを促す
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5-5. 寝室を分けるなど生活環境を変えてみる
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5-6. いびき専門のクリニックを受診してもらう
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6. いびきで離婚を検討したときに弁護士に相談するメリット
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7. まとめ “いびき離婚”には弁護士の法的側面によるアドバイスが有用
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1. 夫や妻のいびきがうるさいことは、離婚理由になるか?
夫や妻のうるさいいびきによって離婚できる場合もあれば、離婚の理由として認めてもらうのは難しい場合もあります。
1-1. 夫婦の合意があれば離婚できる
夫婦の合意があれば、いびきが理由でも離婚はできます 。夫婦間の話し合いによる協議離婚では離婚理由は問われないからです。話し合いで双方が納得して離婚の合意に至った場合は、離婚届を提出すれば離婚は成立します。
調停離婚は、法定離婚事由は不要であるものの、合理的な理由がなければ調停委員は納得してくれません。相手が離婚を拒否している場合、「夫や妻のいびきがうるさいので離婚したいです」と主張するだけでは、離婚を前提とした話し合いを進めることは難しい と考えられます。
1-2. 離婚を拒否されたら、裁判で認めてもらう必要がある
相手が離婚に応じない場合は、裁判離婚をめざすことになります。しかし、離婚裁判では、いびきを理由とした離婚が認められる可能性は低いでしょう。
裁判で離婚を認めてもらうには、以下の法定離婚事由が必要 だからです。
配偶者が不貞行為をした
配偶者が悪意の遺棄をした
配偶者が3年以上の生死不明
配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがない(※民法改正に伴い削除の見込み)
その他婚姻を継続し難い重大な事由がある
上記4つにあたる具体的な事由がない場合は、最後の「その他婚姻を継続し難い重大な事由がある」に該当するかどうかを検討 する必要があります。ただし、いびきがうるさいだけでは、これに該当するものとして離婚が認められる可能性は低いと言えます。
2. いびきが原因で離婚できるケース
いびきが原因で夫婦関係が修復できないほどに悪化した場合は、その事実を証明することで離婚が認められる可能性があります。夫婦で離婚に合意した場合以外に、いびきが原因で離婚できる可能性があるケースを紹介します。
2-1. 夫や妻のいびきがうるさいと指摘したところ、暴力を振るわれた場合
夫または妻に対して「いびきがうるさい」と指摘したところ、暴力を振るわれた場合、その事実を客観的証拠により証明することで離婚が認められる可能性 があります。相手からDV(ドメスティック・バイオレンス、家庭内暴力)を受けてケガをしたり精神的に追い詰められたりすることは、婚姻を継続し難い重大な事由にあたると判断されることが多いからです。
2-2. 夫や妻のいびきがうるさいと指摘したところ、ひどく罵倒された場合
夫または妻に対して「いびきがうるさい」と伝えた際、ひどく罵倒された場合は、その事実を証拠によって裏づけることができれば離婚が認められる可能性があります。言葉の暴力であるモラル・ハラスメント(以下、モラハラ)で精神的に追い詰められたとしたなら、婚姻を継続し難い重大な事由にあたる可能性 があるからです。
2-3. いびきがうるさい夫や妻が原因で、婚姻関係が破綻した場合
夫や妻のいびきのうるささをきっかけに別居し、長期間にわたって別居が続いた場合は、離婚が認められる可能性 があります。別居した状態が長期化すると夫婦関係は次第に単なる形だけのものになっていくと考えられるためです。いびきが原因であろうと、長期間の別居によってすでに婚姻関係が破綻しているとして、婚姻を継続しがたい重大な事由が認められる可能性があります。
3. 夫や妻のいびきのストレスでノイローゼになったら、離婚できる?
夫や妻のいびきのストレスでノイローゼになった場合、夫婦間で合意できれば離婚はできます。夫婦間で合意ができず裁判になった場合は、いびきが原因でノイローゼになったという理由だけだと、離婚が認められるのは難しいと言えます。
相手に不貞行為があった、DVやモラハラがあったなど、いびき以外にも離婚を求める別の理由があることを併せて主張すると、離婚できる可能性は高まります。
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4. 夫や妻のいびきを理由に離婚した場合、慰謝料は請求できる?
夫や妻のいびきを理由に離婚した場合、いびきだけを理由に慰謝料を請求するのは難しい です。慰謝料は不貞行為、DV、モラハラなどの不法行為によって精神的苦痛を受けた場合に支払われる賠償金だからです。いびきは不法行為にあたらないため、離婚はできたとしても慰謝料はもらえないと考えておいたほうがよいでしょう。
ただし、いびき以外に、不貞行為やDVなどの不法行為があったと証明できれば、離婚時に慰謝料を請求できます。
5. 離婚する前に、夫や妻のいびき問題を解消する方法は?
夫や妻のいびきにうんざりして離婚を考える前に、問題を解消する方法は主に6つあります。
相手のいびきで悩んでいることを伝える
相手のいびきを録音して自覚を促す
横向きで寝るなど睡眠環境を変えてみる
ダイエットをするなど生活習慣の見直しを促す
寝室を分けるなど生活環境を変えてみる
いびき専門のクリニックを受診してもらう
5-1. 相手のいびきで悩んでいることを伝える
相手にいびきで悩んでいることを伝えます。その際に相手を責めるような言い方は避けて、いびきの音が大きいことやそれによって眠れずに困っていることを冷静に話しましょう。
5-2. 相手のいびきを録音して自覚を促す
相手に「いびきで悩んでいる」と伝えても「何をおおげさな……」と受け入れてもらえないかもしれません。その場合は、いびきを録音したり、相手がいびきをかいて寝ている姿を録画したりして、自覚を促しましょう。実際の音声や映像を見たら、相手も事の重大さを理解する可能性があります。
5-3. 横向きで寝るなど睡眠環境を変えてみる
相手が自分のいびきを自覚したら、横向きで寝るなど睡眠環境を変えてみるように提案してみましょう。最近では、いびきに効果的な枕や横向きに寝るための抱き枕など、いびき対策のためのグッズがあります。こうしたものを使ってみるようにアドバイスをしてみるのもよいと思われます。
マウスピースをして寝るのも効果がある場合があります。マウスピースはインターネットでも購入できますが、アゴの形状や歯並びに合わないと効果が得られないこともありますので、歯科医院に相談のうえ、歯科医院で型をとって作成するのをお勧めします。
5-4. ダイエットをするなど生活習慣の見直しを促す
ダイエットをするなど生活習慣を見直すように相手にアドバイスをするのも一つの方法です。太っているといびきを引き起こすと言われています。首の周りの脂肪が増えることで気道の周囲の脂肪組織も増え、空気の通り道が狭くなっていびき呼吸が発生するとされるからです。
食生活を変えて適度な運動をするなどダイエットを促せば、いびきが減る効果が見込まれるでしょう。さらに、飲酒や喫煙でいびきがひどくなるケースもあると言われているため、こうした生活習慣を見直せば、いびきが軽減される可能性があります。
5-5. 寝室を分けるなど生活環境を変えてみる
寝室を分けるなど、生活環境を変えてみましょう。夫婦で寝室を分けると不仲になると考えるかもしれませんが、いびきが原因で離婚まで考えてしまうのなら、それを回避する手段として考えてみるのは一つの策と言えます。
寝室を分けるといびきが気にならなくなるだけでなく、相手を気にすることなく好きな時間に眠れます。たとえば寝る前に読書をする習慣があったけれど、相手が寝ているから気を遣って電気をつけられないといった場合、寝室を別にすれば解決します。また、仕事の関係で寝る時間が違う場合、相手に気を遣わなくてもよくなります。
寝室を分ける際には、相手のいびきを責めるきつい口調ではなく、「よく眠れていないから別々の部屋で寝るのはどうか」など柔らかい言い方で提案するのがよいでしょう。
5-6. いびき専門のクリニックを受診してもらう
あまりにもいびきがひどい場合は、専門のクリニックへの受診を勧めてみるのも解決の道です。単なるいびきと思っていても、睡眠時無呼吸症候群といった重大な病気が隠れているケースもあります。
睡眠時無呼吸症候群の場合、眠りが浅くなって昼間に眠気が引き起こされたり、集中力が保てなくなって仕事でミスをしたりする可能性があります。高血圧、脳卒中、心筋梗塞のリスクも高くなると言われているため、「たかがいびき」と軽くみるのではなく、早めに医療機関の受診を提案 してみてください。
6. いびきで離婚を検討したときに弁護士に相談するメリット
いびきが原因で離婚を考えた場合、弁護士に相談するメリットは、法的側面で的確なアドバイスが受けられる点です。
「いびきがひどいから耐えられない」といった理由のみで離婚をするなら、相手の合意を得なければいけません。しかし、いびきを原因に離婚したいと言っても、相手がすんなり合意するとは限らないでしょう。離婚案件を多数手がけてきた弁護士であれば、どうすれば相手を納得させられるか、話し合いの進め方についてアドバイスができます 。
弁護士に相談することで、いびき以外にも相手に不満を持っていた事実に気づくかもしれません。それが法定離婚事由に該当している場合は、相手が拒否していても裁判で離婚が認められる可能性があります。弁護士に相談することで、離婚以外の選択肢が見つかる可能性もあります。
離婚に至るまでの時間はとてもエネルギーが要るものです。そのため、自分一人で抱えていては心身ともに疲弊してしまいます。法的側面でアドバイスができる弁護士に早めに相談をすることで、小さな負担で解決の糸口が見つけやすくなる はずです。
7. まとめ “いびき離婚”には弁護士の法的側面によるアドバイスが有用
夫や妻のいびきで離婚を考えている場合、誰かに相談したいと思っていても「そんなことぐらいで……」と言われるのではないかと躊躇してしまうケースが多くあります。しかし、「たかがいびき、されどいびき」であり、一緒に生活している当事者にとっては大問題 です。自身の睡眠が妨げられ、仕事や家事に影響が出る、イライラして精神的に参ってしまうといった負の側面があれば、早めに対処したほうがよいでしょう。
どうしても離婚したいなら、早い段階で離婚案件に強い弁護士への相談をお勧め します。離婚をするにはどのような手続きが必要なのかといった一般的な事柄から、自身が抱えている問題でとるべき方法など法的側面までアドバイスが可能です。初回無料相談を設けている弁護士事務所もあります。そうしたシステムをうまく活用して、できるだけ早く悩みを解決しましょう。
(記事は2025年1月1日時点の情報に基づいています)