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1. マリッジブルーとは
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1-1. マリッジブルーはいつ起こる?
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1-2. マリッジブルーはいつまで続く?
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2. マリッジブルーの主な"症状"
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2-1. イライラ
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2-2. 気分の落ち込み
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2-3. 食欲不振
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2-4. 不眠
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3. マリッジブルーの主な原因
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3-1. 未来への不安
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3-2. 結婚準備の忙しさ
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3-3. パートナーへの不満やすれ違い
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3-4. 短期間で決めた結婚
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4. マリッジブルーになりやすい人の特徴
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4-1. マリッジブルーになりやすい女性とは
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4-2. マリッジブルーになりやすい男性とは
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5. マリッジブルーで結婚取り止めや婚約破棄を考えた方がいいケース
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5-1. 相手との将来が見通せなくなった場合
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5-2. マリッジブルーに対して、相手が問題行動を起こした場合
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5-3. 親の介入
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6. マリッジブルーを理由に婚約破棄をしたら、慰謝料を請求される?
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7. マリッジブルーを我慢して結婚すると、いずれ離婚に繋がる?
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8. マリッジブルーの乗り越え方・対処法(解消法)は?
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8-1. パートナーと話し合う
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8-2. ストレス発散や気分転換をする
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8-3. 周りに相談してみる
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8-4. 独身の今しかできないことをしてみる
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8-5. 何が不安なのかを整理する
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8-6. 時間を置いてみる
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8-7. 婚前契約書を交わす
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8-8. カウンセリングを受ける
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9. マリッジブルーに関してよくある質問
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10. まとめ マリッジブルーになったときこそ、お互いに尊重を
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1. マリッジブルーとは
マリッジブルーとは、結婚を決めてから実際に結婚するまでの間に気持ちの迷いや動揺を覚える現象 で、通常、不安感や焦燥感、抑うつ感、不眠などを伴うと言われています。結婚という意味の「マリッジ(marrige)」と沈んだ気持ちを表す「ブルー(blue)」を組み合わせた和製英語であり、医学的な用語ではありません。
1-1. マリッジブルーはいつ起こる?
結婚の時期が近付いた婚姻届の提出前や、結婚式の準備を開始する時期にマリッジブルーは起こりやすい と言われています。
お互いの家族との軋轢(あつれき)や、全面的に自分に合わせてほしいというような相手からの要求、実家にべったり依存しがちなパートナーへの不安、お金に関する問題……結婚準備に追われる中で、さまざまな問題が表面化してくることがあります。恋人同士の間は二人だけの世界で良かったのですが、結婚とはパートナーの家族とも新たに家族になるということでもあるのです。
また、結婚までに十分な話し合いができていないとイライラして喧嘩(けんか)が増え、「本当にこの人で良かったのか」とお互いに不安になることもあるでしょう。そうしたすれ違いやストレスから、マリッジブルーが引き起こされるとも言われます。
1-2. マリッジブルーはいつまで続く?
個人差があるものの、一般的にマリッジブルーは2週間から1カ月くらいでおさまると言われていますが、それ以上続く場合もあります。
結婚前にそれまで感じていた不安をパートナーと話し合えていれば、結婚に前向きになれるでしょう。しかし、パートナーが話し合いに応じなかったり、一方的に責めてきたり問題を軽視したりするような場合、不安の解消は難しいかもしれません。
その結果、「このまま結婚して良いのだろうか」と思い迷う日々が続き、結婚式を迎えてしまうようなケースもあるでしょう。また、結婚後に「こんなはずではなかった」と抑うつ的になる人もいます。この場合は、パートナーと結婚に対する考え方が共有できていなかったことが原因の1つだと考えられます。
2. マリッジブルーの主な"症状"
結婚が近づくにつれパートナーとの喧嘩が増えたり、何かあるわけではなくても何となく落ち込んだり、急に寂しくなったり、眠れなくなったり……人によりさまざまなマリッジブルーの"症状"が出ることがあります。ただし、それらの"症状"は多かれ少なかれ、結婚を控えた誰もが経験するものでもあるのです。
2-1. イライラ
マリッジブルーでよくみられる感情の1つが、イライラ感です。
結婚が近づくと、新居への引っ越し手続きのほか、結婚式や披露宴、新婚旅行をどうするか、など具体的に決めなければならないことに追われます。また、さまざまな書類上の手続きも必要です。
パートナーから仕事などによる多忙を理由に結婚準備を丸投げされたり、逆に双方の家族から色々な口出しがあって自分たちだけでは決められなかったり、二人で決めていても意見がかみ合わなかったりと、イライラの原因はどのカップルにもある はずです。
2-2. 気分の落ち込み
イライラの結果として気分が落ち込むことも、よくマリッジブルーで見られる変化の1つです。
傍から見てもわかるくらい元気が出ず、自分でも気付かないうちに意気消沈して笑顔が消えてしまうようなら、日々楽しさを感じられず「しんどさ」の方が増してしまいます。無意識のうちに涙がこぼれてしまうこともあります。
2-3. 食欲不振
食事が喉を通らない、何も食べる気がしないなど、マリッジブルーにより食欲不振に陥ることもあります。結婚式前のダイエットになってラッキー、と思う人もいるかもしれませんが、十分な栄養を摂らないと元気も出ませんし、抑うつ気分にもなりやすくなるので要注意です。
2-4. 不眠
不眠もまた、マリッジブルーで現れる"症状"です。
ただし、夜になると色々と考えてしまい、漠然とした不安から眠れなくなったり、眠りが浅くて寝た気がしない日が続いたりした場合は対策が必要です。特に、もともと神経質で不安になりやすい人は不眠に陥りがちですので、注意しましょう。結婚前だから単にマリッジブルーだろうと決めつけず、心身に不具合が出てきた場合には医療機関への受診も念頭に入れてください。
3. マリッジブルーの主な原因
マリッジブルーは、結婚という大きな環境の変化に対する不安や恐れが最大の原因と考えられます。また、私たちが生活する中で、ストレスはネガティブな出来事からだけではなくポジティブな出来事からも生じうる ことが知られています。
アメリカの心理学者のホームズ(Holmes)らによる、ライフイベントのストレス度を点数化した「社会的再適応評価尺度」( Social Readjustment Rating Scale, 1967年)によると、「結婚」(50点)は、「解雇・失業」(47点)や「退職」(45点)よりも大きなストレスがかかるとされています。
3-1. 未来への不安
結婚することによって、現実的に大きな変化に対応する必要が生じます。
結婚後のお金の管理、姓の選択、住居、仕事、出産・育児、親との同居など、二人で決定しなければいけない問題がたくさんあります。そして、それらを解決するための話し合いが不足することで、「本当にこの人でいいのか」といった未来への漠然とした不安に陥りやすくなります。
3-2. 結婚準備の忙しさ
実際に結婚が近づくとさまざまな手続きに追われ、多忙を極めます。特に結婚式や披露宴を開く場合、ときにはお互いの家族をも巻き込んだ多くの問題の解決を迫られます。
忙しさにかまけて話し合いが上手くできていないと、お互いの思いがすれ違い、トラブルやそれによるストレスが起こりやすくなります。
3-3. パートナーへの不満やすれ違い
結婚準備中のカップルのすれ違いは、結婚式や披露宴の計画をしている時期に起こることがよくあります。
結婚式や披露宴でかかる金銭的な問題、結婚式への思いの相違(「結婚式はなるべく質素に」や「親戚の手前、派手にやる必要がある」など)、双方の親への気遣いの差など、結婚式というイベントが双方のバックグラウンドも含めた問題を立ち上がらせるのです。
3-4. 短期間で決めた結婚
特に結婚相談所などで結婚相手を見つける場合、知り合ってから結婚までの期間が短くなる傾向があります。じっくりとお互いを知る時間が少ないことから、何か問題に行き当たったときに「本当にこの人で良いのか」という迷いが生じやすくなるのかもしれません。
4. マリッジブルーになりやすい人の特徴
マリッジブルーは、結婚を控えた男女なら誰でも経験する可能性があります。二人が結婚について十分に話し合っていない場合にマリッジブルーになるリスクが高まるのですが、はらんでいるリスクの多寡はそれぞれの性格に由来するとも言えます。
4-1. マリッジブルーになりやすい女性とは
もともと不安になりやすい人や、思ったことをあまり言葉に出さず一人で悩むタイプの人、完璧主義で物事を0か100かで考えてしまうタイプの人はハイリスクです。
自己肯定感が低く自信が持てないと、自分の気持ちを相手に話してはいけないのではないかと思いがちですが、言葉にしないと自分の思いは相手に伝わりません。
また、自分の思った筋書き通りに物事が進まないと急に不安になってしまうタイプの人は、特に相手とよく話し合い、独りよがりにならないようにしましょう。
4-2. マリッジブルーになりやすい男性とは
責任感の強過ぎる人、家庭を持つことにプレッシャーを感じ自信を失う人や、人に頼るのが苦手な人はハイリスクです。
女性同様、完璧主義だと些細(ささい)なことで自信を失いやすいですし、もともと自己肯定感が低く自信が持てないタイプは男女ともにマリッジブルーになりやすいと言えるでしょう。
また、個人主義で結婚により自分の自由が奪われると考えるような男性もマリッジブルーになりやすいでしょう。
5. マリッジブルーで結婚取り止めや婚約破棄を考えた方がいいケース
マリッジブルーの理由が明確で、例えばパートナーからの暴力やモラハラが継続しているような場合や、自分や自分の家族がパートナーから尊重されず、話し合っても改善が望めないと感じているような場合、結婚は考え直した方がよいかもしれません。
また、マリッジブルーに陥っている自分の状態をパートナーが理解せず、その結果将来が見通せなくなったり、パートナーが問題行動を起こしたりした場合は、婚約破棄も検討する必要があるでしょう。
5-1. 相手との将来が見通せなくなった場合
話し合いを重ねてもお互いの将来が見通せないと感じたら、結婚するのをしばらく延期して考え直す必要があるかもしれません。
離婚は結婚の数倍のエネルギーが必要と言われますし、自分たちだけでなく周囲の家族も傷つけます。結婚前の段階で慎重に検討するべきでしょう。
5-2. マリッジブルーに対して、相手が問題行動を起こした場合
自分がマリッジブルーの状態になってしまっていることを伝えても、パートナーが軽く捉えて不安感を理解してくれなかったり、責めて怒り出したり、あるいは暴力を振るわれたりした場合は、そのような相手とこれから長い人生を一緒に歩いて行けるのかどうか再検討が必要です。
特に、マリッジブルーのそもそもの原因が相手からの暴力と関係している場合は、結婚はやめた方が賢明でしょう。また、相手が別の異性と関係している疑いがあるときも不幸な未来につながる結婚になるリスクが高いので、結婚を考え直した方が賢明です。
5-3. 親の介入
パートナーの親からの介入が甚だしく、それに対してパートナーが言いなりになっているような場合、そして親子共々、相手や相手の親への尊重が常識的に考えて欠落しているような場合は結婚してもうまくいかないことが多いので、結婚前によく考えて結論を出しましょう。
6. マリッジブルーを理由に婚約破棄をしたら、慰謝料を請求される?
正当な理由なく婚約を破棄すると、慰謝料を請求されます。
一般的に、婚約破棄の慰謝料は50万円から200万円程度とされているようです。ただし、相手の暴力・モラハラ・浮気などの正当な理由があれば、婚約を破棄しても慰謝料を支払う義務はなく、逆に相手に対して慰謝料を請求することも可能と言われています。
婚約破棄をしたい場合や、されてしまった場合、慰謝料について心配や不安なことなどがあれば、弁護士に相談すると安心です。
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7. マリッジブルーを我慢して結婚すると、いずれ離婚に繋がる?
以前、結婚後の満足度に関して筆者が調査をしたとき、ある40代の男性が「結婚前に嫌だと感じたことは結婚後に解消はせず、より大きくなる」と答えており、なるほどと思いました。
確かに、「もう時間が無い」「今さら結婚を止められない」という状況の中、迷いながら結婚へ突き進んでしまう人も少なくないと想像できます。
しかし、お互いに嫌だと感じていることは話し合って解決を目指すことが大切 です。自分の抱える不安にふたをしたまま結婚をしたとしたら、どうなってしまうでしょう?
厚生労働省の「令和4年 (2022) 人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、同居して5年未満に離婚する結婚早期の離婚は、離婚全体の29.4%に上っています。この結婚早期の離婚が全てマリッジブルーを解消できなかったからというわけではないでしょうが、私は防げたはずの離婚も多いのではないかと考えています。
結婚早期の離婚の最大の問題として、この時期は幼い子どもがいる家庭が多い ことです。離婚によってもし経済的な困窮が起きた場合、子どもの成長や人生に大きな影響を及ぼします。これは単に夫婦だけにとどまらない、子どもの一生を左右する問題で、防げるものなら防ぐべき課題 です。結婚をする人は、将来迎えうる子どもにも思いをはせ、その幸福に責任を持つ覚悟が必要です。
8. マリッジブルーの乗り越え方・対処法(解消法)は?
自分はマリッジブルーになっているのではないかと感じたら、なるべく早めにパートナーと話し合うことが大切です。一人で悶々(もんもん)としている時間が長いほど不安は大きくなるからです。もし、パートナーに話しても心が軽くならない場合は他の方法も試してみましょう。大切なことは、早い段階で不安に向き合い対処することです。
8-1. パートナーと話し合う
マリッジブルーの原因が相手とのすれ違いにあるようなら、一番大切なことは、やはり何と言っても結婚に向けてパートナーと話し合う ことです。パートナーと十分な話し合いができていない人ほど、不安は強くなる傾向があります。
パートナーへの不安や不満については 、例えば「私は話し合いのときにあなたが大きな声を出すと怖いので、大きな声は出さないでほしい」といった、「私」を主語とする「I(アイ)メッセージ」で伝えましょう 。「あなた」を主語とした「あなたは話し合うとすぐに大きな声を出すから嫌だ」といったような「YOU(ユー)メッセージ」での伝え方は、相手には攻撃的に伝わる恐れがあります。
「話し合い」とは、言葉のキャッチボールであり、決してドッジボールではないことを心に留めましょう。
8-2. ストレス発散や気分転換をする
結婚は生活環境がガラッと変わることから、誰にとっても大きなストレスを感じるイベントです。
結婚とはそういうものであり、誰でもマリッジブルーになりやすいということを知っておくことは大切 です。
そして、常日頃から自分のストレス解消法を身につけておけると良いでしょう。気の置けない友達とゆっくり話したり、笑うことを心がけたり、運動したり、マインドフルネス(瞑想など、「今、ここ」に意識を向けること)のYouTubeを見たりするのもお勧めです。
8-3. 周りに相談してみる
既婚の先輩や友達など、周囲に相談してみるのも良いでしょう。大なり小なりマリッジブルーを経験している人も多いはずだからです。
あまり気にしない方が良い、もっとパートナーと話し合うべきなど、適切なアドバイスをもらえる可能性があります。
深刻な問題なら、家族に相談することも検討しましょう。
8-4. 独身の今しかできないことをしてみる
マリッジブルーを乗り越えるには、「結婚前にやりたいことリスト」を作って、実行してみるのもお勧めです。
時間的、経済的に余裕があれば、家族や友人と旅行に行くのもよいでしょう。特に家族旅行は独身としては最後になりますし、時間がなければ日帰りのドライブなどで家族とゆっくり話すだけでも良い思い出になるでしょう。
8-5. 何が不安なのかを整理する
マリッジブルーに対処するには、不安に思っていることを書き出してみると良いでしょう。そして、それが具体的に対処可能なものか、不可能なものか、それとも漠然としたものかに分けて整理します。
整理してみると、具体的な問題には何らかの対処方法が見つかることが多く、漠然とした不安は具体的な問題が解決することにより小さくなる可能性があります。
いずれにしろ、不安を整理し、まずはパートナーと共有することです。共有できないことが不安であれば、まずはそのことをパートナーに伝えましょう。
8-6. 時間を置いてみる
すぐには対処不可能な問題への不安がある場合、時間が解決してくれるのを待つ方が良いこともあるでしょう。その結果、時間経過とともに「そんなに大きな問題ではなかった」と感じられるようになるかもしれません。
自分の気持ちがパートナーに伝わらず喧嘩になってしまった場合も、お互いに冷静に考える時間を取ってからまた話し合った方が、お互いの気持ちが伝わることもあります。
8-7. 婚前契約書を交わす
結婚をするにあたり気にかかっていることがあれば、婚前契約書(プリナップ、プレナップ)を交わすという方法もあります。
婚前契約では、夫婦の財産やそれ以外の夫婦間のルールを定めることが可能です。婚前契約書を交わす場合には、カップル双方の意思が一致していることが重要 です。
8-8. カウンセリングを受ける
結婚前のカップルが受けられるものとして、「プリマリタル(婚前)・カウンセリング」があります。プリマリタル・カウンセリングは、結婚を前提としたカップルが、結婚後の生活への適応度を高める ことを目的として行われます。
二人だけでは上手く話し合えないようなことも、専門家を介して率直に話し合うことができるため、プリマリタル・カウンセリングをカップルで受けることは結婚早期の離婚予防にも非常に効果的 といわれています。
例えば、筆者が関係している一般社団法人 日本結婚カウンセリング協会ではプリマリタル・カウンセリングを専門に行っており、料金はカップルで4時間6万円(税込み)です。
同協会で行われているプリマリタル・カウンセリングで相談される問題は、①二人の関係が深まらないで悩むケース、②男女の考え方の違いで悩むケース、③価値観と性格の不一致に悩むケース、④親の影響力が強く親に依存してしまうケース、⑤パートナーとの向き合い方がわからないケースと、大まかに5つに分けることができます。そして、カップルそれぞれの問題に応じてカウンセリングを行っています。
9. マリッジブルーに関してよくある質問
10. まとめ マリッジブルーになったときこそ、お互いに尊重を
結婚とは、その人の人生にとても大きな変化を起こす出来事です。
変化を前にしたとき、多くの人は恐怖や不安を感じるものです。結婚を前にしてマリッジブルーになるのは、ある意味自然なこと でもあります。
しかし、二人の気持ちが結婚に対して一致していて迷いがなければ、マリッジブルーは必ず乗り越えていけるものです。そのために必要なことは一つしかありません。二人がお互いをリスペクト(尊重)し合い、話し合う努力を惜しまないこと です。
ぜひ二人で明るい未来について話し合ってください。
(記事は2024年12月1日時点の情報に基づいています)