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マッチングアプリ時代の婚前調査とは 探偵の調査で判明した彼の正体【探偵に聞く】

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マッチングアプリでの出会いが増え、婚前調査のニーズも増えているといいます(c)Getty Images
探偵の仕事と聞くと、人探しや浮気調査などを想像する方も多いでしょう。しかし近年では、結婚前に相手の素性を調べる「婚前調査」の依頼も増えているといいます。そこで今回は、全国に拠点を持つ「さくら幸子探偵事務所」で長年探偵として活動してきた姉崎一美さんに、なぜ令和の時代に婚前調査が増えているのか、どのような調査が行われているのか、実際の事例をもとにお話をお聞きしました。
目 次
  • 1. 令和に婚前調査が増える理由
  • 2. プロポーズ後の違和感と彼の正体
  • 3. 相手を逆上させないように関係を断ち切りたい
  • 4. 事実がわかったことで気持ちをリセットできた
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1. 令和に婚前調査が増える理由

――今の時代に婚前調査が増えている理由を教えてください。

従来の「婚前調査」は、お見合い結婚が多かった時代に多く行われていたもので、紹介された相手のプロフィールが本当かどうか、親戚や親きょうだい、職業を確認してほしいという依頼が主でした。しかし近年では、出会いの方法が多様化し、マッチングアプリなど、そもそも相手の素性がわからない状態で出会うケースが増えています。そのため、いざ交際や結婚をするとなった際に、相手を調べたいという方が増えているのです。

――印象に残っている婚前調査の事例を教えてください。

依頼者は40歳前後の公務員の女性でした。とてもしっかりした印象の方で、婚活アプリで知り合って3カ月目の彼からプロポーズを受けたため、相手のことを調べてほしいとのことでした。独身者しか入会できないサービスで出会ったものの、相手のことをよく知らないままだったそうです。

彼は40代半ばでコンサル事業をしており、名だたるイベントや事業の立ち上げに関わっているとのことでした。テレビで見たことがある企業の名前を挙げて「あのイベントの立ち上げは大変だった」と話したり、テレビCMを見ながら「この会社の事業をV字回復させた」と具体的に語ったりしていたようです。

そんな彼からプロポーズを受け、「今までは一人で事業をやってきたから雑な経営をしていた部分もあったけど、一緒になるならちゃんとした会社にしたい」「結婚して支えてほしい」と告げられたそうです。

2. プロポーズ後の違和感と彼の正体

――おめでたい話ですが、依頼者にはどのような不安があったのでしょうか。

依頼者も、実際は「結婚したら○○駅に住もう」とか「家を建てよう」とか、社長夫人になるんだと夢見心地でした。ただ、「事業を大きくするためには、お金と信用が必要だから、僕の新しい口座に1000万円入れてほしい」と言われたそうです。依頼者は彼名義の通帳を持って弊社に相談に来られました。

依頼者は彼のことが大好きで、夢を応援してあげたいし、今までコツコツ貯めてきたお金もある。でも一方で、彼の名刺を一度も見たことがなく、家が狭いからという理由で彼の自宅に一度も行ったことがない。また、休日は忙しくてほぼ会えないということでした。

彼のことを信じているけれど、1000万円を振り込むのであれば、すっきりした気持ちで振り込みたいという相談を受けたのです。

――どうされたのでしょうか。

依頼者に彼とデートの約束をしてもらい、相手を特定して彼の住所や職業などを調査しました。並行して、彼から渡された通帳の名義をもとに彼の情報も調べました。その結果、彼の名前以外はすべて嘘だったことがわかったんです。

職業もコンサル業ではなく、派遣社員としてある会社で事務の仕事をしていました。羽振りの良い話をしていたものの、住所を突き止めると、とても質素な自宅に住んでおり、結婚していて子どももいることがわかりました。さらに、自宅とは別にワンルームのマンションも借りており、そのマンションに通う別の女性もいたのです。

――名前以外、全てでたらめだったんですね。

はい。手慣れた様子から、恐らく詐欺の常習犯だろうという話になりました。会話のなかで、依頼者が1000万円を貯金していることを知り、振り込みを頼んだのでしょう。

依頼者はとてもショックを受けていましたが、それ以上に恐怖心を抱いていました。それはそうですよね。詐欺師に、自分の名前も勤務先も住所もすべて知られているわけです。「懲らしめてやりたい!」という気持ちよりも、トラブルなく彼から離れたいという希望が強くありました。そこで、できるだけ相手を刺激せずに、フェードアウトしていこうと提案しました。

3. 相手を逆上させないように関係を断ち切りたい

――どうなったのでしょうか。

まず、人目があるカフェで彼に別れ話をすることにしました。「他にもマッチングアプリで出会って気になる男性がいること」「投資に失敗してお金を失ったので、手元にお金がないこと」を話しました。このような場合、相手が危険な人物だと判断したら、SPのように当社の調査員を近くに座らせることもあります。今回は大丈夫そうということで、調査員を手配することはありませんでした。

依頼者が詐欺の事実を知っていることはバレないように事情を説明することで、彼もすんなり納得しました。お金がないことを知れば、相手も身を引きますからね。依頼者は安全に彼からフェードアウトすることができたのです。

――スムーズに関係が断ち切れたのですね。

証拠を持っているからこそ、迷わず対応ができるわけです。「怪しいな」と思っても、その人が詐欺師であるという証拠がなければ、半信半疑で相手に対応することになりますよね。そうすると、相手に言いくるめられてしまったり、お金がないと言ったら逆上され、ひどいことを言われたりするパターンもあるのです。依頼者は事実をすべて知っているわけですから、自分の進めたいように堂々と話し合いを進められるわけです。

また、このような詐欺の場合、払い終わってから相談に来られる方がほとんどなんです。相手に夢中になって夢見心地でいるときは、どうしても日常の違和感や不安から目をそらしてしまいます。お金を支払った後に現実が押し寄せて、焦って依頼に来るのです。その点、今回は冷静に対応ができました。

当然、心に負った傷は計り知れませんが、お金を取られなかったという点では被害を未然に防げてよかったです。依頼者もその点は安心されていました。

4. 事実がわかったことで気持ちをリセットできた

――ただ、気持ちの整理がなかなかつかないですよね。

調査が終わってしばらく経った後に、依頼者にお会いする機会がありました。私たちはアフターサービスとして6カ月間、希望する方にカウンセリングをするんです。そのときには依頼者もお元気になられていました。「今思えば彼の発言はすべて嘘だったけど、自分にも未熟な点があったことに気づいた」とおっしゃっていました。結婚することに焦っていて周りが見えていなかった、と。

やはり、騙され続けてボロボロになる方もいます。しかし今回は「交際していた3カ月間はムダにしたけれど、早めに依頼をして相談できてよかった」とおっしゃっていました。

調査後、依頼者はご両親に会いに行き「焦って結婚しなければと思っていたけど、もう焦ることはやめたから結婚はしないかもしれない」と伝えたそうです。

親のために結婚をしないといけないという気持ちもリセットされたそうです。周りに影響されて焦って何かを決めるのはやめよう、自分の意思で人生を決めようと決意されたようでした。

――前向きになれてよかったです。

浮気調査同様に、大事なのは事実を知ってどう現実と向き合うかです。現実と向き合い、その問題を乗り越えたことで自分にも自信がつきますし、新しい人生をやり直せると思うんです。調査の依頼をするのは不安も大きいですし、勇気も要ります。でも思いきって依頼するという道を選んで、私たちに頼ってもらえて本当によかったと思う調査でした。

さくら幸子探偵事務所

創業38年をむかえ、これまでに約25万件の相談実績を持つ探偵事務所。浮気調査や人探し、企業調査など、さまざまなジャンルの調査を扱う。元警察官をはじめとした経験豊富な調査員と、依頼者一人ひとりに寄り添うカウンセラーの存在も特徴のひとつ。プライバシー保護と法令遵守を最優先に、安全かつ確実な調査を提供している。

(記事は2025年12月1日時点の情報に基づいています)

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