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1. 会話がない夫婦は世の中にどのくらいいる?
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2. 夫婦の会話がなくなる理由は?
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3. 会話がない夫婦の行く末は?
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3-1. 現状維持
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3-2. 仮面夫婦
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3-3. 関係修復
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3-4. 離婚
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4. 会話がない夫婦が関係を修復する方法は?
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5. 夫婦の会話がないことを理由に離婚できる?
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5-1. 離婚手続きの種類|協議離婚、調停離婚、裁判離婚
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5-2. 協議離婚と調停離婚なら「会話がない」が離婚理由になる
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5-3. 裁判離婚では民法で定められた離婚原因が必要
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6. 会話がない夫婦が離婚したい場合の準備
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6-1. 離婚したいかどうかよく考える
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6-2. 離婚条件を検討する
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6-3. 離婚後の生活を検討する
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6-4. 離婚に向けて証拠を収集する
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6-5. 離婚の手続きや必要書類を調べる
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7. 話し合いができない夫婦が離婚したいなら弁護士へ相談を
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8. 会話がない夫婦の行く末に関してよくある質問
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9. まとめ 夫婦の会話がない場合の離婚の相談は早めに弁護士に
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1. 会話がない夫婦は世の中にどのくらいいる?
国立社会保障・人口問題研究所による「2022年社会保障・人口問題基本調査 第7回全国家庭動向調査 報告書」によると、夫婦が一緒に行う行動として「よくある」の割合が最も高かったのは「夕食を一緒にする」で74.9%でした。その次に割合が高い「その日の帰宅時間や週の予定などを話す」は53.6%で、約20ポイントも低い結果となっています。
この結果からは、夕食をよく一緒に食べていても、その日の帰宅時間や週の予定などについてよく話すことはない夫婦が一定数いるということがわかります。
「よくある」の割合で見れば、「休日の過ごし方について話し合う」は39.1%、「心配事や悩み事を相談する」は32.0%とさらに低くなっています。これらの数字は、親密な関係性を維持しうる程度の2人のコミュニケーションが「よくある」夫婦の割合は半分に満たないということを示しています。
さらに、「まったくない」の割合に目を移すと、「その日の帰宅時間や週の予定などを話す」は7.7%、「休日の過ごし方について話し合う」は12.4%と、日常や余暇の予定についてさえ会話がないという夫婦も一定数いることが見えてきました。
2. 夫婦の会話がなくなる理由は?
会話が少なくなる理由は夫婦によってさまざまですが、たとえば次のような要因が考えられます。
忙しくて顔を合わせる時間が少ない
仕事などで疲れているため会話をする元気がない
会話ではなく自分の好きなことをしていたい
会話をしてもけんかになってしまうので話さない
お互い気持ちが冷めてしまい話す気にならない
3. 会話がない夫婦の行く末は?
会話がほとんどない夫婦の将来は大きく4つに分類されます。
3-1. 現状維持
夫婦の会話がなくても、惰性などで現状維持というケースも少なくないでしょう。このままではまずいとわかっていても改善策が見つからず、そのままの状態を続ける選択肢です。
3-2. 仮面夫婦
夫婦の会話がない状態が続くことで、「仮面夫婦」となるケースもあります。「仮面夫婦」とは、実際は夫婦関係がうまくいっていないのに、仮面を被って良好な夫婦関係を装っているかのような状態で、表面上は特に問題のない夫婦として振る舞っている夫婦を指します。
仮面夫婦は、夫婦というより同居人に近い状態と言えるかもしれません。このようなケースでは、家庭外に癒しを求めて不倫に走る可能性も出てきます。
3-3. 関係修復
夫婦が改善に向けて真摯な努力をすることで、関係が修復されるケースもあるでしょう。夫婦関係の修復を望む場合、夫婦カウンセラーなどの専門家に協力を求めることも選択肢の一つです。
3-4. 離婚
関係修復が難しい場合や改善を望まない場合には、最終的に離婚に至るケースもあります。すぐに離婚しないとしても、子どもが独立したタイミングで熟年離婚する展開も考えられます。
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4. 会話がない夫婦が関係を修復する方法は?
夫婦の会話がない状態を改善するには、まず会話がなくなった原因を分析する時間が重要 です。
そのうえで、原因を取り除くための方法を検討する必要があります。原因に応じた方法をとる必要がありますが、たとえば次のようなものが考えられます。
簡単な会話から始めて徐々に会話を増やしていく
関係の改善を望んでいることを相手に伝える
相手と顔を合わせる機会を増やす
相手に関心を持ち、相手の言葉に耳を傾ける
どうしたらよいのかわからない場合には、夫婦カウンセラーなどの専門家にアドバイスを求めるのもよいでしょう。
また、家庭裁判所の夫婦関係円満調整調停を利用する方法もあります。調停とは、1名の裁判官と2名の調停委員から構成される調停委員会に間に入ってもらって、家庭裁判所で話し合いを行う手続きです。
夫婦関係円満調整調停では、調停委員が夫婦双方から交互に事情を聴いたうえで、夫婦関係が円満でなくなった原因を探り、夫婦関係を修復するための解決案の提示や助言などが行われます。夫婦関係円満調整調停は、離婚したほうがよいか迷っている場合にも利用することができます 。
場合によっては、冷却期間を設けるため別居する選択肢もあります。ただし、関係修復が目的であるため、短期間の別居にとどめておくべきです。また、黙って別居するのではなく、冷静になって考えるための期間であることをお互いに確認したうえで別居するのが望ましいと言えます。
5. 夫婦の会話がないことを理由に離婚できる?
夫婦の会話がないことが離婚できる理由になるかどうかは、離婚に至る手続きによって異なります。
5-1. 離婚手続きの種類|協議離婚、調停離婚、裁判離婚
離婚の手続きには、協議離婚、調停離婚、裁判離婚があります 。
協議離婚とは、夫婦で離婚することに合意し、離婚届を市区町村役場に提出することによって離婚する方法で、裁判所を利用せずに離婚できます。協議離婚をする場合、離婚に際して取り決めた事項をまとめた離婚協議書を作成するのが一般的です。
調停離婚とは、家庭裁判所の調停手続きを利用して離婚する方法です。調停委員会を介した話し合いで離婚の合意に至ると調停成立となり、離婚が成立します。
協議や調停で離婚の合意ができない場合、裁判所に訴訟を起こし、裁判離婚を求めることになります。
5-2. 協議離婚と調停離婚なら「会話がない」が離婚理由になる
協議離婚と調停離婚では、夫婦で離婚の合意ができれば、その理由を問わず離婚することが可能です。したがって、夫婦の会話がないという理由でも、離婚の合意ができれば、協議離婚または調停離婚を成立させられます 。
5-3. 裁判離婚では民法で定められた離婚原因が必要
裁判離婚が認められるためには、離婚原因(民法第770条第1項各号)が認められる必要があります。
離婚原因は、民法で次のように定められています。
配偶者に不貞な行為があったとき(1号)
配偶者から悪意で遺棄されたとき(2号)
配偶者の生死が3年以上明らかでないとき(3号)
配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき(4号)※2026年5月までに施行される改正民法で削除予定
その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき(5号)
夫婦の会話がないことが離婚原因となるのかは、5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかの問題です。「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、婚姻関係が破綻し、回復の見込みがない状態のことを言います。
単に「夫婦の会話がない」というだけでは、婚姻関係が破綻し、回復の見込みがない状態とまでは言えない ケースが多いと考えられます。そのため、夫婦の会話がないことだけでなく、ほかの離婚原因も併せて主張する必要があります。
ほかに明確な離婚原因が見当たらない場合には、相当期間の別居をして、これを離婚原因として主張することがあります 。一般的に別居が相当期間に及ぶ場合は、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当すると考えられているからです。相当期間については、3年程度が一つの目安と言われています。
ただし、何の話し合いもせず一方的に別居すると、配偶者から同居義務(民法第752条)違反を主張されるリスクがあります。
また、別居によって、たとえば配偶者名義の預金通帳のコピー、配偶者の源泉徴収票や給与明細のコピーなどの証拠の収集が難しくなるデメリットもあります。別居を検討する際には、事前に弁護士に相談してアドバイスを受けるとよい でしょう。
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6. 会話がない夫婦が離婚したい場合の準備
会話がない夫婦が離婚したいと考えた場合、主に以下の5つの準備が必要です。
離婚したいかどうかよく考える
離婚条件を検討する
離婚後の生活を検討する
離婚に向けて証拠を収集する
離婚の手続きや必要書類を調べる
6-1. 離婚したいかどうかよく考える
まずは本当に離婚したいのか、離婚すべきなのかを冷静に熟考することが重要です。今の状態が続くのであれば離婚したいけれども、関係が修復できるなら夫婦関係を続けたい場合もあるでしょう。
夫婦関係を修復できる余地があるのなら、改善に向けた話し合いの場を設ける方法も考えられます。
離婚すると少なからず自分の生活に影響が生じます。子どもがいる場合には、子どもへの影響も考えなければなりません。離婚するとしても、そのタイミングを検討する必要もあります。
6-2. 離婚条件を検討する
離婚を決心したら、希望する離婚条件を整理するとよいでしょう。
離婚条件には次のようなものがあります。
財産分与
慰謝料
年金分割
子どもの親権
養育費
面会交流
これらはどれも重要な事柄であるため、自分の希望を整理しておくことが大切 です。
6-3. 離婚後の生活を検討する
離婚後の住まい、生計、子どもの養育など、別れたあとの生活についても事前に検討しておくのが望ましいです。児童育成手当など、離婚後に活用できる公的支援についても調べておくとよいでしょう。
なお、離婚の前に別居する場合も、別居後の生活について検討しておくのが賢明です。
6-4. 離婚に向けて証拠を収集する
離婚できるかどうか、希望する離婚条件が認められるかどうかは、証拠の有無にも左右されます。
そのため、離婚をめざす場合には、証拠となる資料の収集が重要です。たとえば、財産分与を請求するにあたっては、配偶者の財産に関する資料が必要となります。配偶者名義の預金通帳のコピーなどです。
また、養育費は、原則として夫婦双方の収入によって算定されるため、配偶者の収入に関する資料が必要となります。配偶者の源泉徴収票や給与明細のコピーなどです。
離婚を切り出すと、配偶者が証拠を隠滅したり、開示するのを拒否したりする可能性があります。そのため、証拠の収集は早い段階から着手したほうがよい と言えます。
ただし、必要となる証拠は事案によって異なるうえ、収集の仕方にも注意すべき点があります。離婚を切り出す前に弁護士に相談することをお勧めします。
6-5. 離婚の手続きや必要書類を調べる
自分で離婚の手続きを進める場合は、手続きの内容や流れ、必要書類を調べる必要があります。弁護士に相談や依頼をする場合であっても、ある程度の知識があったほうがスムーズに相談できます。
離婚調停や訴訟については、手続きの概要や必要書類などをインターネットなどで調査しておくとよいでしょう。
7. 話し合いができない夫婦が離婚したいなら弁護士へ相談を
自分たちだけで離婚の話し合いを進めるのが難しい場合、弁護士に相談し、代理人となってもらう方法があります。弁護士に代理人となってもらうことで、相手と直接やりとりする必要がなくなり、精神的な負担が軽減 されます。
弁護士に相談する際には、次のような資料を持参するとスムーズに話が進みます。ただし、用意するのが難しい場合には、無理に持参する必要はありません。
戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
これまでの夫婦関係を時系列で記載したメモ
夫婦の財産に関するメモや資料
夫婦の収入に関するメモや資料
8. 会話がない夫婦の行く末に関してよくある質問
9. まとめ 夫婦の会話がない場合の離婚の相談は早めに弁護士に
夫婦の会話がないことを主な理由に離婚したい場合、まずは話し合いによる協議離婚や調停離婚 をめざすことになります。
会話するのが難しい相手と話し合いをするのは、精神的に大きな負担になるでしょう。また、話し合いがまとまらず裁判離婚をめざす場合、離婚原因を法的に主張し立証する必要があります。さらに、離婚に向けて適切な証拠収集も必要となります。
夫婦の会話がなく離婚を検討している場合、早めに離婚問題に強い弁護士に相談 することをお勧めします。
(記事は2025年1月1日時点の情報に基づいています)